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67話『ひなのの涙と、スキルの小さな暴走!?』
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「ひなのちゃーん、おはようございまーす!」
保育園の門の前で、ひなのはにっこり――するはずだったが、なぜか今日は麻衣の後ろにぴったりくっついて離れなかった。
「ひなの? どうしたの?」
麻衣がしゃがんで顔をのぞきこむと、ひなのは口をへの字にして首をぶんぶん振る。
「いきたくないのぉ……」
先生が心配そうに駆け寄ってきた。「おはようございます。ひなのちゃん、どうかしました?」
「うーん……家では元気だったんですけど……ね?」
そのとき、麻衣のスマホが小さく震えた。
> 《ことばの架け橋》スキル通知
対象:ひなの
感情:混乱/不安/“見られたくない”
(えっ……見られたくない?)
麻衣はそっとひなのの肩に手を置いた。
「もしかして、昨日の工作、ちょっと恥ずかしいと思ってる?」
ビクッと反応するひなの。
「……うん……へんな顔になっちゃったの……みんな、わらうかも……」
(なるほど、昨日の絵の顔が気に入らなかったんだ)
麻衣は優しく頷きながら、少し考える。
(“架け橋のフォトグラファー”のサブ効果、“イメージを映像にする力”……試してみようか)
「じゃあね、ひなの。ママの魔法、ちょっとだけ使っていい?」
「まほう?」
「うん。“笑顔ってね、うつるんだよ”って気持ちを、ひなのの心にポンって入れてあげる」
麻衣は目を閉じ、小さく「ぽん」と呟く。
――その瞬間、ひなのの目の前にふわっと浮かぶ、やさしい映像。
それは、以前クラスの友達が笑顔でひなのの絵をほめてくれた、あの日の場面。
映像はほんの数秒で消えたが、ひなのの瞳がぱっと輝いた。
「……ほんと?」
「うん。笑ってくれる子、きっといるよ」
ひなのはぐっとこぶしを握って、ゆっくり先生の方に歩き出した。
「……いく! がんばる!」
---
◆予想外の余波
そしてその日のお迎え――
「田仲さーん! あの、今日の……なにか、ありました?」
先生が慌てて駆け寄ってくる。
「ひなのちゃん、急に絵を見せたあと、クラスの子たちに“笑顔の魔法だよ!”って言いながら、次々と“ぽんっ!”ってやりはじめて……」
「えっ」
「そしたら、みんな“見えた!”って言い出して、教室が一時プチ騒ぎに……」
麻衣、青ざめる。
(まさか……イメージの映像、クラス全体にうつっちゃった!?)
その夜。
「ひなの、きょうね、みんなに“まほう”したの」
「……うん、ママも聞いた」
「“みえるー!”っていっぱい言われて、たのしかった!」
「……そっか、それはよかった、かな……」
苦笑いしながら、麻衣はスマホに視線を落とす。
> 《サブスキル調整中:効果の範囲が想定より拡大している可能性があります》
(うーん、これ、けっこう“バグ”ってるかも……)
---
◆翌朝のLINE
園の保護者LINEグループには、朝からこんな投稿が並ぶ。
「うちの子、昨日“ひなのちゃんの魔法、すごかった”って言ってました。何があったの?笑」
「笑顔の魔法……めっちゃ可愛い。うちの子、帰ってから鏡に“ぽんっ”ってやってたw」
「ひなのちゃん、スターかも!✨」
麻衣はそれを見ながら、肩を落とすどころか、ぽつりと呟いた。
「……えーっと、これはこれで、まぁ……いいのかな?」
そこへ悠翔がやってきた。
「ママ。“笑顔の魔法”って、俺にもやってくれない?」
「え? どうしたの?」
「今日、漢字テスト……笑顔で乗り切れるかもしれない」
麻衣は思わず笑った。
「じゃあ特別に……“ぽんっ”!」
---
◆締めくくり
見えない力で誰かの心が軽くなる――
それがスキルだとしても、そうじゃなかったとしても。
麻衣は今日も、いつもと変わらずやさしく言葉をかける。
「笑顔の魔法、また明日も使えるといいな」
---
保育園の門の前で、ひなのはにっこり――するはずだったが、なぜか今日は麻衣の後ろにぴったりくっついて離れなかった。
「ひなの? どうしたの?」
麻衣がしゃがんで顔をのぞきこむと、ひなのは口をへの字にして首をぶんぶん振る。
「いきたくないのぉ……」
先生が心配そうに駆け寄ってきた。「おはようございます。ひなのちゃん、どうかしました?」
「うーん……家では元気だったんですけど……ね?」
そのとき、麻衣のスマホが小さく震えた。
> 《ことばの架け橋》スキル通知
対象:ひなの
感情:混乱/不安/“見られたくない”
(えっ……見られたくない?)
麻衣はそっとひなのの肩に手を置いた。
「もしかして、昨日の工作、ちょっと恥ずかしいと思ってる?」
ビクッと反応するひなの。
「……うん……へんな顔になっちゃったの……みんな、わらうかも……」
(なるほど、昨日の絵の顔が気に入らなかったんだ)
麻衣は優しく頷きながら、少し考える。
(“架け橋のフォトグラファー”のサブ効果、“イメージを映像にする力”……試してみようか)
「じゃあね、ひなの。ママの魔法、ちょっとだけ使っていい?」
「まほう?」
「うん。“笑顔ってね、うつるんだよ”って気持ちを、ひなのの心にポンって入れてあげる」
麻衣は目を閉じ、小さく「ぽん」と呟く。
――その瞬間、ひなのの目の前にふわっと浮かぶ、やさしい映像。
それは、以前クラスの友達が笑顔でひなのの絵をほめてくれた、あの日の場面。
映像はほんの数秒で消えたが、ひなのの瞳がぱっと輝いた。
「……ほんと?」
「うん。笑ってくれる子、きっといるよ」
ひなのはぐっとこぶしを握って、ゆっくり先生の方に歩き出した。
「……いく! がんばる!」
---
◆予想外の余波
そしてその日のお迎え――
「田仲さーん! あの、今日の……なにか、ありました?」
先生が慌てて駆け寄ってくる。
「ひなのちゃん、急に絵を見せたあと、クラスの子たちに“笑顔の魔法だよ!”って言いながら、次々と“ぽんっ!”ってやりはじめて……」
「えっ」
「そしたら、みんな“見えた!”って言い出して、教室が一時プチ騒ぎに……」
麻衣、青ざめる。
(まさか……イメージの映像、クラス全体にうつっちゃった!?)
その夜。
「ひなの、きょうね、みんなに“まほう”したの」
「……うん、ママも聞いた」
「“みえるー!”っていっぱい言われて、たのしかった!」
「……そっか、それはよかった、かな……」
苦笑いしながら、麻衣はスマホに視線を落とす。
> 《サブスキル調整中:効果の範囲が想定より拡大している可能性があります》
(うーん、これ、けっこう“バグ”ってるかも……)
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◆翌朝のLINE
園の保護者LINEグループには、朝からこんな投稿が並ぶ。
「うちの子、昨日“ひなのちゃんの魔法、すごかった”って言ってました。何があったの?笑」
「笑顔の魔法……めっちゃ可愛い。うちの子、帰ってから鏡に“ぽんっ”ってやってたw」
「ひなのちゃん、スターかも!✨」
麻衣はそれを見ながら、肩を落とすどころか、ぽつりと呟いた。
「……えーっと、これはこれで、まぁ……いいのかな?」
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「ママ。“笑顔の魔法”って、俺にもやってくれない?」
「え? どうしたの?」
「今日、漢字テスト……笑顔で乗り切れるかもしれない」
麻衣は思わず笑った。
「じゃあ特別に……“ぽんっ”!」
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◆締めくくり
見えない力で誰かの心が軽くなる――
それがスキルだとしても、そうじゃなかったとしても。
麻衣は今日も、いつもと変わらずやさしく言葉をかける。
「笑顔の魔法、また明日も使えるといいな」
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