パンパカパーン! で始まった私の異世界ライフ

拓海のり

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23 龍王が番い

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 空を飛んだ。先程のおどろおどろしい雷鳴も雨もなく、空は晴れて星が瞬いている。私は龍に抱き込まれ、お空を飛んでいた。
 なんかもの凄い速さで飛んでいるのに風を受けない。龍は長い龍だ。金と緑の東洋っぽい龍である。羽もないのに飛ぶんだなあ、と埒もないことを考えた。

 やがて高い山の頂付近にある神殿のような建物に着いた。龍は私を抱えたままスルスルと中に入って行き、両開きの立派な扉は勝手に開いて閉まる。出迎えた人々は一様に隅に拝跪して、誰も遮る者も声をかける者さえいない。
 広い神殿内を一番奥の部屋まで行くと龍は私を下ろしてとぐろを巻いた。ぐるぐる巻きになっているが決して苦しくも痛くもない。

 目の前に龍の顔がある。とても怖い。角はあるし牙はあるし髭はあるし、面長な龍の顔をしている。

 どうやらここは龍王のねぐらというか寝所であるらしい。天井は高く周りに立派な柱が何本も並び、羽衣のような美しい布が張り巡らされている。その真ん中に私はいる。
 床は大きな寝台のようで丸くて長い枕とクッションが色とりどりに置かれている。

 龍はしばらく、ぐるぐる巻きにした私を眺めていた。改めて見ても龍である。顔がとても怖げである。口を開けると鋭い牙が生えていてさらに怖くなる。
 その口を開けてベロンと私を舐める。ざらざらした長い舌がどこまでも舐める。服を脱がして体中舐める。

「ん? 何じゃこれはぺっぺっ!」
『ぽぺぷぴー!!!』
 龍の口から泥が吐き出されて、コロンと丸まった。私に生えるようにして付いて来た土人形たちだった。彼らはすぐにポーズをとると合体した。

『『『『ぴぷぺぽ、ゴーーー!!』』』』

 合体しても人間の赤ん坊よりも小さい。彼らは無謀にも龍に突進して尻尾で追い払われた。
『ぽぺぷぴ……』
 ひしゃげて潰れて今にも土くれに戻りそうだ。

「待ってください、殺さないで!」
 私は龍に縋って必死になってお願いした。
「そなたの作ったモノか?」
「はい」
「ならばそこに座って見ているがよい」
 どういう訳か土人形は元の4体に戻って、人形のように大人しくなった。そういえばエドモンとジョゼフとの初夜には邪魔もせずに大人しく人形になっていた。どういうことだろう。
 龍の顔がこちらに向く。

 身を固くして目を閉じて、龍に食べられるのを待った。二十二年の短い人生だった。そういや結婚したんだった。旦那様が二人もいる。おまけに二人共貴族でイケメンで優しい。人間あんまり身に過ぎた目に合うと落とし穴が待っているんだな。
 龍に睨まれると人間動けなくなるものらしいけど、それでも二人は必死で引き止めようとしてくれた。

「メイ……」
 私は閉じていた瞳を開ける。龍は人の姿になっていた。黄金の瞳がじっとメイを見つめる。
「はい」
「お前は余の番いである」
「番いでございますか。でも私は結婚しておりまして、すでに二人の夫がおります」
 こんな神々しい方に普段の言葉遣いはできない。私は畏まって新居で先生方に習い覚えた丁寧な言葉で応対する。

「余は三番目の夫でよい」
「えっ、いいのでございますか?」
「そうだ。我らの発情期は年に一度7日ほどである。それ以外は自由である。余は世界を見ねばならぬし、その他の大半の時はその夫にくれてやろう。そのように残した従者に説明するよう命じてある」
「話に聞いていた番いと違うようです」
「誤解があるようじゃ。我らが番いとはその者と子をなすことである。もちろん我が子を産んでくれるそなたは、我が妻として末永く可愛がってやろう」

 じゃあ、あれはどういうことなんだろう。
「その……」
「何じゃ、申してみよ」
 私は結婚披露の屋敷で聞いた噂話について尋ねる。
「邪龍というのは何でございますか?」
 龍王は溜め息を吐いて少し憂鬱そうに話す。

「昔、番いを人に殺された龍が暴れたのだ。龍は番いが死ぬと半身を引き裂かれるほどに苦しみ嘆き悲しむ。精神を病むと番いを求めて彷徨う。狂うとどうしようもない」

「そんな悲しいことが」
「まあ番いを失えば長くは持たぬ。普通は霊場に籠って死を待つのだ」
 何と悲しい定めだろうか。
「龍は長生きするのではありませんか? 私は人間です。そんなに永らえるとは思えませんが」
「メイ、そなたは優しいの。命は分かち合えるものじゃ」
「そんなことが……でも、私の二人の夫たちは?」
「余の番いであるそなたは、二人に分かち合えばよいであろう」
 そんな簡単に。でもまあ、病気もあるし、事故もあるし。
「この世は広く一様ではない。そう思わぬか」
「思いますけれど」
「もそっとこちらに参れ」
「はい」

「ええと……」
「何じゃ、まだ何かあるのか」
「龍王様にお名前はございますか? 何とお呼びすればよいのかと」
「名前はない、そなたの好きに呼べばよい」
「じゃあ、龍ちゃんと」
「フム、なかなか良い名前じゃ」
 にっこり笑った龍王様は私をべろべろに舐めながら押し倒す。下半身に固いモノが当たる。かなり力を持っているソレはとても長い。イケメン面長の顔に匹敵するくらいである。これはもしかして壊れるんではなかろうか。

 きっと壊れて二人の旦那様にも捨てられて──。

「これこれ、そうネガティブにならんでもよい。後でいくらでも修復できる故、頑張らせてくれ」
 龍王様はもう待ったなしと私にのしかかってきた。私は受け入れ体勢を取らされて長いモノがぐいぐいと入ってくる。
 あああ、くし刺しになった気分だわ。
「いやーこのむっちむちのすべすべの抱き心地。お尻も胸も最高。そしてここ。余にねっとりと絡みつき蠢き吸い付き締め上げる」

「おお、おお、メイ……」
「あああん……、龍ちゃーーん。死ぬ、死んじゃう」
「これはよい」

 龍ちゃんは龍になったり人型になったりして私と交わる。ナニを楽しむという姿勢である。私は落とされないようしがみついていた。

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