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第2章 正しさの在り方
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「またうちのバカが迷惑かけたみたいだね。ホントごめんね」
正くんと入れ替わるようにやってきたのは、正くんのお姉さんの金盛 善子さんだった。
善子さんは私たちよりも一学年上の先輩で、中学からの付き合い。
キザったらしい正くんとは正反対に、竹を割ったようなサッパリとした性格の、とてもいいお姉さんです。
少し長めな落ち着いた色の茶髪を、下の方で緩くおさげにして、真面目さとスポーティーさが絶妙に混在しいる。
快活さと生真面目さのハイブリットのような、凛々しい顔立ちで頼もしい人だ。
「なんでそこまでアリスちゃんにちょっかい出すのか、私もわからないんだよねぇ」
「まぁ今に始まったことじゃないですし、慣れちゃいましたよ」
「あれに慣れたら、それはそれでどうかと思うけどねー」
善子さんは肩をすくめて溜息をついた。
「姉として情けない限りよ、まったく。女はべらせてる時点でバカっぽいのにさ。おまけに女の子にちょっかい出して、迷惑かけて。情けない。なんであれがモテてるのか、姉の私にはサッパリよ」
「まぁ正くん、顔はかっこいいですからねー」
「え、晴香ちゃんああいうのがタイプなの? 私が言うのもなんだけど、どうかと思うよ?」
「べ、別にそう言う意味じゃないですよー! 一般論です一般論!」
「冗談だって。ほれほれムキにならない」
けらけら笑いながら、晴香の頭をポンポンと叩く善子さん。
善子さんはこうやって、昔から正くんのフォローをよくやっていた。
よく絡まれる私に対してもそうだし、正くんに手酷くされた子にも、気さくに接して心を解してあげていた。
弟想いなのか、それとも姉弟の罪悪感なのか。どちらにしてもその温かさはとても心地いい。
「ま、あいつのクレームならいつでも聞くからさ。でもそろそろとっちめてやんないと、アリスちゃんもしんどいよね」
「うーん。まぁ実害はないから良いんですけどね。やや疲れますけど」
「女には困ってないだろうになぁ。アリスちゃんのこと好きなのかね」
「いやいや、それはないですよ!」
私は首をブンブンと振って否定した。
一応モテモテ男子の正くんが、私を好きになる道理がないもの。
それこそ引く手数多なんだから、私とは比べるまでもない可愛い女の子だって、いっぱいいるはずだし。
そんな子たちを差し置いて、私を好きになる隙がない。フラグも立ってないしイベントも発生してない。
「案外あったりしてね。好きな子にちょっかい出すのは、ガキんちょのやることだしさ」
「もーやめてくださいよー」
ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべる善子さんに、私は思わず本当に嫌な顔をしてしまった。
別に特別正くんのことを嫌いだとは思ったことないけれど、でももし好意を寄せられたとしたら、それはちょっと厳しいかな。
そもそも私、彼のキャラ得意じゃないし。
「ごめんごめん、ちょっと意地悪だったね。これじゃあのバカと一緒だ」
「善子さんは正くんとは違いますよ。いつも優しいですから」
「別に大したことは何もしてないよ。私はいつも、自分のしたいことをしてるだけだからさ。みんなとお喋りしてるのもそれだけのことだよ」
そこが善子さんの優しいところなんだけど、彼女はそれを認めようとしない。
昔からずっとそうで、でもそんな善子さんだからこそ、あの正くんのお姉さんでも関係なく仲良くできる。
善子さんがこうじゃなかったら、あんまり関わらなかったかも。
だって、正くんに余計に絡まれる原因になりそうだし。なんてったって正くんはお姉さんが苦手だから。
「そう言えばアリスちゃん。さっきから気になっててさ、言おうか言うまいかずっと悩んでたん出たんだけど……」
「ま、まさか太ったとか言いませんよね!? 善子さんまで私のこと太ったなんて!」
「え? あ、うーん。大丈夫だと思うけど。どうした。誰に言われた」
「このデリカシー無し男に言われました」
私は創をぐいっと小突いた。
「こらこら少年。うら若き乙女に体型の話は厳禁だぞ。もし太っていると思っても、『いつ見てもお前は可愛いな』くらい言えないとダメだぞ。例え本当に太っていたとしても」
「善子さん。それ微妙にフォローになってない」
え、もしかして私本当に太ってるの? 気づいてないの私だけ?
「別にちょっと言ってみただけっていうか、特に考えなしに思ったままを言ったというか……」
「もう少し乙女心を勉強することだね、少年。そんなんじゃ正みたいになっちゃうぞ」
「いや、正もそこまで悪い奴じゃないと思うんですけど……」
「好きな子についつい意地悪しちゃう、みたいな奴じゃないの?」
「ち、違いますよ!」
「あ、じゃあ今朝私にブサイクって言ったのも、実は私のことも好きだから?」
善子さんが創をいじめているところに、晴香が油を注ぐ。
別にそこまで創を追い詰めなくてもいいのに。可哀想。
「気が多いね創くんは。これじゃホントに正みたいだ」
「一応正の姉さんなんですから、あんまり悪く言わないであげてくださいよ」
なんだかんだと、一番正くんを庇うのが創だったりする。
そこは何というか、男同士の関係なのかな。私にはよくわからないけれど。
創は私の知る限り、正くんの数少ない男友達のうちの一人だから、そこら辺思う所があるのかもしれない。
しばらくそんないつも通りの雑談をしてから、私たちは別れた。
いつも通りの、元気溌剌で優しい善子さんだった。
けど、何となく雰囲気がいつもとは違うように感じたのは、気のせいかな。
正くんと入れ替わるようにやってきたのは、正くんのお姉さんの金盛 善子さんだった。
善子さんは私たちよりも一学年上の先輩で、中学からの付き合い。
キザったらしい正くんとは正反対に、竹を割ったようなサッパリとした性格の、とてもいいお姉さんです。
少し長めな落ち着いた色の茶髪を、下の方で緩くおさげにして、真面目さとスポーティーさが絶妙に混在しいる。
快活さと生真面目さのハイブリットのような、凛々しい顔立ちで頼もしい人だ。
「なんでそこまでアリスちゃんにちょっかい出すのか、私もわからないんだよねぇ」
「まぁ今に始まったことじゃないですし、慣れちゃいましたよ」
「あれに慣れたら、それはそれでどうかと思うけどねー」
善子さんは肩をすくめて溜息をついた。
「姉として情けない限りよ、まったく。女はべらせてる時点でバカっぽいのにさ。おまけに女の子にちょっかい出して、迷惑かけて。情けない。なんであれがモテてるのか、姉の私にはサッパリよ」
「まぁ正くん、顔はかっこいいですからねー」
「え、晴香ちゃんああいうのがタイプなの? 私が言うのもなんだけど、どうかと思うよ?」
「べ、別にそう言う意味じゃないですよー! 一般論です一般論!」
「冗談だって。ほれほれムキにならない」
けらけら笑いながら、晴香の頭をポンポンと叩く善子さん。
善子さんはこうやって、昔から正くんのフォローをよくやっていた。
よく絡まれる私に対してもそうだし、正くんに手酷くされた子にも、気さくに接して心を解してあげていた。
弟想いなのか、それとも姉弟の罪悪感なのか。どちらにしてもその温かさはとても心地いい。
「ま、あいつのクレームならいつでも聞くからさ。でもそろそろとっちめてやんないと、アリスちゃんもしんどいよね」
「うーん。まぁ実害はないから良いんですけどね。やや疲れますけど」
「女には困ってないだろうになぁ。アリスちゃんのこと好きなのかね」
「いやいや、それはないですよ!」
私は首をブンブンと振って否定した。
一応モテモテ男子の正くんが、私を好きになる道理がないもの。
それこそ引く手数多なんだから、私とは比べるまでもない可愛い女の子だって、いっぱいいるはずだし。
そんな子たちを差し置いて、私を好きになる隙がない。フラグも立ってないしイベントも発生してない。
「案外あったりしてね。好きな子にちょっかい出すのは、ガキんちょのやることだしさ」
「もーやめてくださいよー」
ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべる善子さんに、私は思わず本当に嫌な顔をしてしまった。
別に特別正くんのことを嫌いだとは思ったことないけれど、でももし好意を寄せられたとしたら、それはちょっと厳しいかな。
そもそも私、彼のキャラ得意じゃないし。
「ごめんごめん、ちょっと意地悪だったね。これじゃあのバカと一緒だ」
「善子さんは正くんとは違いますよ。いつも優しいですから」
「別に大したことは何もしてないよ。私はいつも、自分のしたいことをしてるだけだからさ。みんなとお喋りしてるのもそれだけのことだよ」
そこが善子さんの優しいところなんだけど、彼女はそれを認めようとしない。
昔からずっとそうで、でもそんな善子さんだからこそ、あの正くんのお姉さんでも関係なく仲良くできる。
善子さんがこうじゃなかったら、あんまり関わらなかったかも。
だって、正くんに余計に絡まれる原因になりそうだし。なんてったって正くんはお姉さんが苦手だから。
「そう言えばアリスちゃん。さっきから気になっててさ、言おうか言うまいかずっと悩んでたん出たんだけど……」
「ま、まさか太ったとか言いませんよね!? 善子さんまで私のこと太ったなんて!」
「え? あ、うーん。大丈夫だと思うけど。どうした。誰に言われた」
「このデリカシー無し男に言われました」
私は創をぐいっと小突いた。
「こらこら少年。うら若き乙女に体型の話は厳禁だぞ。もし太っていると思っても、『いつ見てもお前は可愛いな』くらい言えないとダメだぞ。例え本当に太っていたとしても」
「善子さん。それ微妙にフォローになってない」
え、もしかして私本当に太ってるの? 気づいてないの私だけ?
「別にちょっと言ってみただけっていうか、特に考えなしに思ったままを言ったというか……」
「もう少し乙女心を勉強することだね、少年。そんなんじゃ正みたいになっちゃうぞ」
「いや、正もそこまで悪い奴じゃないと思うんですけど……」
「好きな子についつい意地悪しちゃう、みたいな奴じゃないの?」
「ち、違いますよ!」
「あ、じゃあ今朝私にブサイクって言ったのも、実は私のことも好きだから?」
善子さんが創をいじめているところに、晴香が油を注ぐ。
別にそこまで創を追い詰めなくてもいいのに。可哀想。
「気が多いね創くんは。これじゃホントに正みたいだ」
「一応正の姉さんなんですから、あんまり悪く言わないであげてくださいよ」
なんだかんだと、一番正くんを庇うのが創だったりする。
そこは何というか、男同士の関係なのかな。私にはよくわからないけれど。
創は私の知る限り、正くんの数少ない男友達のうちの一人だから、そこら辺思う所があるのかもしれない。
しばらくそんないつも通りの雑談をしてから、私たちは別れた。
いつも通りの、元気溌剌で優しい善子さんだった。
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