異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第5章 拡がる牧場と迫る影

第50話「影の終焉と春の芽吹き」

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記憶の地の最奥――かつて瘴気に覆われていた空間には、いまや静謐な春の気配が漂っていた。

黒泥の核が砕け、光の種が芽吹いたことで、空間全体が徐々に変容し始めていた。

壁に刻まれた古代文字は薄桃色に輝き、空気には花のような香りが漂う。

ひなのはそっと跪き、小さな芽を指先で包み込んだ。

「この子が……“希望の種”の芽……」

「新しい命ってやつだな。瘴気じゃなくて、再生のエネルギーになってる」

悠翔がひなのの隣にしゃがみ、芽をじっと見つめる。

「こうしてまた、誰かのための癒しが生まれるんだね」

リンネは弓を背負い、リオは剣を納めて、それぞれ深く息を吐いた。

「やり遂げたな。まさか、本当に闇を消せるなんて思ってなかった」

「でも、終わったわけじゃない」

ひなのは立ち上がり、広間を見渡す。

「この記憶の地も、影が消えたことで崩れ始めてる。ここから出なきゃ」

その言葉を合図に、広間の天井から細かな石片がパラパラと落ち始めた。

> 【システムアラート:記憶の地、構造崩壊まで残り時間 45 分】 ・退避ルートが開かれました。地図を参照してください。



「行こう!」

4人は駆け出す。

だが途中、影の核があった中心部に残されていた一冊の本が、ふわりと宙に浮かんだ。

「これは……ソエルさんの調合ノート……?」

ひなのが手を伸ばすと、それは自然に手の中に収まり、優しく光った。

> 【ソエルの調合書】を入手しました。 ・高度調合レシピを多数収録 ・新スキル「調合・上級」解放条件の一部を満たしました



「……ありがとう、必ず活かします」


---

脱出ルートは地下水脈を通って外へ繋がっていた。ひなのは水の音と土の匂いに包まれながら、兄や仲間と肩を並べて進んだ。

途中、地震のような揺れが何度も彼らを襲ったが、そのたびに誰かが支え、声をかけ、助け合って前に進んだ。

「……これが、あたし達の旅だったんだな」

リンネの独り言に、誰もが頷く。

そして、出口の光が見えたとき――

世界は変わっていた。

見慣れた草原が広がり、瘴気に曇っていた森が清らかな緑を取り戻していた。

鳥がさえずり、風が穏やかに吹き抜ける。

「帰ってきた……!」

村人たちが走ってきて、ひなのたちを迎えた。

「牧場に光が戻ったよ!」

「森の花が咲いたんだ!」

リンネやリオが微笑み、悠翔が手を広げた。

「これから、また新しい季節が始まるな」

ひなのは、ソエルのノートと芽吹いた“希望の種”を胸に抱き、しっかりと頷いた。

「うん。癒しの牧場として……私たちの物語は、まだまだ続くから」

春の陽光が、彼らを包み込んだ。


---

【イベント完了:影の終焉と春の芽吹き】 ・記憶の地より無事生還 ・瘴気の完全浄化成功、周囲地域に影響拡大 ・ソエルの知識を継承、新スキル解放条件を達成 ・希望の種が正式に牧場の新たな癒し力となる

【次の目標:国境を越え、新たな使命へ】 ・牧場に戻り、新施設“調合温室”の建設を開始せよ ・王都よりの招待状を確認すること
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