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似た者同士
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(たったおひとりで……)
もし、リオネルが生きていたなら――。
そんな思いが脳裏を過ぎり、リリアは胸の内でひっそりと自嘲する。
そんなふうに考えてしまうのは、結局のところただの“逃げ”だ。一番の問題は、ルイスの傍にいる唯一の“王家の人間”でありながら、何の役にも立てない自分自身だというのに。“お飾りでしかない王太子妃”という現実から、ただ目を背けようとしているだけだ。今は亡き人に縋って。それはなんて愚かで、情けないことだろう。
ゆっくり学んでいきましょう、と、教師たちは言っていたけれど――。僅かに目を伏せ、唇を噛み締めながらリリアは思う。本当にそれで良いのだろうか、と。ゆっくりなんてしていられないのではないだろうか、と。
授業を受け、小休憩の散歩をし、食事を摂ってまた授業を受け、そうして一日を終える。王城へ来てからのそんな毎日は、王族としての務めを全てルイスが果たしてくれているからこそ成り立っているのだ。それを今になって痛感するだなんて――。
(私は、ずっと助けられていただけだったのね……)
リリアとルイスの体格に、殆ど差はない。けれど、そんな小柄な彼の背中には、計り知れないほど大きなものが伸し掛かっている。それはこの国に住まう人々の生活であり命であり、そして王国の果てない未来だ。護らなければならないものが、たくさんある。なにひとつ欠けてはいけないし、なにひとつ崩してもいけない。
それらはどれも、想像を絶するほど重たく、苦しいものだろう。それをルイスは、ずっと背負い続けている。兄を失い、父も病で倒れて久しい今、たったひとりで。まるでそれが当たり前であるかのように、平然な顔をして。
(それでも殿下は、しっかりと立っていらっしゃる)
誰よりも気高く、誰よりも強く――。
重責を背負いながら、それでも前を向き、決して立ち止まることのないルイスが、とても眩しい、と思った。太陽のような人――モーリスの言葉は、正にその通りだ。王国の今と未来を明るく照らそうとする、揺るぎない光。
それに比べて、私は――。七日前に会った時の彼を思い返しながら、リリアはゆっくりと瞬いて、小さな苦笑を静かにこぼす。彼の眩しさを思い知れば知るほど、自分の弱さが容赦なく胸に突き刺さる。
彼の強さと努力に、ただ甘えているだけの日々。今すぐにそれをどうにかしたくても、王太子妃としての教養が十分でないリリアに、出来ることなんて何もない。それがひどく歯痒くてたまらなかった。
きっとクラリスなら、彼を助けることが出来ただろうに――。
「……私は、本当に役立たずですね」
力なくこぼれ落ちた呟きに、セドリックが目を瞠る。息を呑む音がかすかに聞こえたけれど、リリアはあえて目を逸らし、気付かぬふりをしたままそっと踵を返した。
「お茶を、用意いたしますね。……今の私には、それくらいしか出来ませんから」
***
馬車から降りてきたリリアを見た時、セドリックの胸に込み上げたのは歓喜でもなければ感嘆ではなく、同情だった。
“社交界随一の美貌”と謳われていた彼女は、確かに噂と違わぬ美しい容姿をしていた。幼い頃からルイスの傍にいたせいで、美の基準に関しては人一倍口煩いあのクラリスでさえ褒めそやすほど。夜会で彼女に出くわしたことのあるという男たちが、密かに、或いは大胆に狙いをつけていたのにも納得がいった。
あれほどの美貌は、そう滅多にあるものではない。故に、彼女の父であるフレデリクは、リリアの容姿を“価値”と考え、それを利用することを思いついたのだろう。王太子妃選出の会議の際、彼はリリアについて、ただひたすらその容貌ばかりを推していた。顔、顔、顔、顔――。いかに彼女が美しいか、そればかりを繰り返すフレデリクに辟易したものである。その推し様は、まるでリリアの良いところはそこだけしかない、と言っているようなものだった。フレデリクの口ぶりから、彼がリリアを“娘”としてではなく、“駒”としか見ていないのは明白だった。
実際彼女は、そういう生活を強いられていたようだった。産まれてから、ずっと。
フローレット家の使用人に小金を握らせると、面白いほどぼろぼろと喋ってくれたものだ。侯爵家の長女でありながら、屋敷の誰からもそのように扱われてはいなかったこと。古びた狭い部屋を使い、ドレスや装飾品の類は滅多に与えられなかったこと。カトリーヌばかりが寵愛を受け、リリアはひどく冷遇されていたこと。彼女へ対するいじめは日常茶飯事であったこと。お前の価値はその美貌だけだ、と、フレデリクが常々口にしていたこと。
そんな環境で育ってきたのなら、自己肯定感が低いのも無理はない。美貌だけが価値だと言われ続けていたのなら、彼女はその唯一の価値に縋るしかなかったはずだ。
――美貌に、価値などない。
けれどその価値は、結婚初日に早々と、夫の一言によって否定されてしまった。その時のリリアの絶望は、いったいどれほどのものだったろう。ほっそりとした肩が微かに震えていたのを、今でもはっきりと憶えている。あれは怒りではなく、悲しみだった。途方もない絶望を前に打ちひしがれた彼女の、深い悲しみ。ただでさえ華奢な背中がいっそう弱々しく思え、そんな彼女をとても見ていることは出来なかった。
あんな酷な言葉を投げなくとも――。ルイスに対しそう思いはしたものの、しかしセドリックにはどうしても、あの言葉について忠言することが出来なかった。それはルイスが王太子、或いは主人であるからというわけではなく――彼がその類稀な美貌のせいで、どれほど心無い言葉を、厳しく冷たい視線を向けられてきたのかを、よくよく知っているからだった。
あの言葉はリリアにとっては“冷酷な暴言”であっただろう。しかしその一方で、ルイスにとってあの言葉は、ただの“紛うことなき事実”でしかない。美貌には何の価値もないということを、彼は身を以て知っている。それ故に、彼にとっては“事実”以外の何物でもないのだ。
けれど――。リリアの後ろ姿が薄闇の中に消えるのを見届け、セドリックはゆっくりと扉を閉めながら思う。もしかしたらあれは、彼女を救う一言でもあったのではないだろうか、と。“美貌”という価値に囚われてしまった彼女を、その呪縛から開放する為の一言。
「――目を覚ましておられることに、お気付きだと思いますよ」
未だソファに横たわったままの主人に向け、セドリックは苦笑を滲ませながら告げる。お茶を用意する、とリリアは言っていた。それはセドリックの為ではなく、ルイスの為であるのは、考えるまでもない。
僅かな沈黙の後、顔にのせていた腕を退けて、ルイスが徐ろに身を起こした。眉間に、くっきりとした濃い皺を刻んで。
「余計なことをぺらぺらと喋るな」
苦虫を噛み潰したような顔で前髪を掻き上げる彼に、セドリックは悪びれもせずくすくすと笑う。
「良いではありませんか。妃殿下なのですから」
重たげな仕草でソファを降り、ルイスは緩めていた上着を整えながらデスクへと歩み寄る。そんな彼の、決して大きくはない背中を静かに見つめながら、どことなくリリアに似ているような気がする、とセドリックは思う。全く違うはずの背中であるはずなのに。何故だか二人の背中が重なって見えるような気がする。
「少しは歩み寄られてみてはいかがですか」
最終的にリリアを王太子妃に決めたのは、他でもないルイス自身だ。曰く、大人しく従順な性格が選定の理由であり、そこに彼女の美貌はまるで関係がなかった。その言葉に嘘偽りがないことは、長年彼の傍に仕えてきたセドリックには分かる。ルイスの“美貌”に対する考えは頑なだ。
でも、だからこそ――。
どさっと音を立てて椅子に腰掛ける主人の、この世の者とは思えないほど美しいかんばせを見据えながら、セドリックはふっと小さく笑みをこぼす。“類稀な美貌”のせいで、彼は誰よりも苦しんできた。たくさんの誹謗を浴び、たくさんの冷酷な視線を浴びて生きてきた。
だからこそルイスは、リリアに対して何かしら思うところがあったのかもしれない。
ルイスはフローレット家で彼女がどういう扱いを受けていたのかを、知らない。敢えて彼の耳に入れなかったのは、リリアを慮ってのことだった。誰にだって知られたくない過去のひとつやふたつあるものだ。内容が内容だっただけに、彼女の同意なしに告げるのはどうしても憚られた。
しかし、フレデリクの言動から、彼女が“美貌だけが価値”と思い込まされているのは、ルイスにも容易に察せられただろう。
ある意味二人は、似た者同士なのかもしれない。再びペンを手に取ったルイスからそっと視線を逸らしつつ、セドリックは密かに思う。
“価値”と“過去”。それに囚われたままの二人に、果たして明るく幸せな未来は訪れるのだろうか――。
もし、リオネルが生きていたなら――。
そんな思いが脳裏を過ぎり、リリアは胸の内でひっそりと自嘲する。
そんなふうに考えてしまうのは、結局のところただの“逃げ”だ。一番の問題は、ルイスの傍にいる唯一の“王家の人間”でありながら、何の役にも立てない自分自身だというのに。“お飾りでしかない王太子妃”という現実から、ただ目を背けようとしているだけだ。今は亡き人に縋って。それはなんて愚かで、情けないことだろう。
ゆっくり学んでいきましょう、と、教師たちは言っていたけれど――。僅かに目を伏せ、唇を噛み締めながらリリアは思う。本当にそれで良いのだろうか、と。ゆっくりなんてしていられないのではないだろうか、と。
授業を受け、小休憩の散歩をし、食事を摂ってまた授業を受け、そうして一日を終える。王城へ来てからのそんな毎日は、王族としての務めを全てルイスが果たしてくれているからこそ成り立っているのだ。それを今になって痛感するだなんて――。
(私は、ずっと助けられていただけだったのね……)
リリアとルイスの体格に、殆ど差はない。けれど、そんな小柄な彼の背中には、計り知れないほど大きなものが伸し掛かっている。それはこの国に住まう人々の生活であり命であり、そして王国の果てない未来だ。護らなければならないものが、たくさんある。なにひとつ欠けてはいけないし、なにひとつ崩してもいけない。
それらはどれも、想像を絶するほど重たく、苦しいものだろう。それをルイスは、ずっと背負い続けている。兄を失い、父も病で倒れて久しい今、たったひとりで。まるでそれが当たり前であるかのように、平然な顔をして。
(それでも殿下は、しっかりと立っていらっしゃる)
誰よりも気高く、誰よりも強く――。
重責を背負いながら、それでも前を向き、決して立ち止まることのないルイスが、とても眩しい、と思った。太陽のような人――モーリスの言葉は、正にその通りだ。王国の今と未来を明るく照らそうとする、揺るぎない光。
それに比べて、私は――。七日前に会った時の彼を思い返しながら、リリアはゆっくりと瞬いて、小さな苦笑を静かにこぼす。彼の眩しさを思い知れば知るほど、自分の弱さが容赦なく胸に突き刺さる。
彼の強さと努力に、ただ甘えているだけの日々。今すぐにそれをどうにかしたくても、王太子妃としての教養が十分でないリリアに、出来ることなんて何もない。それがひどく歯痒くてたまらなかった。
きっとクラリスなら、彼を助けることが出来ただろうに――。
「……私は、本当に役立たずですね」
力なくこぼれ落ちた呟きに、セドリックが目を瞠る。息を呑む音がかすかに聞こえたけれど、リリアはあえて目を逸らし、気付かぬふりをしたままそっと踵を返した。
「お茶を、用意いたしますね。……今の私には、それくらいしか出来ませんから」
***
馬車から降りてきたリリアを見た時、セドリックの胸に込み上げたのは歓喜でもなければ感嘆ではなく、同情だった。
“社交界随一の美貌”と謳われていた彼女は、確かに噂と違わぬ美しい容姿をしていた。幼い頃からルイスの傍にいたせいで、美の基準に関しては人一倍口煩いあのクラリスでさえ褒めそやすほど。夜会で彼女に出くわしたことのあるという男たちが、密かに、或いは大胆に狙いをつけていたのにも納得がいった。
あれほどの美貌は、そう滅多にあるものではない。故に、彼女の父であるフレデリクは、リリアの容姿を“価値”と考え、それを利用することを思いついたのだろう。王太子妃選出の会議の際、彼はリリアについて、ただひたすらその容貌ばかりを推していた。顔、顔、顔、顔――。いかに彼女が美しいか、そればかりを繰り返すフレデリクに辟易したものである。その推し様は、まるでリリアの良いところはそこだけしかない、と言っているようなものだった。フレデリクの口ぶりから、彼がリリアを“娘”としてではなく、“駒”としか見ていないのは明白だった。
実際彼女は、そういう生活を強いられていたようだった。産まれてから、ずっと。
フローレット家の使用人に小金を握らせると、面白いほどぼろぼろと喋ってくれたものだ。侯爵家の長女でありながら、屋敷の誰からもそのように扱われてはいなかったこと。古びた狭い部屋を使い、ドレスや装飾品の類は滅多に与えられなかったこと。カトリーヌばかりが寵愛を受け、リリアはひどく冷遇されていたこと。彼女へ対するいじめは日常茶飯事であったこと。お前の価値はその美貌だけだ、と、フレデリクが常々口にしていたこと。
そんな環境で育ってきたのなら、自己肯定感が低いのも無理はない。美貌だけが価値だと言われ続けていたのなら、彼女はその唯一の価値に縋るしかなかったはずだ。
――美貌に、価値などない。
けれどその価値は、結婚初日に早々と、夫の一言によって否定されてしまった。その時のリリアの絶望は、いったいどれほどのものだったろう。ほっそりとした肩が微かに震えていたのを、今でもはっきりと憶えている。あれは怒りではなく、悲しみだった。途方もない絶望を前に打ちひしがれた彼女の、深い悲しみ。ただでさえ華奢な背中がいっそう弱々しく思え、そんな彼女をとても見ていることは出来なかった。
あんな酷な言葉を投げなくとも――。ルイスに対しそう思いはしたものの、しかしセドリックにはどうしても、あの言葉について忠言することが出来なかった。それはルイスが王太子、或いは主人であるからというわけではなく――彼がその類稀な美貌のせいで、どれほど心無い言葉を、厳しく冷たい視線を向けられてきたのかを、よくよく知っているからだった。
あの言葉はリリアにとっては“冷酷な暴言”であっただろう。しかしその一方で、ルイスにとってあの言葉は、ただの“紛うことなき事実”でしかない。美貌には何の価値もないということを、彼は身を以て知っている。それ故に、彼にとっては“事実”以外の何物でもないのだ。
けれど――。リリアの後ろ姿が薄闇の中に消えるのを見届け、セドリックはゆっくりと扉を閉めながら思う。もしかしたらあれは、彼女を救う一言でもあったのではないだろうか、と。“美貌”という価値に囚われてしまった彼女を、その呪縛から開放する為の一言。
「――目を覚ましておられることに、お気付きだと思いますよ」
未だソファに横たわったままの主人に向け、セドリックは苦笑を滲ませながら告げる。お茶を用意する、とリリアは言っていた。それはセドリックの為ではなく、ルイスの為であるのは、考えるまでもない。
僅かな沈黙の後、顔にのせていた腕を退けて、ルイスが徐ろに身を起こした。眉間に、くっきりとした濃い皺を刻んで。
「余計なことをぺらぺらと喋るな」
苦虫を噛み潰したような顔で前髪を掻き上げる彼に、セドリックは悪びれもせずくすくすと笑う。
「良いではありませんか。妃殿下なのですから」
重たげな仕草でソファを降り、ルイスは緩めていた上着を整えながらデスクへと歩み寄る。そんな彼の、決して大きくはない背中を静かに見つめながら、どことなくリリアに似ているような気がする、とセドリックは思う。全く違うはずの背中であるはずなのに。何故だか二人の背中が重なって見えるような気がする。
「少しは歩み寄られてみてはいかがですか」
最終的にリリアを王太子妃に決めたのは、他でもないルイス自身だ。曰く、大人しく従順な性格が選定の理由であり、そこに彼女の美貌はまるで関係がなかった。その言葉に嘘偽りがないことは、長年彼の傍に仕えてきたセドリックには分かる。ルイスの“美貌”に対する考えは頑なだ。
でも、だからこそ――。
どさっと音を立てて椅子に腰掛ける主人の、この世の者とは思えないほど美しいかんばせを見据えながら、セドリックはふっと小さく笑みをこぼす。“類稀な美貌”のせいで、彼は誰よりも苦しんできた。たくさんの誹謗を浴び、たくさんの冷酷な視線を浴びて生きてきた。
だからこそルイスは、リリアに対して何かしら思うところがあったのかもしれない。
ルイスはフローレット家で彼女がどういう扱いを受けていたのかを、知らない。敢えて彼の耳に入れなかったのは、リリアを慮ってのことだった。誰にだって知られたくない過去のひとつやふたつあるものだ。内容が内容だっただけに、彼女の同意なしに告げるのはどうしても憚られた。
しかし、フレデリクの言動から、彼女が“美貌だけが価値”と思い込まされているのは、ルイスにも容易に察せられただろう。
ある意味二人は、似た者同士なのかもしれない。再びペンを手に取ったルイスからそっと視線を逸らしつつ、セドリックは密かに思う。
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