【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

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94:交渉~後編~

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 セレスティアは、状況がカオス化していることに(えーとこれって不味くない?)と、焦りを感じ何とか状況を打破しないと、内心焦っていた。だが、顔には全く表情に現れていないので、ただ静観しているように見えている。

 「カイエル、何とかならないの?」

 『ギャウ?』

 カイエルは、姉イシュタルと兄のダンフィールが臨戦態勢で対峙している様を改めてジーっと見ていたが、首を横に振った。

 『ギャウ』(無理だな)

 と言っているようであった。

 「・・・そっか、今のカイエルじゃ無理よね。」

 『!!!』

 セレスティアは、今のカイエルは『竜の祖』ではなく、ただの飛竜にしかなれないことから、無理もないという意味での発言だったのだが、カイエルはこの言葉に大いに傷ついた。彼の中では、無理→使えない男→できない男→セレスティアに呆れられる、という感じに変換されていた。

 「あれ?カイエル?」

 カイエルの飛竜の首は下を向き、顔も項垂れているしで、誰が見てもカイエルは落ち込んでいた。
 
「あっ」

 セレスティアは、もちろんそんな意図ではなかったのだが、カイエルを傷つけてしまったことに気が付いた。

 「ご、ごめんね!カイエルそんな意味で言ったんじゃないのよ?ごめんね。」

 『キュゥ~~~』(どうせ俺なんて・・・)

 セレスティアは、必死でカイエルを慰めようと、カイエルの顔を撫でまくっていた。

 「本当にごめんね。そんなつもりじゃなかったのよ。本当よ!」

 セレスティアは、必死で言い訳をしていたが、次第にカイエルの様子がおかしいことに気が付いた。

 「あれ?カイエル?」

 セレスティアが無自覚に、カイエルの顔に手で触ったり、顔を擦りつけたりしていたので、カイエルはあまりの接触に真っ赤になっていたのだ。※カイエルは黒い鱗なので、実際は見えていません。

 カイエルの様子にまたまたセレスティア気が付いた。(しまった!過度にスキンシップ取りすぎちゃったのね!)セレスティアも自分が何をしたのか自覚してしまったので、自身も真っ赤になっていた。

 「カ、カイエル・・・あの、そのベタベタ触ってごめんね。」

 『ギャウ・・・』(いいけどよ・・・)

なんとも初々しいカップルのようなやり取りをしているところへ、

 「ちょっと!!あんた達、何雰囲気出しちゃっているのよ!!」

 そこへディアナが突っ込みを入れた。

 「今は人質交渉の時なのよ!しかも緊迫している場面なのよ!そういう場違いなことは、ここが終わったからやってくれる?」
 
 「ご、ごめんなさい?」

 セレスティアはよくわからないまま、謝った。

 だが、このおかげでイシュタルとダンフィールの剣呑な雰囲気は流された。

 「ふん、興が削がれたな。」

 ダンフィールは、臨戦態勢を解除した。

 「・・・そうね。」

 イシュタルも、臨戦態勢を同じく解除した。結果的にはセレスティアの思惑通りに、カオスな状況は打破できたのだ。

 「じゃ、話を元に戻そうか?交換だったね?そちらにいるライモンドと『アレ』と。」

 「そうよ!早く出しなさいよ!あんたなんでしょ?遺跡から持って行ったのは?!」

 ディアナはユージィンに詰め寄った。

 「ま、今更もったいぶっても仕方ないね。そうだね。僕が持って行った。」

 「やっぱり!早く、早く出しなさい!でないとこのメガネは!」

 ディアナはそう言うとライモンドの首筋に短刀を突き付けた。

 「わかったから、止めてくれるかな?彼は僕の仕事で大事な人だからね。」

 その言葉に、ライモンドはまさかユージィンから『大事な人』と言ってももらえるとは微塵も思っていなかったので、感動し目はうるうるしていた。

 「だ、団長!」

 「ふーん、そこまでの人物とは思っていなかったけど・・・まぁいいわ。とにかく早く出しなさいよ!」

 ディアナは元も子もない言い方をしたので、ライモンドはちょっと傷ついた。

 「じゃ、頑張って持ってね。」 

 ユージィンはそう言うと、ディアナの前に腕を伸ばし掌を見せた。

 「な、何の真似よ?」

 「見てたらわかるよ。」

 「!!!なんだ、この気は?」

 「くぅ!」

ユージィンから異様な気が放たれるのを、近くにいたライモンドとディアナはモロに感じた。少し離れていた、セレスティアとカイエルも、気の異様さに只ならぬものを感じでいた。  
 
 「これが、君のお目当てのモノだ。」

 ユージィンの手の平から、剣の切っ先が出てきたのだ。そしてそれは徐々に姿を現し、一振りの剣がユージィンの掌から現れた。

 セレスティアは目の前で繰り広げられている光景が信じられなかった。まさか剣が掌から出てくるなど思いもしなかったから。そしてその光景が異様であることは疑いようはなかった。

 「『ドラゴンスレイヤー』、君はこれが欲しかったのだろう?」

 ドラゴンスレイヤー、その名のごとく、竜殺しの剣(つるぎ)である。
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