オヤジ栽培〜癒しのオヤジを咲かせましょう〜

草加奈呼

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花岡はるか3

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「興味津々ね」

「だって、そんな事初耳なんだもの。
 どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」

「ある程度、信頼関係を結べてないと無理よ……。
 あやしい人型植物に言われて、最初の頃のはるかが素直に信じると思う?」

 それもそうだ。
 最初はその存在だけでツッコミばかりだったもんなぁ……。

「私が人間のようになるのは可能よ。でも、仕事を代わるのは無理。なぜかというと、私はあなたとは別人格だから。記憶を共有しているわけでもないから、対人が必要となる仕事を代わるのは、はるかにとってもマイナスになるわ」

「そ、そうか……」

 少し、残念だった。

「でも、それ以外なら」

「それ以外……?」

「はるかが、さっき言ったでしょ。一緒にお出かけしたり、美味しいもの食べて、美味しいって言い合ったり。あと、家の事なら私でもできるわ。掃除したり、料理したり」

「それって、私が働いてる間、家事をしてくれるってこと……?」

「そう」

「帰ってきたら部屋が散らかってなくて、夕飯が用意してくれてあるってこと……?」

「そうよ」

 それって……それって、最高じゃない!?
 世の中は、働いていても家事は分担すべきだって言うけど、ハナなら、自分の分身のようなものだから気兼ねなく頼める。

 でも……ハナだって私とは違う。別人格だ。
 押し付けるような形になってしまわないだろうか?

「本当にいいの? ハナに家事を頼んじゃって」

「言ったでしょう?」

「…………?」

「退屈で死にそうだって」

 ハナにそう言われて、ちょっと殴りたくなった。




 ハナが言う、人間になる方法とは、私のDNAを与える事だった。

 最初は、それってもしかして血液……と思いゾッとしたけど、他の物でもいいらしい。

 私はハナの言う通り、鏡の前で髪を少し切り、それを集めて植木鉢の土の上に撒いた。

 これで、明日の朝にはハナは人間になっている……らしい。

「明日が楽しみね、はるか」

 ハナは上機嫌だった。

 私は、本当にこれで良かったのだろうかと、ドキドキしてきた。

 でも、私は今ではハナを妹のように思っているし、ハナもきっと私を好いてくれていると思う。

 私も、明日を楽しみに寝よう!
 おやすみなさい!


 翌朝。
 今日は休みだから、ゆっくり寝ていられる……。
 と、思ったけど、なんだかいい匂いがする……?
 香ばしいトースト、それにコーヒーの香り。

 そうだ、ハナは!?

 勢いよく起きると、植木鉢にハナはおらず、
 キッチンの方で気配がした。

「…………ハナ?」

 おそるおそる、声をかけた。

「おはよう、はるか!」

 ハナが、エプロンをして人間の足でキッチンに立っている。
 そして、朝ごはんを作っている。

「ハナ…………!!」

 なんだか感動して、私はハナに抱きついた。

「いろいろ話したい事もあるけど、
 まずは朝ごはんできてるから、一緒に食べよう!」




 ハナに言われて、一緒に朝ごはんを食べた。
 が、ハナは少ししか食べていない。

「ハナ、それだけ?」

「うん、まだちょっと人間の体に慣れてなくて。少しずつ慣らしていくね」

 ハナはそう言って、水を飲んだ。
 もしかして、元が植物だから、まだ水がたくさん必要なのかもしれない。

「そうだ、はるか。これからの事なんだけど……」

「うん?」

「はるかが会社に行っている間、レシピを見たり、世の中の事を勉強したりしたいから、はるかのパソコンを借りてもいい?」

「ええ、いいわよ」

 ふと、ハナの足が気になった。
 根っこだったものが、人間の足になり、素足だ。

 私の物を貸してもいいけど、せっかくだからハナ自身の物も与えたい。
 足に履くものを何かプレゼントしよう。
 靴下にスリッパ。靴をあげれば、一緒に出かけられる。

「ハナ、外に行ける? 一緒に買い物に行こう!」

 朝食後、早速、ハナに似合いそうな靴を買いに出かけた。
 足のサイズ、形も私と同じなのだから、
 私が買ってきても良かったんだけど、
 やっぱりハナ自身に選んでもらいたかった。

 それから、ハナの事をいろいろ決めたりした。
 ご近所さんに会った時は、双子の妹、という事にしておいた。
 あまりにも似すぎているから、じろじろ見られたけど。

 あと、ハナは病弱で働いていない……という事にしておく。
 いろいろと設定を決めておかないと、噂好きのご近所さんに
 聞かれた時に困るからだ。

 ハナと過ごす時間は楽しかった。
 いつもおいしいご飯を用意してくれて、申し訳ないくらいだったけど、
 ハナもだんだんと普通の食事ができるようになってきて……。

「美味しいね」

 そう言うと、ハナはとても喜ぶのだった。
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