「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ

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【第一章:追放宣言】

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「お前、クビだわ」

そう告げたのは、パーティリーダーの剣士・ライガだった。
ダンジョン攻略を終え、街に戻ったばかりの酒場でのこと。
突然の言葉に、周囲の冒険者たちも騒然とする。

「いや、ちょっと待て。俺、何かしたか?」

ハルトが問うも、ライガは鼻で笑った。

「お前、何もしてねぇだろ。攻撃もしねぇし、支援もしねぇ。荷物持ちもまともにできねぇ。いてもいなくても変わらねぇ存在だ」

カウンターの隣席では、後衛魔法使いのルナがため息をつく。
紅のローブをまとった彼女は、炎と雷の魔法を操る才女だが、口は相変わらず辛辣だ。

「悪いけど、リーダーの言うとおりよ。戦えない、喋らない、空気みたいな人がいても足を引っ張るだけ」

さらに、大盾を背負った筋肉男――守備担当のガルドが、ガハハと豪快に笑う。

「まあまあ、今までよく頑張ったよ。おかげでメシ代も浮いてたしな」

パーティ《蒼牙の刃(そうがのやいば)》の3人が、まるで打ち合わせでもしていたかのように口々にそう言う。

――それは違う。

ハルトは、自分のスキル【幸運】で、陰ながらパーティを支えていた。
魔物がよくレア素材を落とすのも、罠に引っかからないのも、奇跡的にダンジョンの近道が見つかるのも、全部彼のスキルのおかげだ。

だが、【幸運】は地味なスキル。
目に見えた成果がないため、他人からは「役立たず」としか思われない。

ハルトはため息をつき、すっと立ち上がる。

「わかった。だったら、行かせてもらうよ」

席を離れ、静かに荷物をまとめて酒場を後にする。
心にあるのは怒りでも悲しみでもない。ただひとつ――解放感だった。

戦うためではなく、自分の人生を楽しむために。

これから始まる、ハルトの“運”だよりスローライフが、やがて世界を変えていくとも知らずに――。
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