一夜限りで終わらない

ジャム

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無愛想な上司

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月曜日
僕は会社に出社した
もうすでに何人か来ていて同僚が話しかけてきた

同僚「よう!飲み会たのしかったな!」

「ああ!また行きたいな!」

こいつは豹獣人の「豹原 千秋(ひょうはら ちあき)」同期で幼馴染みで親友だ
僕の所属するフロアの部屋の奥には僕の直属の上司がパソコンを使っている
いつも不機嫌そうで笑ったところなんて見たことがない
眼鏡をかけていて目が合うと蛇に睨まれたカエルの状態になるぐらい怖い・・・
一夜限りの白熊と同じ種族なのにこの差はなんなんだろう・・・
いやいや!あの人のことは忘れろ!!
僕は出社したらいつも上司に挨拶するのが日課だ

「城熊部長。おはようございます。」

城熊「うん・・・おはよう・・・」

この人は「城熊 猛(しろくま たける)」僕の上司だ
相変わらずの無愛想ぶり・・・
入社したばかりの時は怖くて口も聞けなかったが、もう慣れた
そして僕は自分のデスクに着き仕事を始める
僕は経理の仕事をしている
毎日パソコンと睨めっこ・・・
この仕事は好きだし、自分に合ってると思ってるから苦じゃないけど

城熊「おい、天野。ちょっといいか?」

10時30分ごろだろうか、急に城熊部長に呼ばれた
声が低くて怒ってると思ってしまうぐらいのトーンで声をかけてきた
僕はビクッとしたが部長のところに向かった

「は、はい。なにか御用ですか?」

城熊「・・・コーヒーを頼む」

「へ?」

僕はいきなりで訳が分からなかった
コーヒーは新人が入れるのになんで新人でもない僕に?

城熊「コーヒー!」

少し強めの口調で言ってきた

「わ、わかりました!」

僕は慌てて給湯室に向かった
豹原も少し休憩をするため一緒に給湯室に来た

豹原「おまえ・・・部長に何かした?」

「な、なにも・・・」

豹原「なにも・・・って、あんなにきつい言い方はどう考えても怒ってるだろう・・・」

そうだよな・・・
でも、なにもしてないし・・・
挨拶の仕方が悪かったのかな?
やかんに水を入れ火にかけながら考えていたら

城熊「おい」

後ろから部長の声が聞こえた
僕と豹原はびっくりして振り向いた

城熊「豹原・・・天野に話がある。お前は席をはずせ」

豹原「わ、わかりました。失礼します・・・」

そういうと給湯室の扉を閉めて出て行った・・・
部長は外を確認し誰もいないことを確認すると扉を閉めて鍵を掛けた
なんで鍵を?と、思いながら二人だけの空間が辛い
僕は人間で獣人より小さい・・・白熊は普通の獣人より大きい2メートルは超えているだろう
この怖い顔で上から見下ろされて・・・僕は恐怖で動けなかった
しばらく僕を見つめて部長は眼鏡をはずして

城熊「な?月曜日に会えただろう?」

と、笑顔で話しかけてきた
優しい話し方・・・まちがいなくあの時の白熊と同じだ

「え!?あのときの人、城熊部長だったんですか!?」

城熊「そうだよ~wやっぱり気づかなかったかw」

こんなことって・・・
仕事のときとプライベートが違いすぎて全然気づかなかった・・・
てか、眼鏡だけでも全然わからない・・・

城熊「挨拶に来た時気づくかな?って思ったんだけど・・・気づくわけないよねw俺、雰囲気違うってよく言われるしw」

「すみません・・・理解が・・・」

城熊「???理解が追い付かないのかい?」

「はい・・・」

城熊「じゃあ、これでどうかな?」

「っ!」

部長は僕に近づき右手を僕の腰に廻し
壁ドンからのキスをしてきた
舌が口の中に入ってきて

(ああ・・・あの時の人で間違いない)

と頭が理解した
不思議と抵抗はしなかった

城熊「これでどうかな?」

「は、はい・・・理解・・・できました・・・」

城熊「それはよかった!」

と笑顔で答える部長

「で、でも、なんで、部長が?」

城熊「言っただろう?運命だって!」

「いや、そうじゃなくて・・・あの時、なんで僕は部長とホ、ホテルに・・・」

城熊「会社の飲み会で一緒に居酒屋を出て、帰る方向が一緒でフラフラしてたから介抱したらすごい甘えてきて、我慢できなくてホテルに行っちゃった!w」

「え!甘え・・・え!?」

城熊「実はさ・・・君が入社してきたときから感じてたんだ。運命だってw」

「それ4年ぐらい前ですよね!?」

城熊「そうだねwずっと言おうかどうか悩んでた・・・」

そんな前から僕のこと・・・
そういえばよく目が合ってたよな

「よく目が合ってたのって・・・」

城熊「君の仕事してる時の横顔がかわいくってねw」

「じゃあ、今日コーヒーを淹れさせたのは・・・」

城熊「二人で話すためだよ?」

とんだ策士だ・・・
てか、普段からこんな風にしてればいいのに・・・

「仕事も普段通りにしてればいいと思うんですが」

城熊「う~ん。それは無理かなw仕事モードだとどうしてもねw」

まぁわからなくはないけど・・・極端すぎるだろう・・・

城熊「それに・・・」

そういうと僕にまた近づいてきて壁ドンをして

城熊「そういうギャップは嫌いかな?」

目の前に顔がある・・・
僕は見上げている状態だけど・・・
でも、不思議と嫌ではなく、僕だけの特別な顔って思うと鼓動が早くなってくる

「き、嫌いじゃないですけど・・・」

城熊「じゃあ、気にしないでいいじゃん!」

その時扉をノックする音が鳴る

豹原「あの・・・そろそろ仕事に・・・」

部長は仕事モードになったのか眼鏡をかけて扉を開けた

城熊「ああ・・・」

とだけ言って給湯室を出て行った
給湯室を出る瞬間、僕にウィンクして・・・
僕はドキッとしてその場に座り込んだ
やかんの水はほとんど無くなっていた

豹原「だ、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫・・・」

鼓動が早くなり顔が熱い
僕は・・・部長に・・・
いやいや!ありえない!
でも、心にモヤモヤが・・・
そしてデスクに戻ったけど、部長が気になりチラチラ見てしまう
目が合うたびにウィンクしてくる
顔が怖い状態なのになぜかドキドキしてしまう
仕事が終わり帰ろうとしたとき

城熊「天野、残れ」

「は、はい・・・」

そういわれ僕はデスクに座った
みんなが怖がりながら「お疲れ様でした」と次々部屋を出て行く
みんながいなくなり広い部屋には僕と部長だけになった

城熊「・・・おいで?」

「っ!はい・・・」

優しい声で呼ばれた
それを嬉しく思ってしまっている自分
なんか悔しい・・・

城熊「この後、なにか予定はあるのかい?」

「いえ、とくには」

城熊「なら、食事でもいかない?」

「えっと・・・」

どうしようか考えていた
僕たち・・・付き合ってるのかな?

「あの・・・僕たち、付き合ってるんですか?」

城熊「ああ。俺はそう思ってるけど?」

やっぱり・・・

「僕は・・・その・・・」

城熊「・・・熊ってね」

いきなり語り始める城熊部長

城熊「一度捕食すると執着するんだよ?」

「え・・・?」

城熊部長は僕に近づいて来た
僕は後ずさりして壁まで追い詰められた
そして右手で僕の頬を触りながら

城熊「だ・か・ら・君はもう俺の物なんだよ」

と言いキスをしてきた
普段は怖い雰囲気なのにプライベートではまるで別人・・・
そのギャップもそうだけど、イケメンで優しい・・・仕事の時は怖い
そんな人にキスされて『俺の物』なんて言われたら・・・
そう思うと心臓の鼓動が早くなり苦しくなる
僕は胸を右手で押さえて鼓動を落ち着かせようとする

「んっ・・・はっ・・・」

城熊「はぁ・・・んっ」

城熊部長の舌が僕の口の中を動き回る
ここは会社だ・・・
もし誰かが来たら・・・
退社時間だから来ないだろうけど・・・
でも、もし、来てしまったら・・・
そう思い僕は部長を押しのけた
部長はキョトンとしている

「あ、あの、気持ちは・・・嬉しいんですが・・・その・・・一応ここ職場なので、そういうことは・・・ここではやめてほしいです・・・」

城熊「・・・ならここでなければ、好きにしていいということだね?」

「え?」

いや、そういう意味じゃない!
合ってるけど、好きにしていいわけじゃない!!

「え、あ、違わないですが違うというか・・・」

城熊「ガハハハハハ!!遥斗は可愛いな!ますます俺のにしたくなる!」

僕はそれを聞き嬉しいと思うと同時に悲しくなる
過去にお付き合いした人はいる
でも、みんないつかは僕から離れていく
『つまらない』『癒されない』
そんな理由で別れるのだ

「今だけですよ・・・」

城熊部長は僕の言葉に驚いている

「いつもそう・・・最初は『可愛い』『離さない』って言っておきながら、しばらくすると『つまらない』『癒されない』って言って僕を捨てる・・・いつもそう・・・もう・・・恋人は・・・いらないんです・・・」

そこまで言って我に返った
こんなこと言うつもりはなかった
好かれることはいいことなのに・・・
それに今回は上司が相手だ・・・
今後の仕事に支障が出てしまう・・・
その時部長が口を開く

城熊「そこ辺のやつらと一緒にするな。」

僕は部長を見上げた

城熊「確かに俺はお前のことをまだ知らない。でも、好きという感情は本当だ。今まで付き合ってきたやつらは運命じゃなかったからそう思うんだ。俺はお前を運命の相手だと思っている。だから、飽きないし一生お前といるつもりだ。だから、俺の傍に居ろ。この世界の誰よりもお前を愛してやる。絶対に悲しい思いはさせない。」

それを聞いた僕は涙が出てきた
そんなこと言われたことなかった・・・
すごく嬉しい
この人の傍にいたい

「あの・・・僕っ!!」

言葉を発そうとしたとき部長の人差し指が僕の口を塞ぐ

城熊「遥斗からの答えは身体で教えてくれ!」

そういうと指をどけて、鞄を持ち、会社を後にした・・・
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