13 / 102
第2章 村の仲間と恋の予感
第13話「新しい住人と、はじめての依頼」
しおりを挟む
朝の村道を、はると、ひなの、そしてリンネの3人が並んで歩いていた。
昨日の青空市場で出店を終えたあと、村の会館から「新人牧場主への依頼紹介制度」なるものを教えてもらったのだ。
「依頼って言っても、すっごい難しいことはしないでって言ったから安心していいよね……?」
「うん。『道具の素材集め』って話だったし、たぶん簡単な採集だと思うよ」
「……たぶんって言った」
「ちょ、怖がらせないでくれ」
そんなやり取りをしているうちに、目的地に到着する。
村の外れにある小さな工房──鍛冶屋カイルの店だった。
ギィィ、と重い扉を押して中に入ると、鉄と煤の匂いが立ちのぼる。
「……用件は?」
低く、くぐもった声が響いた。
そこにいたのは、鍛冶エプロン姿の青年。片目が前髪に隠れ、鋭い金色の瞳がこちらを見据えている。
「初めまして。牧場を始めたばかりのはるとって言います。依頼の件で来ました」
「……俺はカイル。見ての通り、鍛冶屋だ。村の武具から農具まで全部、俺が面倒見てる」
「(……しゃべり方が、めっちゃ不器用そう)」
ひなのがそっと小声でつぶやく。
「今回の依頼は、“焼き鉱石のかけら”を3つだ。南の小森に落ちてる。“火花ウサギ”って魔物の巣が近いが……弱いから問題ないだろう」
「う、うん……じゃあ行ってみます!」
「納期は今日中。持ってきたら、報酬10Gと……おまけをやる」
「おまけ……?」
カイルはそれ以上何も言わず、ふいっと顔を背けた。
「……いってらっしゃい」
「(照れてる?)」
リンネとひなのが同時につぶやいた。
---
こうして、3人は小森と呼ばれる林へ足を踏み入れた。
「この辺、空気が気持ちいいね~!」
「ふかふかの落ち葉……あ、足元に気をつけて」
ひなのは地図を確認しながら、はるとは手にスコップ、リンネは小型の弓を背負っている。
しばらくすると、焼き鉱石が地面からのぞいている場所を発見。
「おお、これかも!」
はるとが土を掘ると、黒っぽい鉱石が顔を出す。
しかし、同時に――
「キャキャッ!」
ぴょんっ!
現れたのは、耳が炎のようにゆらめく小さなウサギだった。
「あれが火花ウサギ……!」
「ぴょこぴょこしてて可愛いけど、ちょっと目が赤いよ……」
3匹がこちらを囲むように近づいてくる。
「来るぞ、構えて!」
---
ひとしきりの軽い戦闘。
リンネの矢が一匹を脅かし、はるとの木の棒(簡易杖)で牽制、ひなのは後方支援で足元に水をまくことで熱気を下げる。
「……やった、逃げてった!」
「よかった~。攻撃されなかった……!」
「このメンツ、意外と連携取れてるな」
笑い合いながら、無事に鉱石を3つ採取。
その帰り道――
林の奥で、誰かの泣き声が聞こえた。
「……あれ?」
声のする方に行くと、小さな女の子が木の陰でうずくまっていた。
「どうしたの?」
リンネがしゃがんで声をかけると、少女は目をこすって言う。
「お、おばあちゃんと手を離しちゃって……村まで戻れなくなっちゃったの……」
「迷子だ!」
はるとはすぐに手を差し伸べる。
「大丈夫。俺たちが村まで送っていくから」
「うん……ありがとう、おにいちゃん」
「な、なんかすっかり“お兄ちゃん枠”が定着してきたな……」
---
その後、無事に少女は村に戻り、村長と再会する。
その場で名乗った名前は――「マリィ」。
「この子がいなくなったって、村中で探してたんですよ! 本当にありがとう!」
「いいえ、たまたま森で見つけただけですから」
と微笑むはるとたちを見て、マリィはまっすぐ言った。
「わたし、お兄ちゃんたちの牧場、ぜったい遊びに行く!」
「え、ぜひ」
「お菓子作ってね! お姉ちゃん!」
「えっ、が、がんばります……!」
ひなのの頬が真っ赤になった。
---
そして夕方、鉱石を持ってカイルの元へ。
「……これでいいのか?」
「ああ。……見事な出来だ。約束の10G。そして、これだ」
カイルが差し出したのは、手作りのミニサイズ鍬(くわ)。
「小さいけど、しっかり鍛えた。“妹さん”用に……だ」
「……っ、ありがとう!」
ひなのがきゅっと鍬を抱きしめた。
「これで、わたしも本格的に牧場仕事ができる……!」
カイルは照れたように帽子を目深にかぶり直し、ぽつりと言った。
「次は……“斧”が必要になるだろ。材料が集まったら、また来い」
「うん、お願いする!」
---
【イベント完了:はじめての依頼】
・報酬:10G+「ひなの用ミニ鍬」獲得!
・村人マリィと出会いました
・カイルの信頼+10/新依頼が解放されました
【次の目標:牧場エリアの拡張へ】
---
昨日の青空市場で出店を終えたあと、村の会館から「新人牧場主への依頼紹介制度」なるものを教えてもらったのだ。
「依頼って言っても、すっごい難しいことはしないでって言ったから安心していいよね……?」
「うん。『道具の素材集め』って話だったし、たぶん簡単な採集だと思うよ」
「……たぶんって言った」
「ちょ、怖がらせないでくれ」
そんなやり取りをしているうちに、目的地に到着する。
村の外れにある小さな工房──鍛冶屋カイルの店だった。
ギィィ、と重い扉を押して中に入ると、鉄と煤の匂いが立ちのぼる。
「……用件は?」
低く、くぐもった声が響いた。
そこにいたのは、鍛冶エプロン姿の青年。片目が前髪に隠れ、鋭い金色の瞳がこちらを見据えている。
「初めまして。牧場を始めたばかりのはるとって言います。依頼の件で来ました」
「……俺はカイル。見ての通り、鍛冶屋だ。村の武具から農具まで全部、俺が面倒見てる」
「(……しゃべり方が、めっちゃ不器用そう)」
ひなのがそっと小声でつぶやく。
「今回の依頼は、“焼き鉱石のかけら”を3つだ。南の小森に落ちてる。“火花ウサギ”って魔物の巣が近いが……弱いから問題ないだろう」
「う、うん……じゃあ行ってみます!」
「納期は今日中。持ってきたら、報酬10Gと……おまけをやる」
「おまけ……?」
カイルはそれ以上何も言わず、ふいっと顔を背けた。
「……いってらっしゃい」
「(照れてる?)」
リンネとひなのが同時につぶやいた。
---
こうして、3人は小森と呼ばれる林へ足を踏み入れた。
「この辺、空気が気持ちいいね~!」
「ふかふかの落ち葉……あ、足元に気をつけて」
ひなのは地図を確認しながら、はるとは手にスコップ、リンネは小型の弓を背負っている。
しばらくすると、焼き鉱石が地面からのぞいている場所を発見。
「おお、これかも!」
はるとが土を掘ると、黒っぽい鉱石が顔を出す。
しかし、同時に――
「キャキャッ!」
ぴょんっ!
現れたのは、耳が炎のようにゆらめく小さなウサギだった。
「あれが火花ウサギ……!」
「ぴょこぴょこしてて可愛いけど、ちょっと目が赤いよ……」
3匹がこちらを囲むように近づいてくる。
「来るぞ、構えて!」
---
ひとしきりの軽い戦闘。
リンネの矢が一匹を脅かし、はるとの木の棒(簡易杖)で牽制、ひなのは後方支援で足元に水をまくことで熱気を下げる。
「……やった、逃げてった!」
「よかった~。攻撃されなかった……!」
「このメンツ、意外と連携取れてるな」
笑い合いながら、無事に鉱石を3つ採取。
その帰り道――
林の奥で、誰かの泣き声が聞こえた。
「……あれ?」
声のする方に行くと、小さな女の子が木の陰でうずくまっていた。
「どうしたの?」
リンネがしゃがんで声をかけると、少女は目をこすって言う。
「お、おばあちゃんと手を離しちゃって……村まで戻れなくなっちゃったの……」
「迷子だ!」
はるとはすぐに手を差し伸べる。
「大丈夫。俺たちが村まで送っていくから」
「うん……ありがとう、おにいちゃん」
「な、なんかすっかり“お兄ちゃん枠”が定着してきたな……」
---
その後、無事に少女は村に戻り、村長と再会する。
その場で名乗った名前は――「マリィ」。
「この子がいなくなったって、村中で探してたんですよ! 本当にありがとう!」
「いいえ、たまたま森で見つけただけですから」
と微笑むはるとたちを見て、マリィはまっすぐ言った。
「わたし、お兄ちゃんたちの牧場、ぜったい遊びに行く!」
「え、ぜひ」
「お菓子作ってね! お姉ちゃん!」
「えっ、が、がんばります……!」
ひなのの頬が真っ赤になった。
---
そして夕方、鉱石を持ってカイルの元へ。
「……これでいいのか?」
「ああ。……見事な出来だ。約束の10G。そして、これだ」
カイルが差し出したのは、手作りのミニサイズ鍬(くわ)。
「小さいけど、しっかり鍛えた。“妹さん”用に……だ」
「……っ、ありがとう!」
ひなのがきゅっと鍬を抱きしめた。
「これで、わたしも本格的に牧場仕事ができる……!」
カイルは照れたように帽子を目深にかぶり直し、ぽつりと言った。
「次は……“斧”が必要になるだろ。材料が集まったら、また来い」
「うん、お願いする!」
---
【イベント完了:はじめての依頼】
・報酬:10G+「ひなの用ミニ鍬」獲得!
・村人マリィと出会いました
・カイルの信頼+10/新依頼が解放されました
【次の目標:牧場エリアの拡張へ】
---
150
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる