オヤジ栽培〜癒しのオヤジを咲かせましょう〜

草加奈呼

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草木好子2

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 えーと、たしか水の量は…………。
 1日1回、霧吹きで少量って言ってたわよね。
 私は、昨日ご婦人に言われた言葉を思い出していた。
 
 霧吹きから、小気味よく水が噴き出る。
 じわりじわりと、土に染み込んでいった。
 早く大きくなれよーと、念じながら数日間水を上げた。

 そして数日後…………。

「!?!?!?」

 仕事から帰宅後、私の前に、目を疑うような事件が起きた。
 なんと、知らない男の人が部屋に侵入していたのだ!
 男の体型はぽっちゃりしており、髪は少々薄い。スーツを着ているところを見ると、サラリーマンだろうか……? 推定年齢は40~50代かと思われる。
 なんで!? どこから侵入したの!?

 男は、立ったまま目を瞑っており、まるで寝ているように見えた。叫びたい気持ちを抑えて、気づかれないようにスマホを手に取る。警察に電話しようとするが、手が震えてうまく捜査できない。
 その時、手元が狂ってスマホを落としてしまった。
 あ! と思った時にはもう遅かった。
 スマホは、カシャンと音を立てて落ちた。慌ててスマホを拾い上げる。

「ああっ、待ってください~~!」

 落とした音で目を覚ましたのか、男が懇願した。

「ひいっ!? あ、あなた、誰なの!?」

「お、落ち着いてください!」

「今すぐ出て行って!! 警察を呼ぶわよ!?」

「で、出て行ってと言われましても、私、足がありませんので……」

 足がない!?
 どういうこと!?
 おそるおそる下を見ると……。

「うわあああああ、
 植木鉢から変なおっさん生えてるーーーー!!(涙)」

 芽は!? 植物のかわいい芽はどこに行ったのーーーー!?

「へ、変なって……。失礼ですね!
 あなたが育てたんじゃないですか!」

「わ、私が、育てた…………?」

「そうですよ。この数日間、種から育ててくれたじゃないですか」

「う、うそよーーーー!!(涙) 私が育てていたのは、植物よ!?
 あなたみたいなおじさんじゃないのよ!?」

「私はれっきとした人型植物です! その証拠に、ほら!」

 おじさん? は、自分の足元の土を少し掘り返した。
 目を疑ったが、そこには足ではなく、植物の根がしっかりと埋まっていた。

 数分後、落ち着きを取り戻した私は、まずこのおじさん植物をどうしようかと悩みながら、いくつか質問をした。

「あなたが、人型植物だという事はわかったわ……。
 でも、それならなぜ、おじさ……壮年の姿なの?」

 偏見かもしれないが、普通、もっと幼かったり、自分の姿に似たりするものではないのだろうか?

「それは……。私にもわかりません……。
 私は人の形こそすれど、今開花したばかりの植物です」

「じゃあ、私に種をくれたご婦人の事は?」

「ご婦人……? いえ、存じません」

 ああああ、どうしろって言うのよーー。
 私は、頭を抱えた。

 それから数日間、種をくれたご婦人に話を聞けないものかと、帰路途中で毎日姿をさがしたのだけれど……。あれ以来、ご婦人の姿を見る事はなかった。
 まったく、なんて物をくれたのかしら!?

 植物とはいえど、さすがに人型のもの……しかも知能ありのものを捨てるのは忍びなく、おじさん植物と、奇妙な同棲? 生活が始まるのだった。
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