剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第2章 前途多難な1年目

第91話 憧れと友達にと

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「リューク、何故いつも俺の隣の席に着く、お前なら他の人達とも仲良く出来るだろ?」

「はい、だからこそ僕はここにいるんです」

つまり他の人とはもう仲良くできたから、あとはクロウだけだよ、と言う事だろう。

「…仲良くなりたいと?」

「はい!」

「正直だなぁ…断るけど」

主人公と仲良くなってはいけないだろう…
こちらは何回も言うが悪役貴族、いつかは主人公に断罪される存在だ。

それなのに友達になってしまえば、その未来が変わってしまう可能性がある。

「何で!?」

「何でって何で平民であるお前と友達にならないといけないんだよ、メリットがないだろ」

嫌味を言っても効果が殆どないので、取り敢えず素の自分で喋る、嫌味を言っても(リュークにとって)良い意味で解釈してしまうのだ。

「ありますよ!僕は平民と貴族の垣根を超えた存在になるんですから!」

「…どう言う事だ?」

本当にどう言う事だ?平民と貴族の垣根かきねを超えた存在?まさか国家転覆でも考えているのか?


「僕は今王族と貴族の人達と懇意こんいな関係にあります、それを利用するんです」

「…?」

「つまり、平民だとチャンスが少ない状況ですが、彼女達の力を借りればその機会が増えるんです」

「そうだな」

だけどそれでは質問の答えになっていない、リュークは何を言いたいのだろうか?ゲームのリュークはこんな事を言う人ではなかった。

「そして僕は平民としてこの国に貢献出来る程の実績を残し、平民から貴族になり、この差別問題を解決させるんです!」

「…凄い計画だけど、穴だらけだな」

そもそもフィオナ達が協力したとしてもリューク1人だけで実績を残すのは難しい、更に言えば何をどうして実績を残すのかも考えていないし、平民が貴族に仮になれたとしても、今の差別問題を解決させるには途方もない時間がかかるはずだ。

「だからこそクロウ様の様な人に力を貸してもらいたいのです!」

「公爵家が動けば、確かに周辺貴族達は表向きは言う事を聞くだろうな」

しかし貴族の中にも派閥があるし、根付いた(悪い)風習は中々消える事はない、しかも平民出身の貴族なんて絶対に差別対象だ。

「だろ!」

「でも、そう言うの汚職などをしている奴らは裏ではお前達を潰す為に動くはずだ、しかも相手は大人、子供の俺達がどうこうできる世界じゃないぞ?」

「だからこそ、みんなで力を合わせるんだ」

「例えばどうやって?」

そう言うとリュークは黙ってしまう、具体的な内容がなければ大層立派な事でも戯言ざれごととなってしまう。

「それは…この学園内の差別問題を無くそうと思って…」

「例えばどうやって?」

「例えば…僕を助けてくれた時みたいに見たら助けるとか…」

「今度はバレない様にこっそりやられるぞ?」

この現状は日本の学校と変わらない、学校でいじめの事に関した話が起きると必ず『いじめは良くないと思います』と言う人がいる。

しかし『じゃあどうすれば無くなるのか?』と言う話になると曖昧で、戯言ざれごとで、意味不明な事しか言わないのだ。

本当に解決したいのなら徹底的にやるしかないのだ、中途半端にモラルとかパワハラとかモンスターペアレントとか気にするから、いじめ防止対策も中途半端に終わるのだ。

「本当に無くしたいのなら教師を味方につけろ、親もだ、そして悪い事をしたなら体罰をするとか、可哀想とか暴力はダメとかくだらない言い訳はしないで徹底的にやれ」

「…え?」

「生半可な気持ちや言動は身を滅ぼすぞ?何度でも言うぞ?やるなら徹底的にやれ、それが無理ならそんなくだらない妄想はしない事だな」

ちょうどフィオナ達も来た、これ以上は話をする事はないだろう。

「わかったなら、その協力者達にも伝えておけ、お前らのやっている事は必要のない偽善活動だとな」

「…はい!」

クロウがリュークにそう伝えるとリュークは目を輝かせてミオ達の所へと向かった。

——————————————————————
「え?何であんなに嬉しがっているの?」

「…クロウ様は本当に悪役貴族向いていませんね」
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