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184:アンティエルの推測2
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時を少し遡ること、
フェリス王国にある『竜の祭壇』
この地は、竜騎士候補達が竜騎士になるべく、飛竜との『竜の御目通り』の試験が行われる場所である。
ヴェリエルの番ヒルダを捕獲したのは『竜の祭壇』からそう離れていない場所であった。今回、六ヶ所で魔物の出没が増えたりスタンピートが起きていたのは、龍脈の異常が原因だった。龍脈から流れたエネルギーが竜穴に溜まるものの、それは一定量が溜まれば、そのエネルギーは川の流れのようにまた龍脈へ流れていくのが本来の姿であった。だが今回、紫水晶で竜穴に溜まったエネルギーを吸収したことによって、その流れは不自然なものになってしまった。本来流れるべき龍脈が滞ってしまったことが今回の魔物増加の原因でもあり、そしてそれは、仕組まれて起きたことだったのだ。
各地の竜穴で紫水晶を使って集めた龍脈のエネルギーは転送され集められていた。それが『竜の祭壇』の直ぐ傍であった。先にも述べたように龍脈は一定の場所に留まることはなく、常に移動しているものだが、例外もあった。『竜の祭壇』がその例外で、常に移動する龍脈が、ここだけは必ず一定量の龍脈が流れおり竜穴が固定されているのだ。それ故に『竜の祭壇』の傍は、龍脈のエネルギーを集約するのに隠れ蓑として都合のいい場所であった。ヒルダは魔王化を早めるために必要なエネルギーを一早く吸収するために『竜の祭壇』の近くに潜伏していたのだ。
しかしアンティエルは察知した。彼女が『竜の祭壇』に近いキルンベルク領にいたことが幸いしたのだ。そのため一早く龍脈の異常を感じ取ることができたのだった。
キルンベルク邸の小さな家にて__
「ルディ。前に妾が話したことを覚えておるかや?」
フェルディナントは真剣な目をしたアンティエルを見て、直ぐに何のことかわかった。
「もしかして『竜の祖』が国の政には関与しないが、唯一例外があるって言ってたやつかな?」
フェルディナントの言葉に、アンティエルは驚きを隠せなかった。
「ふふ、さすが妾の番じゃの。察しがよくて助かるのじゃ。」
「・・・ということはそれが何なのか教えてくれるつもりなんだね。そして事態は切羽詰まっている。ということでいいかな?」
「そこまで、わかるとは。ルディ惚れ直してしまうではないか。」
「アンにならいくらでも惚れ直してもらいたいよ。」
二人は軽口をたたいてはいたが、直ぐに二人共シビアな顔つきになっていた。
「ルディ、恐らく今回の魔物出没は魔王が現れる兆候じゃ。」
「なっ?!」
フェルディナントは驚愕していた。魔王絡みの案件など、フェリス王国一国だけではなく、アルス・アーツ大陸を巻き込んだ大問題になるからである。そしてアンティエルが言っていた、例外の意味がわかったのだ。
「だから・・・力を貸してくれるというんだね?」
「そうじゃ。何故なら妾たちも無関係ではないからじゃ。」
そう言うと、アンティエルは少し悲しそうな顔をしていた。
「どういう事なんだい?」
アンティエルの「無関係ではない」という言葉に反応したフェルディナントは、怪訝な表情になった。
「魔王になる者は、『竜の祖』の番である可能性が高いからじゃ。そして未だに姿を現わしていない弟のヴェリエル・・・十中八九恐らくあ奴の番が魔王になろうとしているのじゃろう。」
「番が、魔王にだって?!」
アンティエルはフェルディナントに事情を説明した。
『魔王の欠片』を持つ『魔王の器』である番は、全員ではないが、不幸な生い立ちになりやすい傾向があることを。それ故、番の中には生い立ちの不幸に耐えきれずに絶望してまうことから、魔王になってしまうことを、それを聞いたフェルディナントは驚いていた。
「そうか・・・ならきっと僕は恵まれた境遇だったんだね。」
「衣食住という意味ではそうかもしれんがな、だがルディはルディで王族としての悩みもあったのではないか?」
それを聞いて、フェルディナントは目を見開いて驚いていた。フェルディナントは確かに王族としていろいろと思うところもあったが、それはアンティエルにもまだ話したことがなかったからだ。いや、話すつもりではあったが、アンティエルと一緒になってからは、それが心地よくて、ズルズルと延びてしまっていたからだ。
「・・・本当にアン・・・君は・・・」
「ん?どうしたの・・・じゃ?」
フェルディナントは、アンティエルに近づき抱きしめた。
「ルディ?」
フェルディナントは、アンティエルを抱きしめ、そのままソファに押し倒してしまった。
「ごめん、今はこのまま・・・」
「・・・わかったのじゃ。ルディ」
二人は、深いキスを何度もして、そのまま重なり合った。
※次回は3/28の更新となります。
フェリス王国にある『竜の祭壇』
この地は、竜騎士候補達が竜騎士になるべく、飛竜との『竜の御目通り』の試験が行われる場所である。
ヴェリエルの番ヒルダを捕獲したのは『竜の祭壇』からそう離れていない場所であった。今回、六ヶ所で魔物の出没が増えたりスタンピートが起きていたのは、龍脈の異常が原因だった。龍脈から流れたエネルギーが竜穴に溜まるものの、それは一定量が溜まれば、そのエネルギーは川の流れのようにまた龍脈へ流れていくのが本来の姿であった。だが今回、紫水晶で竜穴に溜まったエネルギーを吸収したことによって、その流れは不自然なものになってしまった。本来流れるべき龍脈が滞ってしまったことが今回の魔物増加の原因でもあり、そしてそれは、仕組まれて起きたことだったのだ。
各地の竜穴で紫水晶を使って集めた龍脈のエネルギーは転送され集められていた。それが『竜の祭壇』の直ぐ傍であった。先にも述べたように龍脈は一定の場所に留まることはなく、常に移動しているものだが、例外もあった。『竜の祭壇』がその例外で、常に移動する龍脈が、ここだけは必ず一定量の龍脈が流れおり竜穴が固定されているのだ。それ故に『竜の祭壇』の傍は、龍脈のエネルギーを集約するのに隠れ蓑として都合のいい場所であった。ヒルダは魔王化を早めるために必要なエネルギーを一早く吸収するために『竜の祭壇』の近くに潜伏していたのだ。
しかしアンティエルは察知した。彼女が『竜の祭壇』に近いキルンベルク領にいたことが幸いしたのだ。そのため一早く龍脈の異常を感じ取ることができたのだった。
キルンベルク邸の小さな家にて__
「ルディ。前に妾が話したことを覚えておるかや?」
フェルディナントは真剣な目をしたアンティエルを見て、直ぐに何のことかわかった。
「もしかして『竜の祖』が国の政には関与しないが、唯一例外があるって言ってたやつかな?」
フェルディナントの言葉に、アンティエルは驚きを隠せなかった。
「ふふ、さすが妾の番じゃの。察しがよくて助かるのじゃ。」
「・・・ということはそれが何なのか教えてくれるつもりなんだね。そして事態は切羽詰まっている。ということでいいかな?」
「そこまで、わかるとは。ルディ惚れ直してしまうではないか。」
「アンにならいくらでも惚れ直してもらいたいよ。」
二人は軽口をたたいてはいたが、直ぐに二人共シビアな顔つきになっていた。
「ルディ、恐らく今回の魔物出没は魔王が現れる兆候じゃ。」
「なっ?!」
フェルディナントは驚愕していた。魔王絡みの案件など、フェリス王国一国だけではなく、アルス・アーツ大陸を巻き込んだ大問題になるからである。そしてアンティエルが言っていた、例外の意味がわかったのだ。
「だから・・・力を貸してくれるというんだね?」
「そうじゃ。何故なら妾たちも無関係ではないからじゃ。」
そう言うと、アンティエルは少し悲しそうな顔をしていた。
「どういう事なんだい?」
アンティエルの「無関係ではない」という言葉に反応したフェルディナントは、怪訝な表情になった。
「魔王になる者は、『竜の祖』の番である可能性が高いからじゃ。そして未だに姿を現わしていない弟のヴェリエル・・・十中八九恐らくあ奴の番が魔王になろうとしているのじゃろう。」
「番が、魔王にだって?!」
アンティエルはフェルディナントに事情を説明した。
『魔王の欠片』を持つ『魔王の器』である番は、全員ではないが、不幸な生い立ちになりやすい傾向があることを。それ故、番の中には生い立ちの不幸に耐えきれずに絶望してまうことから、魔王になってしまうことを、それを聞いたフェルディナントは驚いていた。
「そうか・・・ならきっと僕は恵まれた境遇だったんだね。」
「衣食住という意味ではそうかもしれんがな、だがルディはルディで王族としての悩みもあったのではないか?」
それを聞いて、フェルディナントは目を見開いて驚いていた。フェルディナントは確かに王族としていろいろと思うところもあったが、それはアンティエルにもまだ話したことがなかったからだ。いや、話すつもりではあったが、アンティエルと一緒になってからは、それが心地よくて、ズルズルと延びてしまっていたからだ。
「・・・本当にアン・・・君は・・・」
「ん?どうしたの・・・じゃ?」
フェルディナントは、アンティエルに近づき抱きしめた。
「ルディ?」
フェルディナントは、アンティエルを抱きしめ、そのままソファに押し倒してしまった。
「ごめん、今はこのまま・・・」
「・・・わかったのじゃ。ルディ」
二人は、深いキスを何度もして、そのまま重なり合った。
※次回は3/28の更新となります。
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