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第94話「川灯流し、無音輪唱! 水鏡オペで、願いを濡らさず渡す」
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夕闇が水の底から上がってきた。川面は薄い墨、風は東から一息。太鼓は遠くで一打だけ、息玉は“ひと・ふた”と静かに揺れる。今夜は、言葉をしまう夜——川灯流し。
私は鍋に湯を立て、《陽だし》を肩寄せに軽く、《川霞ところてん》を“水鏡”仕立てに整える。菓子枠は《白蜜寒(しろみつかん)》を小さめに、蝋(ろう)ものの扱いに備えて指粉(米粉極少)を用意。新装備は“水路ライン(浅)”“無音輪唱札”“防風灯籠(ぼうふうとうろう)”“蝋滴(ろうてき)受け皿”“灯送り台”“水際手袋”“光の合図・川色”。合唱譜は“無音輪唱三行”。
「今日は声を減らす」
「掌で?」と王女セレスティア。
「うん。輪・二指・掌に“灯(あかり)印”を重ねる。右は《陽だし》、左は《川霞》、奥は“灯の受付”。祝句は目で置く」
ビアンカは導線図に“川”の印、ティオは団扇を膝に当てて“静音拍(しずおんび)”。ギルバート卿は胸章の裏に“無音・川”の細線を一本、マダム・コルネは懐中手帳を静かに開いた。
「準備、よろしい?」
「よろしい」
*
王都・川べりの石段。浅い栈(さん)が水に影を敷き、灯籠の列がゆるく脈打つ。屋台連合は川沿いに帯状、私たちは石段の上段に“水路ライン(浅)”をJ→緩S→ほぼIで引き、足元を湿らせないよう“薄打ち水”。頭上には《防風灯籠》を低く、腰高に“無音輪唱札”を三色——青=温、白=冷、金=灯。足元は二拍の“星点”を弱く灯す。川側に《灯送り台》、横に“願い札”の小机。香り屏風は“川霧スリット”で角-1度。
掲示板に太字——
川灯流し=見通し×衛生×拍×無音
・三行は輪・二指・掌+“灯印”の無音版/子ども版併記
・水路ライン(浅)+薄打ち水、滑り対策“砂霧”
・防風灯籠/蝋滴受け皿/水際手袋を標準
・値札は小さめ、星縁ひさし+艶消し粉、合図は“川色”
卿が前へ半歩。声を半分しまい、所作をひとつ増やす。輪で迎え、二指で分け、掌で祝う——掌の中央に小さく“灯印”。三行が、音にならない歌で落ちる。
(輪)——「一呼吸」
(二指)——右《陽だし》、左《川霞》、奥《灯》
(掌)——「帰り道まで」
肩がすっと落ち、川の音だけが残った。
「十秒試食どうぞ」——ティオの囁きは、団扇の端で吸われる。
*
仕込み(見せすぎない距離)
《陽だし小椀・川》
・だし:甘露-1/8、塩“耳かき+1/8”。ゆず針一本。
・器:歩き椀、息返し穴-0.1mm。蓋は“扇縁”浅刻み、“川縁(かわべり)”の微リブ。
《川霞ところてん(出汁割)》
・出汁:淡口+みりん“朝淡”を宵向けに-ひと息。酢は“耳かき-半息”、柑の微粉。
・打ち:ところてんは角落とし“すべり止め”。器縁に“水鏡膜”。
《白蜜寒》
・配合:砂糖:水飴=7:3、白蜜“ひと息”。塩は笑顔塩を針先。
・携行:若草帯+霧返し紙。角に“雨留め点”。
王女が木札(青/緑/白)を配り、ビアンカは水路ラインの角を1度寝かせ、灯の列と干渉しないよう“静音拍”で星点を置く。卿は無音輪唱で“根・骨・縁”の位相を合わせる。
*
事件一:灯の“息切れ”
川風がふっと強まり、送り出した灯が手前で“ふっ”。子どもの掌が冷たくなる。
「防風、ひと節下げ」
私は《防風灯籠》の襟を半節下げ、灯芯を“扇芯”に替える。蝋滴受け皿を一段深く、水際手袋を子どもサイズに追加。王女は掌で“灯印”を長めに、ティオは星点を半拍前へ。
(掌)——「ここで一息」
(灯印)——“点・点・線”
灯が水面に戻り、顔が和らぐ。
*
事件二:蝋の“指すべり”
蝋の薄皮が灯の縁に残り、受け渡しの指が“ぴと”。小さな火傷の危険。
「粉一息、霧一息」
私は指粉を受け渡し角に“ひと息”、霧扇を“-ひと息”で手前に。蝋滴受け皿の縁に“露逃がし筋”。受け角を1度寝かせ、水際手袋を“乾→濡”の順で交換しやすい向きに並べる。
白腕章(衛生巡回)が静かに頷く。
「手袋の順、票に書いて」
(札)——『乾→濡→灯。/器は内→外、縁は扇縁。/最後に手すりと灯送り台。』
判が“ぽん”。肩が落ちる。
*
事件三:川面の“まぶし返り”
対岸の灯が水鏡で増えて見え、足元の星点が薄くなる。年配の足が迷う。
「川色で下へ」
私は《光の合図・川色》を腰高に薄く灯し、頭上の灯は一段落とす。星縁ひさしを3度寝かせ、値札は半歩内。手話の少女が輪・二指・掌に“足指差し”を追加——指先で星点を示す所作。
足が地へ戻った。
*
事件四:願い札の“群れ”
灯の受付で“願い札”が行列の渦を作る。書き終えない人が立ち止まる。
「前段で書こう」
私は“願い仮札”を屋台手前に置き、水路ラインの序盤で書けるように導線を“緩S→緩Z”へ。王女が“輪(迎え)”を少し長めに、卿が“掌(祝)”を短く。
(二指)——「右・左・奥」
(掌)——「道は続く」
渦が消え、灯が進む。
*
中盤。“二口半・川灯セット”。右=小椀、左=川霞、金=白蜜寒半片。緑札は“子ども・年配・灯す人”優先。王女が笑顔珠を掲げ、灯が応える。私は渡す直前に両手一拍、湯気と涼と甘が“すうっ”と分かれる。
「値札は——」
(札)——小さめ固定、星縁ひさしで。
「よろしい」
魔水晶がぴこ。地球のキッチンから。
「進捗どう?」
「笑顔、右152/左168/金139! 冷=川霞が静かにリード」
「帰り道賞は?」
「今夜は“灯送りのあとの小椀”。肩が戻る」
「“川灯だしパック”、十いける?」
「いけます」
世界が二つ、同じ静音拍で動く。
*
臨時講座:無音輪唱の“手順”
自治会が小声で問う。「全員が声を落とすと、合図が見えない人がいる」
「拍と色で補う」
私は黒板札に書く。
『輪=迎え、星点二拍。/二指=青・白・金(腰高の川色で補助)。/掌=祝、灯印“点・点・線”。』
王女が所作を広く、卿が“北の余白”を保持。ティオは団扇を膝で“とん・すっ”。輪が目で歌う。
*
路地口サテライト
石段脇の細道で、灯を抱えた親子が立ち止まる。風が抜けず、灯が苦しい。
「小さな風、通すね」
私は“風受け尾”を短く結び、灯の後ろへ“紙一息”。手話の少女が輪・二指・掌。小さな灯が水へ、親の肩がほどけた。
「ありがとう」
「帰り道まで」
*
小さな迷子
灯を追って欄干に寄りすぎた子。足が石の端で止まる。
「数え歌、目で」
私は黒板札に描く。
『ひとつ、てをあたため(輪)。/ふたつ、みぎ・ひだり(指)。/みっつ、ここ(掌)。』
王女が黙って笑い、ティオが団扇で二拍。子の足が星点に戻る。
「ただいま」
「おかえり」
*
素材メモ
川は“涼前・甘後・肩で締め”。ところてんは酢-半息、柑微粉前。白蜜寒は霜砂-ひと息。小椀は塩+1/8で肩へ。蝋は粉一息で事故を減らす。——文庫“川棚”に追記。
*
終盤。川面の灯が帯になり、遠くで太鼓が三つ。私は川色を一段弱め、星点を前倒し二拍へ。三行は祝句を“灯帰り版”に。
(輪)——いらっしゃいませ(目で)
(二指)——青・白・金
(掌)——「おだやかな夜を。帰り道まで」
「ラスト四十、いきます」
王女が木札を配り、ビアンカが水路ラインの角を1度寝かせ、ティオが「十秒試食どうぞ」と囁く。卿が締めの無音輪唱——胸章の裏の細線が、灯に溶けた。
灯が水へ、肩が面で落ちた。
*
片づけ。灯送り台を拭き、蝋滴受け皿を洗い、防風灯籠を畳む。水際手袋を乾かし、願い仮札を束ねる。マダム・コルネが手帳を閉じる。
「川灯流し、合格。改善三点。
一、“灯印”の形を規格化(点・点・線)、子ども版には印図を添付。
二、指粉“ひと息+露逃がし筋”を灯受け渡し標準へ。
三、川色(腰高灯)を常備、まぶし返り時は頭上-1段/腰高+1段の可変。」
卿が帰り際、ぽそり。
「声をひくほど、道は光で見えてくる」
「名言、いただきました」
そして恒例。
「値札は——」
(札)——「小さめ固定、星縁で」
「よろしい」
*
ゲートの向こう、地球の深夜。私は《川霞》を“すっ”、小椀をひと口、《白蜜寒》を角で“こと”。灯の残光がまぶたの裏でゆっくり流れる。合言葉は掌で。
(輪)一呼吸。
(二指)右に温、左に冷、奥に灯。
(掌)帰り道まで、あたたかいまま。
私は鍋に湯を立て、《陽だし》を肩寄せに軽く、《川霞ところてん》を“水鏡”仕立てに整える。菓子枠は《白蜜寒(しろみつかん)》を小さめに、蝋(ろう)ものの扱いに備えて指粉(米粉極少)を用意。新装備は“水路ライン(浅)”“無音輪唱札”“防風灯籠(ぼうふうとうろう)”“蝋滴(ろうてき)受け皿”“灯送り台”“水際手袋”“光の合図・川色”。合唱譜は“無音輪唱三行”。
「今日は声を減らす」
「掌で?」と王女セレスティア。
「うん。輪・二指・掌に“灯(あかり)印”を重ねる。右は《陽だし》、左は《川霞》、奥は“灯の受付”。祝句は目で置く」
ビアンカは導線図に“川”の印、ティオは団扇を膝に当てて“静音拍(しずおんび)”。ギルバート卿は胸章の裏に“無音・川”の細線を一本、マダム・コルネは懐中手帳を静かに開いた。
「準備、よろしい?」
「よろしい」
*
王都・川べりの石段。浅い栈(さん)が水に影を敷き、灯籠の列がゆるく脈打つ。屋台連合は川沿いに帯状、私たちは石段の上段に“水路ライン(浅)”をJ→緩S→ほぼIで引き、足元を湿らせないよう“薄打ち水”。頭上には《防風灯籠》を低く、腰高に“無音輪唱札”を三色——青=温、白=冷、金=灯。足元は二拍の“星点”を弱く灯す。川側に《灯送り台》、横に“願い札”の小机。香り屏風は“川霧スリット”で角-1度。
掲示板に太字——
川灯流し=見通し×衛生×拍×無音
・三行は輪・二指・掌+“灯印”の無音版/子ども版併記
・水路ライン(浅)+薄打ち水、滑り対策“砂霧”
・防風灯籠/蝋滴受け皿/水際手袋を標準
・値札は小さめ、星縁ひさし+艶消し粉、合図は“川色”
卿が前へ半歩。声を半分しまい、所作をひとつ増やす。輪で迎え、二指で分け、掌で祝う——掌の中央に小さく“灯印”。三行が、音にならない歌で落ちる。
(輪)——「一呼吸」
(二指)——右《陽だし》、左《川霞》、奥《灯》
(掌)——「帰り道まで」
肩がすっと落ち、川の音だけが残った。
「十秒試食どうぞ」——ティオの囁きは、団扇の端で吸われる。
*
仕込み(見せすぎない距離)
《陽だし小椀・川》
・だし:甘露-1/8、塩“耳かき+1/8”。ゆず針一本。
・器:歩き椀、息返し穴-0.1mm。蓋は“扇縁”浅刻み、“川縁(かわべり)”の微リブ。
《川霞ところてん(出汁割)》
・出汁:淡口+みりん“朝淡”を宵向けに-ひと息。酢は“耳かき-半息”、柑の微粉。
・打ち:ところてんは角落とし“すべり止め”。器縁に“水鏡膜”。
《白蜜寒》
・配合:砂糖:水飴=7:3、白蜜“ひと息”。塩は笑顔塩を針先。
・携行:若草帯+霧返し紙。角に“雨留め点”。
王女が木札(青/緑/白)を配り、ビアンカは水路ラインの角を1度寝かせ、灯の列と干渉しないよう“静音拍”で星点を置く。卿は無音輪唱で“根・骨・縁”の位相を合わせる。
*
事件一:灯の“息切れ”
川風がふっと強まり、送り出した灯が手前で“ふっ”。子どもの掌が冷たくなる。
「防風、ひと節下げ」
私は《防風灯籠》の襟を半節下げ、灯芯を“扇芯”に替える。蝋滴受け皿を一段深く、水際手袋を子どもサイズに追加。王女は掌で“灯印”を長めに、ティオは星点を半拍前へ。
(掌)——「ここで一息」
(灯印)——“点・点・線”
灯が水面に戻り、顔が和らぐ。
*
事件二:蝋の“指すべり”
蝋の薄皮が灯の縁に残り、受け渡しの指が“ぴと”。小さな火傷の危険。
「粉一息、霧一息」
私は指粉を受け渡し角に“ひと息”、霧扇を“-ひと息”で手前に。蝋滴受け皿の縁に“露逃がし筋”。受け角を1度寝かせ、水際手袋を“乾→濡”の順で交換しやすい向きに並べる。
白腕章(衛生巡回)が静かに頷く。
「手袋の順、票に書いて」
(札)——『乾→濡→灯。/器は内→外、縁は扇縁。/最後に手すりと灯送り台。』
判が“ぽん”。肩が落ちる。
*
事件三:川面の“まぶし返り”
対岸の灯が水鏡で増えて見え、足元の星点が薄くなる。年配の足が迷う。
「川色で下へ」
私は《光の合図・川色》を腰高に薄く灯し、頭上の灯は一段落とす。星縁ひさしを3度寝かせ、値札は半歩内。手話の少女が輪・二指・掌に“足指差し”を追加——指先で星点を示す所作。
足が地へ戻った。
*
事件四:願い札の“群れ”
灯の受付で“願い札”が行列の渦を作る。書き終えない人が立ち止まる。
「前段で書こう」
私は“願い仮札”を屋台手前に置き、水路ラインの序盤で書けるように導線を“緩S→緩Z”へ。王女が“輪(迎え)”を少し長めに、卿が“掌(祝)”を短く。
(二指)——「右・左・奥」
(掌)——「道は続く」
渦が消え、灯が進む。
*
中盤。“二口半・川灯セット”。右=小椀、左=川霞、金=白蜜寒半片。緑札は“子ども・年配・灯す人”優先。王女が笑顔珠を掲げ、灯が応える。私は渡す直前に両手一拍、湯気と涼と甘が“すうっ”と分かれる。
「値札は——」
(札)——小さめ固定、星縁ひさしで。
「よろしい」
魔水晶がぴこ。地球のキッチンから。
「進捗どう?」
「笑顔、右152/左168/金139! 冷=川霞が静かにリード」
「帰り道賞は?」
「今夜は“灯送りのあとの小椀”。肩が戻る」
「“川灯だしパック”、十いける?」
「いけます」
世界が二つ、同じ静音拍で動く。
*
臨時講座:無音輪唱の“手順”
自治会が小声で問う。「全員が声を落とすと、合図が見えない人がいる」
「拍と色で補う」
私は黒板札に書く。
『輪=迎え、星点二拍。/二指=青・白・金(腰高の川色で補助)。/掌=祝、灯印“点・点・線”。』
王女が所作を広く、卿が“北の余白”を保持。ティオは団扇を膝で“とん・すっ”。輪が目で歌う。
*
路地口サテライト
石段脇の細道で、灯を抱えた親子が立ち止まる。風が抜けず、灯が苦しい。
「小さな風、通すね」
私は“風受け尾”を短く結び、灯の後ろへ“紙一息”。手話の少女が輪・二指・掌。小さな灯が水へ、親の肩がほどけた。
「ありがとう」
「帰り道まで」
*
小さな迷子
灯を追って欄干に寄りすぎた子。足が石の端で止まる。
「数え歌、目で」
私は黒板札に描く。
『ひとつ、てをあたため(輪)。/ふたつ、みぎ・ひだり(指)。/みっつ、ここ(掌)。』
王女が黙って笑い、ティオが団扇で二拍。子の足が星点に戻る。
「ただいま」
「おかえり」
*
素材メモ
川は“涼前・甘後・肩で締め”。ところてんは酢-半息、柑微粉前。白蜜寒は霜砂-ひと息。小椀は塩+1/8で肩へ。蝋は粉一息で事故を減らす。——文庫“川棚”に追記。
*
終盤。川面の灯が帯になり、遠くで太鼓が三つ。私は川色を一段弱め、星点を前倒し二拍へ。三行は祝句を“灯帰り版”に。
(輪)——いらっしゃいませ(目で)
(二指)——青・白・金
(掌)——「おだやかな夜を。帰り道まで」
「ラスト四十、いきます」
王女が木札を配り、ビアンカが水路ラインの角を1度寝かせ、ティオが「十秒試食どうぞ」と囁く。卿が締めの無音輪唱——胸章の裏の細線が、灯に溶けた。
灯が水へ、肩が面で落ちた。
*
片づけ。灯送り台を拭き、蝋滴受け皿を洗い、防風灯籠を畳む。水際手袋を乾かし、願い仮札を束ねる。マダム・コルネが手帳を閉じる。
「川灯流し、合格。改善三点。
一、“灯印”の形を規格化(点・点・線)、子ども版には印図を添付。
二、指粉“ひと息+露逃がし筋”を灯受け渡し標準へ。
三、川色(腰高灯)を常備、まぶし返り時は頭上-1段/腰高+1段の可変。」
卿が帰り際、ぽそり。
「声をひくほど、道は光で見えてくる」
「名言、いただきました」
そして恒例。
「値札は——」
(札)——「小さめ固定、星縁で」
「よろしい」
*
ゲートの向こう、地球の深夜。私は《川霞》を“すっ”、小椀をひと口、《白蜜寒》を角で“こと”。灯の残光がまぶたの裏でゆっくり流れる。合言葉は掌で。
(輪)一呼吸。
(二指)右に温、左に冷、奥に灯。
(掌)帰り道まで、あたたかいまま。
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一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
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