異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第1章 転生と牧場のはじまり

第9話「妹、異世界へ。そして再会」

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 白い光に包まれて、意識がふわふわと宙に浮いているような感覚が続いた。
 足元の感覚が戻ったとき、天城ひなのはゆっくりと目を開ける。

「……風の音……」

 緑がまぶしい。見渡す限りの牧草地、遠くに広がる森、そして小さな木造の家。
 どこかで牛の鳴き声が聞こえ、風に揺れる鈴の音がした。

「ここって……ほんとに、ゲームの中……?」

 まるで夢の中のような静けさ。だけど、草の匂いも、土の感触も、すべてが“本物”だった。

 ひなのは、確信する。

「お兄ちゃんがいた場所……ここだ」



 一方、牧場の裏手では、はるとが再び足跡の調査をしていた。

「魔獣、近づいてるな……昨夜のあれは警告みたいなもんか」

 今夜が本番になる可能性が高い。村にも通報は済ませたが、ハンターが来るまでに間に合うかは微妙だった。

「くそ、せめてナナだけでも避難ルートを……」

 そのとき、耳に届いた声がある。

「──お兄ちゃんっ!」

「……えっ?」

 振り返ると、そこには──見間違えるはずのない、少女の姿。

「……ひ、ひなの……?」

 制服姿のまま、草原を駆けてくるその姿に、はるとは一瞬言葉を失った。

「ほんとに……お兄ちゃん!? ここにいたの!?」

「な、なんで……! お前、なんでここに……!」

 走り寄ってきたひなのは、勢いよくはるとの胸に飛び込む。

「よかった……会えた……」

「おい、どうなって……どうやってここに来たんだ?」

「わかんない。でも、あのゲームの中に“行く”って選んだら、目が覚めたらここだった……!」

 はるとは唇を引き結ぶ。まさか、ひなのまで来てしまうとは──。

「なんだよこれ、ほんとに“異世界転移”ってやつなのか……?」



 ひなのを牧場の家に案内し、落ち着かせてから状況を説明する。

「……ってことで、俺は今、牧場主やってる。半分ゲームみたいな生活だけど、リアルで命もかかってる」

「命って……」

「ナナっていう牛がいてな、最近魔獣が夜な夜な偵察に来てるみたいで……今夜、本格的に来るかもしれない」

「そんなの……危ないじゃん……!」

 ひなのは唇を噛みしめる。

「でも、俺は逃げない。こっちに来て、初めて“守りたい”って思える場所ができたから」

「……わたしも、ここにいたい。お兄ちゃんと一緒に……」

 その目は真剣だった。
 現実世界で残された彼女の孤独。兄を追ってきた気持ち。
 そのすべてが、この一言に込められていた。

「わかった。でも、今夜は絶対無茶するなよ」

「うん!」



 夕暮れ。リンネも戻ってきた。

「──えっ、ひなのって妹!? 本物の!? ええぇぇぇぇっ!」

「なんでそんな驚く?」

「だって、ゲームのキャラじゃないでしょ!? プレイヤーが2人目ってこと!? 異世界側パニックだよ!?」

「まぁ俺もちょっとパニックだけどな……」

 リンネはひなのに興味津々で、耳をひょこひょこさせながら質問を繰り返した。
 だが、その和やかな時間は長くは続かなかった。

 ──夜。

 風の向きが変わる。動物たちが静かになる。
 そして、草を踏みしめる音。

 がさり。がさり。

「……来た」

 柵の外、森の境目に、細長い影が三つ。ガルクの群れが現れた。

 リンネがすぐに弓を構える。

「三体……ううん、後ろにもう一体いる!」

「ひなの、家の中にいろ! 絶対に出てくるな!」

「わ、わかった!」

 ナナちゃんの牛舎の前に立ち、はるとも鍬を構える。
 ゲームで鍛えたスキル──“体力強化”を発動。

「来いよ、相手になってやる!」

 第一のガルクが飛びかかってくる。リンネの矢がそれを弾き飛ばす。
 はるとは二体目のガルクを鍬で受け止め、地面に叩きつける。

「ぐぅっ……!」

 鋭い爪が腕をかすめる。だが、致命傷ではない。
 後ろに回ったガルクが、柵を破ろうとしたその瞬間──

「ナナちゃんには、近づかないで!!」

 叫びながらひなのが“何か”を手に取っていた。

 それは、匂い札の束。

「これ……投げる!」

 彼女が投げた札の束が風に乗って舞い、魔獣たちの鼻先を刺激する。

「キャンッ!!」

 ガルクが苦鳴を上げて逃げていく。

 ──3体、全てが撤退した。

「はぁ、はぁ……終わった……?」

「ナイス……ひなの……!」

 はるとはへたり込み、リンネもその隣に倒れ込んだ。

「……すごいね、ひなのちゃん。やるじゃん」

「い、いや……わたし、なにも……」

「ううん、十分すぎるくらい助かったよ。ほんと、すごい」

 3人は小さく笑い合った。
 初めての戦い。初めての共同作業。
 不安もあったけど、それ以上に“心強さ”が残った夜だった。



【魔獣撃退ボーナス獲得!】
・親密度:リンネ★★★→★★★★
・家畜防衛評価+30
・ひなの:スキル適性「風・生活」カテゴリ確認
・イベント「きょうだい、再び」開放!


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