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100話『家族の休日と、100回分のありがとう』
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朝の陽ざしが心地よい土曜日。麻衣はキッチンでパンケーキを焼きながら、ふと小さく息をついた。
「はるとー、ひなのー、そろそろ起きてー! 今日は家族でおでかけするよー!」
「えー、まだ眠い~」とひなのの声が返り、続いて「えっ、今日ってどこ行くの!?」と悠翔のやや高めのテンションの声が続いた。
雄一はすでにコーヒーを淹れて、ぼんやりテレビのニュースを眺めている。
「今日はたしか……ほら、ひなのが前から言ってた“ふわふわドーム”のある公園、行くんだったよな?」
「わーい! ふわふわするー!!」とひなのがすでに元気全開で、パジャマのままリビングを走り回る。
「ちゃんと着替えてからね~!」と麻衣。
なんてことのない、普通の休日の朝――
でも、今日は“第100話”。
記念すべき物語の節目にふさわしく、ちょっぴり特別な一日にしようと、麻衣は思っていた。
向かったのは、郊外にある自然いっぱいの大型公園。
ひなのが楽しみにしていたふわふわドームに、悠翔はローラースケート広場。そして雄一は、のんびり芝生で昼寝……のはずだった。
「ねえ、あの人、倒れてない?」
ひなのがふと指差したのは、売店の裏でしゃがみこんでいた若い女性だった。
「ちょっと、行ってみようか」
麻衣はすぐに駆け寄り、声をかけた。
「大丈夫ですか? 熱中症ですか?」
「す、すみません……めまいがして……」
スマホを見ると、麻衣のスキルアプリが自動で反応する。
> 《スキル反応:接触中/感情不安定:疲労・不安・空腹》
「お水持ってきますね!」
雄一が即座に走り、近くの自販機でペットボトルを購入して戻ってくる。悠翔は小さな保冷バッグを渡し、ひなのは「これ、あげる」とラムネを差し出した。
麻衣はそっと女性の背をさすりながら、気持ちを落ち着かせるようにゆっくり声をかけ続けた。
> 《パッシブスキル“ゆるやかな共鳴”が発動しました》 > 《対象の情動が安定しました》
女性は数分後、ゆっくりと顔を上げた。
「すみません……助けていただいて……本当に……」
「いいんです。ゆっくり休んでから、無理せず帰ってくださいね。今日は暑いですから」
小さな“事件”は、静かに、優しく収束した。
「お母さんって、やっぱりスゴイんだな……」と悠翔がぽつりとつぶやき、
「ひなのも、お水あげたよ!」とドヤ顔の妹。
雄一はその様子を見て、にやりと笑う。
「なんかさ、いつの間にか“助ける側”になってるんだな、うちの家族」
「ふふ、たしかにね」と麻衣も笑った。
その日一日、公園ではたくさん遊び、たくさん笑った。
お昼のピクニックも、おやつのクレープも、帰りの車内での爆睡も含めて、すべてが愛おしい思い出になった。
夜。
麻衣のスマホには、新たな通知が届いていた。
> 《ミッション“日常の中の奇跡”クリア》 > 《スキル経験値 +100/称号「ゆるふわヒーロー」獲得》
「……何その称号……」
思わず笑ってしまった麻衣は、隣で寝息をたてるひなのにそっと毛布をかけながら、小さくつぶやいた。
「ありがとう、今日も。私にとっては、もう100回以上の“幸せ”だよ」
そして物語は続いていく――
家族の日常と、ちょっぴり不思議なスキルが紡ぐ、温かな物語。
---
皆様の応援のおかげで100話まで書くことが出来ました!
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
「はるとー、ひなのー、そろそろ起きてー! 今日は家族でおでかけするよー!」
「えー、まだ眠い~」とひなのの声が返り、続いて「えっ、今日ってどこ行くの!?」と悠翔のやや高めのテンションの声が続いた。
雄一はすでにコーヒーを淹れて、ぼんやりテレビのニュースを眺めている。
「今日はたしか……ほら、ひなのが前から言ってた“ふわふわドーム”のある公園、行くんだったよな?」
「わーい! ふわふわするー!!」とひなのがすでに元気全開で、パジャマのままリビングを走り回る。
「ちゃんと着替えてからね~!」と麻衣。
なんてことのない、普通の休日の朝――
でも、今日は“第100話”。
記念すべき物語の節目にふさわしく、ちょっぴり特別な一日にしようと、麻衣は思っていた。
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「ねえ、あの人、倒れてない?」
ひなのがふと指差したのは、売店の裏でしゃがみこんでいた若い女性だった。
「ちょっと、行ってみようか」
麻衣はすぐに駆け寄り、声をかけた。
「大丈夫ですか? 熱中症ですか?」
「す、すみません……めまいがして……」
スマホを見ると、麻衣のスキルアプリが自動で反応する。
> 《スキル反応:接触中/感情不安定:疲労・不安・空腹》
「お水持ってきますね!」
雄一が即座に走り、近くの自販機でペットボトルを購入して戻ってくる。悠翔は小さな保冷バッグを渡し、ひなのは「これ、あげる」とラムネを差し出した。
麻衣はそっと女性の背をさすりながら、気持ちを落ち着かせるようにゆっくり声をかけ続けた。
> 《パッシブスキル“ゆるやかな共鳴”が発動しました》 > 《対象の情動が安定しました》
女性は数分後、ゆっくりと顔を上げた。
「すみません……助けていただいて……本当に……」
「いいんです。ゆっくり休んでから、無理せず帰ってくださいね。今日は暑いですから」
小さな“事件”は、静かに、優しく収束した。
「お母さんって、やっぱりスゴイんだな……」と悠翔がぽつりとつぶやき、
「ひなのも、お水あげたよ!」とドヤ顔の妹。
雄一はその様子を見て、にやりと笑う。
「なんかさ、いつの間にか“助ける側”になってるんだな、うちの家族」
「ふふ、たしかにね」と麻衣も笑った。
その日一日、公園ではたくさん遊び、たくさん笑った。
お昼のピクニックも、おやつのクレープも、帰りの車内での爆睡も含めて、すべてが愛おしい思い出になった。
夜。
麻衣のスマホには、新たな通知が届いていた。
> 《ミッション“日常の中の奇跡”クリア》 > 《スキル経験値 +100/称号「ゆるふわヒーロー」獲得》
「……何その称号……」
思わず笑ってしまった麻衣は、隣で寝息をたてるひなのにそっと毛布をかけながら、小さくつぶやいた。
「ありがとう、今日も。私にとっては、もう100回以上の“幸せ”だよ」
そして物語は続いていく――
家族の日常と、ちょっぴり不思議なスキルが紡ぐ、温かな物語。
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皆様の応援のおかげで100話まで書くことが出来ました!
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
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