14 / 40
種村芽衣4
しおりを挟む
そして翌年、ある日の夜────
「ううーん…………。イケオジ…………」
私は、再びイケオジの夢を見た。
いい香りが辺りを包み、ふわふわとする感覚。
今なら、今ならイケオジに会える……!!
さあ、起きるのよ私!! 起きて!!
これは夢よ、起きて現実のイケオジに会うのよ!!
チュンチュンチュン────
小鳥の囀りが聞こえる。
気づいたら朝になっていた。
「ああーーーーっ!! 起きられなかったーーーー!!」
心身ともにリフレッシュできてるけど!!
まだよ。
また数日後に、今度は起きていればいいわ。
数日後の夜────
なんとなく、鉢植えの香りが強くなった気がする。
そういえば、前回もイケオジが現れる前は、香りが強かったわね。
今日こそ……会える!
私は推しに会うが如く身を清め、正装し、ベッドの上で正座で待機していた。
そして去年のあの日と同じように、まばゆい光が辺りを包んだ後──。
イケオジが、咲いた。
あの時と同じように、白い髪、緑のスーツ姿だ。
やっと会えた感動に目頭が熱くなる。
「イケオジ…………」
彼は目を開けると、優しく微笑んだ。
「芽衣さん……? 今日は、起きていたんですね」
「イケオジーーーー! 会いたかったよーーーー!」
まるで、気分は推しの出演するライブで生身を見た時のようだった。
目を潤ませ、思わず抱きついてしまう。
「えっ、えっ? どうされたんですか?」
イケオジは驚きながらも、私の背中に手を回してくれた。
「私、私、年に2、3回しか会えないの知らなくて、調べて、やっと会えたよーーーー!!」
「す、すみません、芽衣さん……。前回、言いそびれてしまって、そのまま消えてしまって……」
「2、3回ってことは、今年は今日で最後の可能性もあるんでしょ? だから、今日はパジャマじゃなくて、ちゃんとした格好で出迎えようと……」
私は彼から一旦離れ、友人の結婚式の時に買ったドレスを見せるように、くるりと翻った。
「素敵です、芽衣さん」
嫌な顔ひとつせずに見つめてくれるイケオジに、思わず胸がときめいてしまう。
「いつも元気をくれてありがとう、イケオジ…………」
その時、ふと思いついて、彼の顔をジッと見た。
「どうしました、芽衣さん?」
「考えてみたら、“イケオジ”って、名前じゃないわよね」
「そうなんですか?」
イケオジはきょとんと目を丸くした。
こういう俗世間的な言葉は、知らないのかもしれない。
「そうよ、カッコいいおじさまのことをイケオジっていうの。名前……、あなただけの名前を考えるわ」
「それは嬉しいです。よろしくお願いします」
ふわりと微笑まれ、頑張って名付けをしようとするが……。
「うーーーーん。花……。夜……。植物……。イケオジ……」
なかなか、いい名前が思い浮かばない。
私って、ネーミングセンスなかったんだ……。
「あ、あのー、芽衣さん」
「ちょっと待ってね。今、カッコいい名前を考えてるから」
「それはありがたいのですが、もうすぐ夜明けです」
「えっ!?」
気づけば、すでに数時間が過ぎ、窓の向こうが白んできた。
「ご、ごめん! 時間がないのに!」
わたわたしていると、イケオジが私の手を引っ張った。
ふわりと、イケオジの腕が私を包む。
あ……この感じ……
いつも、夢で感じている感覚だった。
「名前は、次に会った時でいいです。それよりも芽衣さんと、もっとお話しをしたいです」
「うん…………そうね、いっぱい話をしよう!」
そう言って、イケオジから一旦離れようとするが……。
…………あれ?
イケオジの腕の中から、出られない。
「イケオジ? お話しするんじゃないの?」
「……できれば、このままで」
ええええええええええ。
み、耳元に吐息があああぁ~。
きっと私は今、慣れない状態に赤面している。
「時間もないので、このまま元気を与えながらお話ししましょう」
「は、はい~~」
私たちは夜明けまで話をしたが、正直言って、緊張して何を話したかあまり覚えていないのであった。
──後日、彼の名前は「夜に咲く」ということで「ヨサク」と名付けた。
「ううーん…………。イケオジ…………」
私は、再びイケオジの夢を見た。
いい香りが辺りを包み、ふわふわとする感覚。
今なら、今ならイケオジに会える……!!
さあ、起きるのよ私!! 起きて!!
これは夢よ、起きて現実のイケオジに会うのよ!!
チュンチュンチュン────
小鳥の囀りが聞こえる。
気づいたら朝になっていた。
「ああーーーーっ!! 起きられなかったーーーー!!」
心身ともにリフレッシュできてるけど!!
まだよ。
また数日後に、今度は起きていればいいわ。
数日後の夜────
なんとなく、鉢植えの香りが強くなった気がする。
そういえば、前回もイケオジが現れる前は、香りが強かったわね。
今日こそ……会える!
私は推しに会うが如く身を清め、正装し、ベッドの上で正座で待機していた。
そして去年のあの日と同じように、まばゆい光が辺りを包んだ後──。
イケオジが、咲いた。
あの時と同じように、白い髪、緑のスーツ姿だ。
やっと会えた感動に目頭が熱くなる。
「イケオジ…………」
彼は目を開けると、優しく微笑んだ。
「芽衣さん……? 今日は、起きていたんですね」
「イケオジーーーー! 会いたかったよーーーー!」
まるで、気分は推しの出演するライブで生身を見た時のようだった。
目を潤ませ、思わず抱きついてしまう。
「えっ、えっ? どうされたんですか?」
イケオジは驚きながらも、私の背中に手を回してくれた。
「私、私、年に2、3回しか会えないの知らなくて、調べて、やっと会えたよーーーー!!」
「す、すみません、芽衣さん……。前回、言いそびれてしまって、そのまま消えてしまって……」
「2、3回ってことは、今年は今日で最後の可能性もあるんでしょ? だから、今日はパジャマじゃなくて、ちゃんとした格好で出迎えようと……」
私は彼から一旦離れ、友人の結婚式の時に買ったドレスを見せるように、くるりと翻った。
「素敵です、芽衣さん」
嫌な顔ひとつせずに見つめてくれるイケオジに、思わず胸がときめいてしまう。
「いつも元気をくれてありがとう、イケオジ…………」
その時、ふと思いついて、彼の顔をジッと見た。
「どうしました、芽衣さん?」
「考えてみたら、“イケオジ”って、名前じゃないわよね」
「そうなんですか?」
イケオジはきょとんと目を丸くした。
こういう俗世間的な言葉は、知らないのかもしれない。
「そうよ、カッコいいおじさまのことをイケオジっていうの。名前……、あなただけの名前を考えるわ」
「それは嬉しいです。よろしくお願いします」
ふわりと微笑まれ、頑張って名付けをしようとするが……。
「うーーーーん。花……。夜……。植物……。イケオジ……」
なかなか、いい名前が思い浮かばない。
私って、ネーミングセンスなかったんだ……。
「あ、あのー、芽衣さん」
「ちょっと待ってね。今、カッコいい名前を考えてるから」
「それはありがたいのですが、もうすぐ夜明けです」
「えっ!?」
気づけば、すでに数時間が過ぎ、窓の向こうが白んできた。
「ご、ごめん! 時間がないのに!」
わたわたしていると、イケオジが私の手を引っ張った。
ふわりと、イケオジの腕が私を包む。
あ……この感じ……
いつも、夢で感じている感覚だった。
「名前は、次に会った時でいいです。それよりも芽衣さんと、もっとお話しをしたいです」
「うん…………そうね、いっぱい話をしよう!」
そう言って、イケオジから一旦離れようとするが……。
…………あれ?
イケオジの腕の中から、出られない。
「イケオジ? お話しするんじゃないの?」
「……できれば、このままで」
ええええええええええ。
み、耳元に吐息があああぁ~。
きっと私は今、慣れない状態に赤面している。
「時間もないので、このまま元気を与えながらお話ししましょう」
「は、はい~~」
私たちは夜明けまで話をしたが、正直言って、緊張して何を話したかあまり覚えていないのであった。
──後日、彼の名前は「夜に咲く」ということで「ヨサク」と名付けた。
30
あなたにおすすめの小説
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる