剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第2章 前途多難な1年目

第96話 新しいヒロイン

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~生徒会室内~

フィオナに続いてクロウ達も中に入る、中はとても綺麗でよく掃除されている事がよくわかる。



「…入室許可をしたわけじゃないんだけど?」

「どうせ入るんだから関係ないでしょ?」

「………」

書類の整理が終わったのだろう、ペンを置いて『グイッ』と背筋を伸ばす。

白い髪に褐色の肌
茶色と黒をベースに合わせた服装だ
確か彼女も『ラグナロク•オリジン』のヒロインの1人のはずだ。

「あの、あの方は?」

「あの人はこの『ミリティア学園』の生徒会長、『エムル•ミリティ』よ」

「そしてボク達とは違う、フィオナ様と同じ王族よ」

どうやらゲームと同じ設定の様だ
エムル•ミリティ、ミリティア家の血を受け継ぐ者達だが、本家ではなく分家の者達でフィオナとは従姉妹いとこにあたる。

「確か、あの人はフィオナの1つ歳上の従姉妹だったはずだ」

「はい、よく知っておりますね?」

「ミリティ家の事はお前から教えてもらったからな」

小さい頃にミリティア家について学んでいた時に教えてもらった内容の1つだ、ゲームの知識でその事も知ってはいたが、この世界でも存在すると言う事が分かったのでとてもありがたかった。

「そもそも公爵家の人が王族を知らないのはヤバいけどね?」

「…お前達も公爵家だろ」

「だから知っているんだよ」

ミオとシャルの言う通りだ、いくら公爵家から勘当される(予定だ)けどこの3年間は一応貴族の中で1番上の公爵家の人間として暮らしていくのだ、それくらいの"知識"は必要だろう。

「…こんなにも多くの人を引き連れて何の用?」

「何の用って前々から話していたでしょ?活動メンバーの皆んなを連れて来たのよ、ほらこれが名簿よ」

「そう言えば許可はしていたわね」

フィオナはあらかじめ活動の許可自体は申請して許可を得ている、その後にそのメンバーの名簿表を渡して完全に活動できる様にしたのだ。

そうでもしないとクロウはあの手この手で逃げようとする為、そのくらいの行動をしないといけないのだ。

「…最初に来た人達以外のメンバーがいるのね…誰なの?」

「リュークがどうしてもと言うから特別に許可をした人達よ、ほら自己紹介しなさいよ」

「は?勝手に入れたのはお前だろうが」

「余計事は言わなくて良いの、貴方は言われた通りの事をすれば良いのよ」

「…チッ、クロウだ」

「メイディ•マトリアです、クロウ様の専属メイドです」

ここでうだうだしても意味がない、ここまで来てしまったのだから素直に答えてさっさと戻ろう。

「クロウ…何故君がここに?」

「え?」

「だって君は…いや…」

エムルは自分クロウがいる事自体に驚いているようだ、確かに最初の時は来ていなかったが、ここまで不思議がられるのだろうか?


「分かった、メンバーの事についてはこれで良いよ」

「助かるわ、では私はこれで」

「ええ、あ、そうそう」

フィオナはさっさと去ろうとするが声をかけられる。

「何?」

「君じゃないわ、そこにいる貴方」

「俺?」

エムルと目が合い、一応確認するとやはり自分だったらしく『こく』っと頷く。

「ええ、貴方と2人きりで話がしたいの、他の人達は帰っても良いわ、いいでしょ?」

「…ああ、俺は構わないよ」

本当は早く帰りたいが、自分クロウがいる事で起こるこの謎のイベントがどの様な影響を及ぼすのか気になる。

もし阻止が出来るのならやったほうがいいだろう。

「メイディは先に戻ってくれ、後で内容は伝えるから」

「かしこまりました、しかしお気を付けてくださいね」

「分かってるよ、変な事はしない」

そんな事をして本当に歴史が変わってしまったら意味がない、あくまでも自分クロウは悪役、本来は彼らリューク達と関わってはいけないのだ。

——————————————————————
続く



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