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小瓶に貼られたラベルを見下ろしているうちに、ふと、傍らの存在へと意識が向いた。もしこの薬で、助けることが出来なかったら――。あの子を救うことが出来なかったら。あの夜、私を癒やして下さったのと同じように、ルシエル様はアレク君の命にも手を差し伸べて下さるだろうか。私には、病を祓う力なんてないけれど。神である彼には、その力がある。医者が匙を投げるほど悪化していた病を、たった一瞬で取り払ってしまうような、奇跡の力が。
――“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか。
しかしその考えを、私は自嘲をこぼしながら追い払う。“本物の聖女”だと口では言いながらも、冷たく突き放そうとする彼が、私の願いなど聞き入れてくれるはずがない。そもそも、“魔女”と断じられた私が、神に救いを乞うなど厚かましすぎる。
だから、縋ってはいけない。期待してもいけない。そうする資格など、私にはないのだから。たとえルシエル様が、“本物の聖女”だと認めていようとも。
ノクシールの詰められた小瓶を、ぎゅっと片手に握り締め、私はすぐさま踵を返す。小箱を閉じることも、鞄にしまうこともせずに。そんなものは、後でどうにでもすればいい。一刻も早くアレク君たちのもとへ戻って、この薬を飲ませてあげること。それが、今の私が最も優先しなければならい行動なのだから。
入口へ駆け戻り、開けっ放しにしていた扉から、薄暗い側廊へ片足を踏み出す。――その時だった。背後から、淡々とした言葉が不意に届いたのは。
「……何故、助ける」
さざなみひとつない、静かな水面を思わせるような、低く落ち着いた声。あまりにもなだらかで、感情というものの感じ取れない声音のせいで、問いを向けられているのだと気付くのに、少しだけ時間が要った。
扉の境で足を止め、私はぎこちのない動きでゆっくりと振り返る。ルシエル様はさっきと同じ格好のまま、窓の外をじっと見つめていた。何を考えているのかまるで分からない横顔で。景色を眺めているようでいて、その実、そこには存在しない何かを見つめているような瞳で。
「“人間”という存在は、お前を裁き、蔑み、そして見捨てた」
早く行かなければと、頭では分かっているのに。まるで地面に縫い止められてしまったみたいに、両足はびくとも動かない。それがルシエル様の問いのせいなのか、或いは、裁かれた過去が、蔑まれた日々が、誰にも手を差し伸べられることのなかった幾つもの瞬間が、否応なく胸を刺すせいなのか。自分でも分からなくて、何も言い返せないまま立ち尽くす。喉の奥がきつく詰まり、息苦しくてたまらない。
そんな私に、ルシエル様はなおも言葉を投げかける。窓の外を眺めたまま。淡々とした、いっそ冷徹とも聞こえるような声で。
「それなのに何故、慈悲を与えてやろうとする?」
確かに、私は色んな人たちから、たくさんの罵声と憎悪を浴びせられてきたけれど――。小瓶を握る手に力を込めながら、私は唇を噛み締める。“魔女”と断じられ、王都を追われ、行く先々で酷い扱いを受けてきたけれど。でもそれは、これまでに出会った人々であって、ロアンさんたちではない。ヴィオラさんは私を信じてくれたし、ロアンさんは庇ってもくれた。マルセルさんの怒声だって、我が子を想うあまりの、切羽詰まった嘆きのようなものだ。そして何より、病に苦しんでいるアレク君には、何の非もない。
「……人を助けるのに、理由が必要なのですか?」
その言葉は、ごく自然に、唇の間からするりとこぼれ落ちた。あれほど身体の奥深くに張りついて動こうとしなかった声が、まるで嘘のように。何の引っかかりもなく出てきたことに、自分でも驚いてしまう。
神に向かって、こんなふうに言い返すなんて――。胸の内で密かに苦笑をこぼし、私はゆっくりと瞬く。身の程知らずもいいところだ、と、そう思いながら。
「ルシエル様も昔、そう仰ったではありませんか。私を助けたことに理由はない、と」
端正な横顔を見つめたまま、私は込み上げる懐かしさとともに、静かに微笑む。
あの夜の出来事は、私にとって本当に“特別”なことなのだったと、つくづく思う。彼との出会いをきっかけに、私の世界は変わったのだから。生活も、考え方も、生き方さえも。全てが、ルシエル様の存在によって塗り替えられていった。
彼は生きる為の拠り所であり、そして進むべき道を示してくれる指針でもあった。もちろんそれは、今でも変わらない。当のルシエル様には、ひどく嫌われてしまっているけれど。
「苦しんでいる人がいるのなら、私は助けます。私しかその術を持たないのなら、尚の事。そうすることに、理由なんて要りません。ただ、助けたい――それだけです。たとえ誰かに、偽善だと責められたとしても」
そう言って笑みを深めた刹那、ルシエル様がはっとしたように目を見開いた。ゆるやかに向けられた深紫の瞳が、真っ直ぐに私を見据える。けれど、すぐに気付いてしまった。彼が見ているのは私ではない“何か”なのだ、と。直感的に悟ってしまった。
彼はいったい、何を視ているのだろう。或いは、誰を――。そう疑問に思いながら、私は悪戯をした後の子どものように、首を小さく傾ける。どこかとぼけたような仕草で。ふふっ、と軽い笑い声も添えて。
「偽善は、神が黙認して下さる唯一の“悪”なのでしょう? ならばどうか、見逃して下さい」
ノクシールの詰まった小瓶の存在を確かめるように力強く握り締め、私は勢いよく駆け出した。ルシエル様を振り返ることはせずに。静謐な側廊に、ばたばたと足音を響かせながら。薔薇窓の下に設けられた扉だけを一心に見つめ、ただひたすらに走り続ける。
そんな私の背中に、ルシエル様はもう何も言わなかった。
***
――苦しんでいる人がいるのなら、私は助けます。そうすることに、理由なんて要りません。
今しがた鼓膜に触れたばかりの言葉が、頭の中で、ひどく懐かしい声と重なる。まるで遠い昔が今に蘇ったような、そんな錯覚に囚われてしまいそうになるほどの鮮烈さで。
リディアの出て行った扉を、ルシエルは暫し呆然と見つめていた。ただただ、そうすることしか出来なかった。身体を駆け抜けた衝撃が、あまりにも激しすぎて。
こんなにも心を乱されたのは、いつぶりだろう――。扉に縫い止められていた視線を漸く外し、窓硝子にそっと頭を凭れさせながらルシエルは思う。“心”というものは、ひどく厄介だ。そんなものを知らなかった頃があるからこそ、尚そう感じる。“心”があるから、“人間”という生き物はああなった。だから余計なものだと、この世に必要のないものだとも思っていた。そうだというのに――。
――ルシエル様。
懐かしい声に呼ばれたような気がして、ルシエルはゆっくりと目を閉ざす。聞こえるはずがないと分かっていないながらも、確かに耳の奥で響いたような気のするその声に、やさしく誘われるように。
瞼の裏の暗闇には今でもくっきりと、あの無邪気な笑顔が容易に浮かび上がる。その笑顔を、まるで花が綻んだようだと喩えたのは、いったい誰だっただろう。そんなことは思い出せないくせに、もう二度と耳にすることの出来ない声は、もう二度と目にすることの出来ない笑顔は、ありありと思い出せてしまう。息苦しくなるほど鮮やかに。
寧ろ忘れたいのはそちらの方だ、と、苦々しく溜息をつきながらルシエルは思う。忘れてしまえていたら、今こうしてここにいることはなかっただろうに。
「だから……」
ゆるりと瞼を上げ、いつにも増して青白く照らされた景色を見るともなく眺めながら、ルシエルはもう一度溜息をこぼす。窓の外はとても静かだ。月が煌々と輝いているとはいえ、辺りは薄暗く、木々の姿は黒々と沈んでいる。
けれど、ルシエルの目に映るそれらは、青白くもなければ漆黒でもなく、ただただ真っ赤だった。燃え盛る炎のような。或いは、吹き出したばかりの血のように濃く強烈な、赤色。
「――だから死んだんだろう、お前は」
――“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか。
しかしその考えを、私は自嘲をこぼしながら追い払う。“本物の聖女”だと口では言いながらも、冷たく突き放そうとする彼が、私の願いなど聞き入れてくれるはずがない。そもそも、“魔女”と断じられた私が、神に救いを乞うなど厚かましすぎる。
だから、縋ってはいけない。期待してもいけない。そうする資格など、私にはないのだから。たとえルシエル様が、“本物の聖女”だと認めていようとも。
ノクシールの詰められた小瓶を、ぎゅっと片手に握り締め、私はすぐさま踵を返す。小箱を閉じることも、鞄にしまうこともせずに。そんなものは、後でどうにでもすればいい。一刻も早くアレク君たちのもとへ戻って、この薬を飲ませてあげること。それが、今の私が最も優先しなければならい行動なのだから。
入口へ駆け戻り、開けっ放しにしていた扉から、薄暗い側廊へ片足を踏み出す。――その時だった。背後から、淡々とした言葉が不意に届いたのは。
「……何故、助ける」
さざなみひとつない、静かな水面を思わせるような、低く落ち着いた声。あまりにもなだらかで、感情というものの感じ取れない声音のせいで、問いを向けられているのだと気付くのに、少しだけ時間が要った。
扉の境で足を止め、私はぎこちのない動きでゆっくりと振り返る。ルシエル様はさっきと同じ格好のまま、窓の外をじっと見つめていた。何を考えているのかまるで分からない横顔で。景色を眺めているようでいて、その実、そこには存在しない何かを見つめているような瞳で。
「“人間”という存在は、お前を裁き、蔑み、そして見捨てた」
早く行かなければと、頭では分かっているのに。まるで地面に縫い止められてしまったみたいに、両足はびくとも動かない。それがルシエル様の問いのせいなのか、或いは、裁かれた過去が、蔑まれた日々が、誰にも手を差し伸べられることのなかった幾つもの瞬間が、否応なく胸を刺すせいなのか。自分でも分からなくて、何も言い返せないまま立ち尽くす。喉の奥がきつく詰まり、息苦しくてたまらない。
そんな私に、ルシエル様はなおも言葉を投げかける。窓の外を眺めたまま。淡々とした、いっそ冷徹とも聞こえるような声で。
「それなのに何故、慈悲を与えてやろうとする?」
確かに、私は色んな人たちから、たくさんの罵声と憎悪を浴びせられてきたけれど――。小瓶を握る手に力を込めながら、私は唇を噛み締める。“魔女”と断じられ、王都を追われ、行く先々で酷い扱いを受けてきたけれど。でもそれは、これまでに出会った人々であって、ロアンさんたちではない。ヴィオラさんは私を信じてくれたし、ロアンさんは庇ってもくれた。マルセルさんの怒声だって、我が子を想うあまりの、切羽詰まった嘆きのようなものだ。そして何より、病に苦しんでいるアレク君には、何の非もない。
「……人を助けるのに、理由が必要なのですか?」
その言葉は、ごく自然に、唇の間からするりとこぼれ落ちた。あれほど身体の奥深くに張りついて動こうとしなかった声が、まるで嘘のように。何の引っかかりもなく出てきたことに、自分でも驚いてしまう。
神に向かって、こんなふうに言い返すなんて――。胸の内で密かに苦笑をこぼし、私はゆっくりと瞬く。身の程知らずもいいところだ、と、そう思いながら。
「ルシエル様も昔、そう仰ったではありませんか。私を助けたことに理由はない、と」
端正な横顔を見つめたまま、私は込み上げる懐かしさとともに、静かに微笑む。
あの夜の出来事は、私にとって本当に“特別”なことなのだったと、つくづく思う。彼との出会いをきっかけに、私の世界は変わったのだから。生活も、考え方も、生き方さえも。全てが、ルシエル様の存在によって塗り替えられていった。
彼は生きる為の拠り所であり、そして進むべき道を示してくれる指針でもあった。もちろんそれは、今でも変わらない。当のルシエル様には、ひどく嫌われてしまっているけれど。
「苦しんでいる人がいるのなら、私は助けます。私しかその術を持たないのなら、尚の事。そうすることに、理由なんて要りません。ただ、助けたい――それだけです。たとえ誰かに、偽善だと責められたとしても」
そう言って笑みを深めた刹那、ルシエル様がはっとしたように目を見開いた。ゆるやかに向けられた深紫の瞳が、真っ直ぐに私を見据える。けれど、すぐに気付いてしまった。彼が見ているのは私ではない“何か”なのだ、と。直感的に悟ってしまった。
彼はいったい、何を視ているのだろう。或いは、誰を――。そう疑問に思いながら、私は悪戯をした後の子どものように、首を小さく傾ける。どこかとぼけたような仕草で。ふふっ、と軽い笑い声も添えて。
「偽善は、神が黙認して下さる唯一の“悪”なのでしょう? ならばどうか、見逃して下さい」
ノクシールの詰まった小瓶の存在を確かめるように力強く握り締め、私は勢いよく駆け出した。ルシエル様を振り返ることはせずに。静謐な側廊に、ばたばたと足音を響かせながら。薔薇窓の下に設けられた扉だけを一心に見つめ、ただひたすらに走り続ける。
そんな私の背中に、ルシエル様はもう何も言わなかった。
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――苦しんでいる人がいるのなら、私は助けます。そうすることに、理由なんて要りません。
今しがた鼓膜に触れたばかりの言葉が、頭の中で、ひどく懐かしい声と重なる。まるで遠い昔が今に蘇ったような、そんな錯覚に囚われてしまいそうになるほどの鮮烈さで。
リディアの出て行った扉を、ルシエルは暫し呆然と見つめていた。ただただ、そうすることしか出来なかった。身体を駆け抜けた衝撃が、あまりにも激しすぎて。
こんなにも心を乱されたのは、いつぶりだろう――。扉に縫い止められていた視線を漸く外し、窓硝子にそっと頭を凭れさせながらルシエルは思う。“心”というものは、ひどく厄介だ。そんなものを知らなかった頃があるからこそ、尚そう感じる。“心”があるから、“人間”という生き物はああなった。だから余計なものだと、この世に必要のないものだとも思っていた。そうだというのに――。
――ルシエル様。
懐かしい声に呼ばれたような気がして、ルシエルはゆっくりと目を閉ざす。聞こえるはずがないと分かっていないながらも、確かに耳の奥で響いたような気のするその声に、やさしく誘われるように。
瞼の裏の暗闇には今でもくっきりと、あの無邪気な笑顔が容易に浮かび上がる。その笑顔を、まるで花が綻んだようだと喩えたのは、いったい誰だっただろう。そんなことは思い出せないくせに、もう二度と耳にすることの出来ない声は、もう二度と目にすることの出来ない笑顔は、ありありと思い出せてしまう。息苦しくなるほど鮮やかに。
寧ろ忘れたいのはそちらの方だ、と、苦々しく溜息をつきながらルシエルは思う。忘れてしまえていたら、今こうしてここにいることはなかっただろうに。
「だから……」
ゆるりと瞼を上げ、いつにも増して青白く照らされた景色を見るともなく眺めながら、ルシエルはもう一度溜息をこぼす。窓の外はとても静かだ。月が煌々と輝いているとはいえ、辺りは薄暗く、木々の姿は黒々と沈んでいる。
けれど、ルシエルの目に映るそれらは、青白くもなければ漆黒でもなく、ただただ真っ赤だった。燃え盛る炎のような。或いは、吹き出したばかりの血のように濃く強烈な、赤色。
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