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第6章 国境を越えて
第51話「旅立ちの朝、未知への扉」
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春の陽差しが優しく牧場を包む朝。いつもなら動物たちの鳴き声に混ざって、ひなのと悠翔の笑い声が響く時間。だがこの日は、少し違っていた。
「お兄ちゃん……本当に、行くの?」
ひなのの問いに、悠翔はゆっくりと頷いた。
「うん。でも行きっぱなしじゃない。すぐ戻るさ。王都の調査団からの依頼だし、それに――」
悠翔はそっと牧場の柵に手を添えた。
「この場所を守るために、俺たちに何ができるか、知るための旅だ」
牧場の一角に建設が進んでいる調合温室。その土台には、ひなのが浄化した“希望の種”がすでに根付き、葉を揺らしていた。
「ここが癒しの力の中心になるなら、その力がどんなふうに広がっていくかを見てみたいんだ」
ひなのは迷うように視線を落とし、しかしすぐに笑みを浮かべた。
「じゃあ、あたしは牧場を守ってる。動物たちも、温室も、ぜんぶ」
その言葉に、悠翔の瞳が優しく揺れる。
「頼んだ。リンネとリオもついててくれるから大丈夫だと思うけど、何かあったらすぐ呼んでくれよ」
「うん!」
そこにやってきたのは、リンネとリオ。
「準備はいい? 荷物は馬車に積み込んだわ」
「王都までは三日の旅。途中の宿場は一か所だけ。あまり気を抜くなよ」
悠翔は頷きながら、ひなのに手を差し出す。
「じゃあ、行ってくる。またすぐ戻ってくるよ」
ひなのはその手を両手で包み込んだ。
「気をつけてね、お兄ちゃん」
---
出発を見送ったあと、ひなのはナナ(牛)やリンリン(羊)の世話を丁寧にこなしていく。
「みんな、お兄ちゃんはすぐ戻ってくるからね。今度はお土産、期待してもいいかも」
調合所では、ミーナが来て設備の確認を手伝ってくれていた。
「温室、だいぶ形になってきたね。あと一週間もすれば使えるんじゃない?」
「うん、春の薬草も育ち始めてるし、調合実験も捗るよ」
ひなのは薬草棚から乾燥したラベンダーを取り出す。
「これは、安眠用のお茶に。王都の人たちも、ちゃんと眠れてるかな……」
そんな独り言に、ミーナは笑った。
「王都に行っても、きっとお兄ちゃんのことだから畑とか動物とか気にしてるよ」
その夜、ひなのは屋根裏の小窓から夜空を見上げる。
「見ててね、お兄ちゃん。あたしも、ちゃんと頑張ってるから」
---
その頃、王都へ向かう街道の途中。
馬車の中で揺られる悠翔たち。
「なあ、今回の調査って本当に“影”が関係してるのか?」
リオの問いに、リンネが答える。
「王都近郊の森で、枯れない花が咲いたって話があってね。でもその周囲にだけ動物が近寄らない。魔素の流れもおかしいって」
「それって……希望の種と似てるような、違うような……」
悠翔の頭に、あの記憶の地での戦いがよぎる。
「影の瘴気じゃなくて、何か別の……新しい力?」
「かもしれない。だからこそ、癒しの力を持つお前の存在が必要なんだよ」
リンネがそう言うと、馬車ががたんと跳ねた。
「……ああもう、あたしが運転したほうが早いってば」
「リンネ、それ言うたびに事故起こしてんだろ?」
そんな軽口の中にも、どこか緊張が滲んでいた。
---
王都は遠くにその塔を望む巨大都市だった。
日が暮れ始めた頃、三人の乗った馬車は王都外縁の宿場町に到着する。
街には異国の香辛料、珍しい植物や工芸品が並び、にぎやかな声と音楽が溢れていた。
「……すげぇな。ここが、王都の入口か」
悠翔は荷物を背負い直し、深く息を吸った。
「見ててくれよ、ひなの。俺、もっと強くなって帰ってくる」
---
【イベント完了:旅立ちと再決意】 ・悠翔、王都調査に出発! ・ひなの、温室建設と牧場運営を本格化 ・リンネ、リオと共に王都への新章開始
【次の目標:王都の調査任務と“癒しの力”の謎を追え!】
「お兄ちゃん……本当に、行くの?」
ひなのの問いに、悠翔はゆっくりと頷いた。
「うん。でも行きっぱなしじゃない。すぐ戻るさ。王都の調査団からの依頼だし、それに――」
悠翔はそっと牧場の柵に手を添えた。
「この場所を守るために、俺たちに何ができるか、知るための旅だ」
牧場の一角に建設が進んでいる調合温室。その土台には、ひなのが浄化した“希望の種”がすでに根付き、葉を揺らしていた。
「ここが癒しの力の中心になるなら、その力がどんなふうに広がっていくかを見てみたいんだ」
ひなのは迷うように視線を落とし、しかしすぐに笑みを浮かべた。
「じゃあ、あたしは牧場を守ってる。動物たちも、温室も、ぜんぶ」
その言葉に、悠翔の瞳が優しく揺れる。
「頼んだ。リンネとリオもついててくれるから大丈夫だと思うけど、何かあったらすぐ呼んでくれよ」
「うん!」
そこにやってきたのは、リンネとリオ。
「準備はいい? 荷物は馬車に積み込んだわ」
「王都までは三日の旅。途中の宿場は一か所だけ。あまり気を抜くなよ」
悠翔は頷きながら、ひなのに手を差し出す。
「じゃあ、行ってくる。またすぐ戻ってくるよ」
ひなのはその手を両手で包み込んだ。
「気をつけてね、お兄ちゃん」
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出発を見送ったあと、ひなのはナナ(牛)やリンリン(羊)の世話を丁寧にこなしていく。
「みんな、お兄ちゃんはすぐ戻ってくるからね。今度はお土産、期待してもいいかも」
調合所では、ミーナが来て設備の確認を手伝ってくれていた。
「温室、だいぶ形になってきたね。あと一週間もすれば使えるんじゃない?」
「うん、春の薬草も育ち始めてるし、調合実験も捗るよ」
ひなのは薬草棚から乾燥したラベンダーを取り出す。
「これは、安眠用のお茶に。王都の人たちも、ちゃんと眠れてるかな……」
そんな独り言に、ミーナは笑った。
「王都に行っても、きっとお兄ちゃんのことだから畑とか動物とか気にしてるよ」
その夜、ひなのは屋根裏の小窓から夜空を見上げる。
「見ててね、お兄ちゃん。あたしも、ちゃんと頑張ってるから」
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その頃、王都へ向かう街道の途中。
馬車の中で揺られる悠翔たち。
「なあ、今回の調査って本当に“影”が関係してるのか?」
リオの問いに、リンネが答える。
「王都近郊の森で、枯れない花が咲いたって話があってね。でもその周囲にだけ動物が近寄らない。魔素の流れもおかしいって」
「それって……希望の種と似てるような、違うような……」
悠翔の頭に、あの記憶の地での戦いがよぎる。
「影の瘴気じゃなくて、何か別の……新しい力?」
「かもしれない。だからこそ、癒しの力を持つお前の存在が必要なんだよ」
リンネがそう言うと、馬車ががたんと跳ねた。
「……ああもう、あたしが運転したほうが早いってば」
「リンネ、それ言うたびに事故起こしてんだろ?」
そんな軽口の中にも、どこか緊張が滲んでいた。
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王都は遠くにその塔を望む巨大都市だった。
日が暮れ始めた頃、三人の乗った馬車は王都外縁の宿場町に到着する。
街には異国の香辛料、珍しい植物や工芸品が並び、にぎやかな声と音楽が溢れていた。
「……すげぇな。ここが、王都の入口か」
悠翔は荷物を背負い直し、深く息を吸った。
「見ててくれよ、ひなの。俺、もっと強くなって帰ってくる」
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【イベント完了:旅立ちと再決意】 ・悠翔、王都調査に出発! ・ひなの、温室建設と牧場運営を本格化 ・リンネ、リオと共に王都への新章開始
【次の目標:王都の調査任務と“癒しの力”の謎を追え!】
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