推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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16歳《高等部 1年》

18

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ドガンだかダガンだかすごい音を立ててルディが生徒会室の扉を開けた。その後ろから焦ったテオ様。可愛い。開けようとしたのにルディに先越されたんだろう。

ルディはさっきまでテオ様引き連れて教師への説明に行ってた。どうだったんだろ。シモンが何かいっぱい教えてたのは知ってるけど。

優雅の欠けらもない皇子様は横柄に椅子に座る。テオ様はやることもなくなり、仕方なさそうに僕の隣に腰かけた。

「教師共の説明は終わった。あと、部活ごとの出品内容も決まったな。レネ、セレモニーはどうだ?」

「脚本は作成しました。残りは皆さんにご確認頂くことと魔法開発、役者の手配、小物類の準備ですかね。小物類や設備、役者は所属している劇団や演劇部にて代用できるものも多いです。」

「クラウス、出品の手配はどうだ?」

「面倒だから各部活に任せてる。知識のなさそうな子にはテオが紹介してくれたカール・ロッカーを手配してる。あと、僕が見つけた子に全ての材料費とかは計算して貰って、僕がカールと話し合う予定。できるだけ値切るつもりだよ。」

「流石だな。そんでお前が見つけたやつは誰だよ。」

勝手に手伝って貰ってたからなぁ。一応、手伝ってもらうからって伝えたけど誰かとか聞かれなかったし。

家臣としてはダメだよね。次から改めよ。

「男爵家のギーゼラ・フォン・レーゲン。領地はそんなに大きくないけど観光業でそれなりに栄えてる。裕福なほうじゃないかな。教育が行き届いてるって感じがする女の子だよ。」

「あぁ。兄のどれかが皇宮で働いてたな。分かった。そいつも俺の家臣にできるように動いとけ。」

え。僕がやるの?嘘でしょ。
今回ばかりはお互い利益があったからやってるだけであの家系は中立派だよ。

…めんどくさいなぁ。


「宰相にする?」

「そこまでできるやつか?」

「…どうだろう。今から学ばせたらできるんじゃない?ただ、爵位は1番上の兄が継ぐ予定らしいから爵位が必要だよ。」

これも面倒だよね。武勇とかなら分かりやすいけど芸術や文芸なんてあんまり目立たないし。

「面倒だな…。侯爵家か伯爵家に嫁がせるか?」

「あまりいい顔はされないだろうけど。一代爵位くらいあげなよ。皇子様。」

「手柄がねぇだろ。まぁいい考えとくわ。」

宰相になるなら最低でも伯爵は欲しいところだよね。圧倒的な力を持てるなら男爵でもいいだろうけど。
養子という手もあるけどこれもまた面倒臭い。

ルディもここで話しを切って次に話を進める。

「ヤン、魔法開発は頼んだ。レネを手伝ってやれ。シモンは…俺と頭の硬いジジイ共の説得だ。」

自国の皇子と他国の皇子連れてって嫌って言えないでしょ。権力で押し潰す気じゃん。しかもシモンは口も達者だし。絶対敵対したくない。

「殿下、俺はどうしますか?」

「テオは生徒会の出し物の案を煮詰めてくれ。できるだけ利益が出るように、不満が出ないようにしろよ。」

「…はっ。」

え~。テオ様と僕はセットでいいじゃん。変な采配しないでよ。

「ルディ、僕もテオのやつ手伝っていい?」

「テオじゃ無理だって言いてぇのか。」

テオ様にできないことがあるわけないでしょ。僕がこれでもかって手を回すもん。

「テオなら任せればやり遂げてくれるよ。ただ、テオの店に卸してる原材料も僕持ちだし。写真も僕の方で改良したの使いたいから色々関わりたいの。」

それはそれとして、テオ様の勇姿は近くで見たい。だから僕とテオ様を引き離さないで欲しい。

ボードゲーム部だってたしかに楽しいけれど、一番の理由はあの部室からテオ様が所属してる騎士部が見えるからだし。
そうじゃなきゃ、生徒会と園芸部とボードゲーム部の兼部なんてしてない。園芸部もボードゲーム部も幽霊部員で許してくれてるからまだ楽だけどさぁ。厳しいところは毎日部活があって大変そうだもん。


「お前もう新しく部活作った方が早くねぇか。」

「部員が僕一人しかいない部活が部活って認められるなら作るよ。」

規則で無理だけど。最低5人だっけ?必要らしい。作るつもりはないから詳しくは覚えてない。

「考えとけよ。人気出るだろうし。」

流石に4つも掛け持ちできないからやらないよ。
それに何の成果もださない部活は生徒会の判断で潰されちゃうし。

「やらないよ。」



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