オヤジ栽培〜癒しのオヤジを咲かせましょう〜

草加奈呼

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土屋美雨10

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「美雨さん、良かったですね」

 その後、家族会議の内容をサイに話した。

「うん、お父さんも戻ってきて、やりたい事も見つかって、なんか運が上昇してきた感じだよ。サイが、生えてきてくれたおかげかな?」

「僕は、何もしてませんよ。美雨さんが、がんばったからですよ」

「これから、予備校に通うから、サイの相手、あんまりしてあげられなくなるけど……」

「それは、大丈夫です」

「え、どうして?」

「僕は元々、雨季に咲く植物です。もうあと数日で、眠ってしまいます」

「えっ、そうなの!? サイに会えなくなっちゃうの!?」

「大丈夫です。根が枯れなければ、来年また咲きます」

「よ、良かった~。大学生になった私も、社会人になった私も、サイに見てもらいたいもん」

 サイはお父さんに似ているけれど、やっぱり私にとって、サイはサイだった。

「それは、来年が楽しみです」

 そして数日後、サイは眠りについた。



 一年後────

 サイは、また若い姿で咲いた。

「美雨さん、お久しぶりです!」

 若い姿の方が、年齢が近くて話しやすい気がする。

 しかしサイは、またいきなり成長した。
 お父さんの姿でいきなり現れると、やっぱりびっくりする……。







 そして数年後、私は大学を卒業し、お父さんの紹介でとある研究所を訪れた。

「いらっしゃい、あなたが、土屋美雨さんね。はじめまして」

「……あ、あなたは!? 種をくれた着物の女性!」

 私の目の前に現れたのは、あの雨の日に出会った、物腰優雅な女性だった。
 今は着物ではなく、研究所らしく白衣を着ている。

「あら、どこかで会ったかしら?」

 数年経っているし、覚えてないのだろうか?
 あの時、彼女がサイの種をくれなければ、お父さんのことも知らなかっただろうし、ここにも来ていないだろう。
 どうやら彼女は、ここの所長のようだ。

「ここでは、人型植物の研究をしているのよ。そうそう、私の助手を紹介するわ」

 朗らかに微笑む所長の視線の先には、ボブカットで真面目そうな、若い女性が立っていた。

草木好子くさきよしこです。美雨さん、よろしくね」

「は、はい。よろしくお願いします!」
 

 私は、この研究所がいかに恐ろしい所かという事を、後で思い知らされる事となる────


──  土屋美雨 編 完 ──
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