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第8章 世界を揺らす黒雲
第72話「避難所計画と、届けられた手紙」
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翌朝、牧場の納屋に集まった村の代表者たちは、悠翔の描いた避難所の設計図を囲んでいた。
「なるほど……牛舎を仕切って、家畜とは別に人が泊まれるスペースを確保する、と」
「納屋の2階は布団と薪を備蓄、地下倉庫には保存食。水は井戸と、雨水の濾過装置。これ、どこで手に入れたんだ?」
「俺のスキルで作ったんです。女神の加護、みたいなもんで」
悠翔の言葉に、年配の村人たちは眉を上げたが、否定する者はいなかった。この数年、悠翔が村に尽くしてきたことを誰もが知っている。
「それにしても……こんな設備をすぐ用意できるなんて」
「スキルの力もあるけど、一番の理由は……こういうときに、動けるようにしておきたかったんです」
悠翔は遠くを見ながら言った。あの黒雲を見て以来、彼の中の“何か”が目を覚ましたように感じていた。
「よし、わかった。俺たちも協力する。木材や藁は明日までに集めよう」
「食料は保存できるものを選別して持ち寄ろう」
皆がそれぞれの役割を持って立ち上がっていく。小さな村の中で、それぞれが大切な力だ。
その日の午後、悠翔は森へ入っていた。避難所の周囲に生えている薬草や、防虫になる木の皮を集めていたところで、ふと、見覚えのある影を見かけた。
「……あれは、シリル?」
森の奥から、若い女性の姿が現れた。かつて村を訪れた、旅の魔法使い。彼女もまた、黒雲を感じてここへ戻ってきたのだという。
「悠翔くん、久しぶり。……来るべきときが来たみたいね」
「やっぱり、あの黒雲、普通じゃないんだな」
「ええ。今はまだ“芽吹き”の段階。でも放っておけば、世界全体が飲み込まれる」
彼女は小さな布包みを差し出した。中には、特殊な粉末が入っていた。
「これは“結界粉”よ。使い方は紙に書いてあるわ。これを四方に撒けば、一時的に“闇の根”の浸食を防げる」
「ありがとう。でも……君は?」
「私は他にも回らないといけない村があるの。あなただけじゃない、他にもこの世界を守ろうとしてる人がいる。だから、信じて」
彼女は微笑み、再び森の中へと姿を消した。
──俺も、この場所を守る。
牧場に戻った悠翔は、すぐに村の有志と共に、牧場の敷地境界四隅に粉を撒いた。結界が発動すると、空気が変わり、風が柔らかくなった。
夕方、ひなのが手紙を持ってきた。
「おにいちゃん、さっきね、誰かがこれ、牧場の門に置いてたよ」
そこには、封蝋で閉じられた小さな便箋があった。宛名もなく、開いてみると、精緻な文字でこう記されていた。
---
「悠翔へ。
君の選択を見ている。
進むべき道は、自らの手で選び取れ。
……近いうちに、試練が訪れるだろう。
だが、恐れるな。君の手は、世界を癒す力を持っている。」
---
誰からのものか分からない。けれど、確かな“力”の余韻が残っていた。
夜、悠翔は空を見上げる。西の空は、昼よりも濃く、黒雲が広がっていた。
「もう、待ってはいられないな」
ひなのが隣に座ってきた。
「おにいちゃん、こわいの?」
「……うん。こわいよ。でも、守りたいから、動くんだ」
「わたし、おにいちゃんといっしょにいる」
その言葉だけで、胸の奥に光が差し込むようだった。
──妹を守りたい。この村を守りたい。
──そのためなら、立ち向かえる。
悠翔は、夜風に吹かれながら、明日から始まる“準備”に向けて、静かに気を引き締めた。
---
【イベントログ】
イベント達成:避難所計画、村民の協力を得て本格始動
特殊アイテム獲得:「結界粉」×1セット(効果:闇の浸食を一時無効化)
新キャラ再登場:旅の魔法使い「シリル」より支援を受ける
謎の手紙入手:不明の存在からの予告と激励
次の目標:「黒雲」の浸食が本格化する前に、村全体の備えと防衛体制を整える
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「なるほど……牛舎を仕切って、家畜とは別に人が泊まれるスペースを確保する、と」
「納屋の2階は布団と薪を備蓄、地下倉庫には保存食。水は井戸と、雨水の濾過装置。これ、どこで手に入れたんだ?」
「俺のスキルで作ったんです。女神の加護、みたいなもんで」
悠翔の言葉に、年配の村人たちは眉を上げたが、否定する者はいなかった。この数年、悠翔が村に尽くしてきたことを誰もが知っている。
「それにしても……こんな設備をすぐ用意できるなんて」
「スキルの力もあるけど、一番の理由は……こういうときに、動けるようにしておきたかったんです」
悠翔は遠くを見ながら言った。あの黒雲を見て以来、彼の中の“何か”が目を覚ましたように感じていた。
「よし、わかった。俺たちも協力する。木材や藁は明日までに集めよう」
「食料は保存できるものを選別して持ち寄ろう」
皆がそれぞれの役割を持って立ち上がっていく。小さな村の中で、それぞれが大切な力だ。
その日の午後、悠翔は森へ入っていた。避難所の周囲に生えている薬草や、防虫になる木の皮を集めていたところで、ふと、見覚えのある影を見かけた。
「……あれは、シリル?」
森の奥から、若い女性の姿が現れた。かつて村を訪れた、旅の魔法使い。彼女もまた、黒雲を感じてここへ戻ってきたのだという。
「悠翔くん、久しぶり。……来るべきときが来たみたいね」
「やっぱり、あの黒雲、普通じゃないんだな」
「ええ。今はまだ“芽吹き”の段階。でも放っておけば、世界全体が飲み込まれる」
彼女は小さな布包みを差し出した。中には、特殊な粉末が入っていた。
「これは“結界粉”よ。使い方は紙に書いてあるわ。これを四方に撒けば、一時的に“闇の根”の浸食を防げる」
「ありがとう。でも……君は?」
「私は他にも回らないといけない村があるの。あなただけじゃない、他にもこの世界を守ろうとしてる人がいる。だから、信じて」
彼女は微笑み、再び森の中へと姿を消した。
──俺も、この場所を守る。
牧場に戻った悠翔は、すぐに村の有志と共に、牧場の敷地境界四隅に粉を撒いた。結界が発動すると、空気が変わり、風が柔らかくなった。
夕方、ひなのが手紙を持ってきた。
「おにいちゃん、さっきね、誰かがこれ、牧場の門に置いてたよ」
そこには、封蝋で閉じられた小さな便箋があった。宛名もなく、開いてみると、精緻な文字でこう記されていた。
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「悠翔へ。
君の選択を見ている。
進むべき道は、自らの手で選び取れ。
……近いうちに、試練が訪れるだろう。
だが、恐れるな。君の手は、世界を癒す力を持っている。」
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誰からのものか分からない。けれど、確かな“力”の余韻が残っていた。
夜、悠翔は空を見上げる。西の空は、昼よりも濃く、黒雲が広がっていた。
「もう、待ってはいられないな」
ひなのが隣に座ってきた。
「おにいちゃん、こわいの?」
「……うん。こわいよ。でも、守りたいから、動くんだ」
「わたし、おにいちゃんといっしょにいる」
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