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第2章 前途多難な1年目
第98話 胸騒ぎの正体2
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「…1つ質問してもいいか?」
「何?」
「君は元々は男だったのか?」
「え?」
クロウはエムルにそう質問する、口調の問題もあるが、このゲームは男性向けのはずだ、女性がやるなんて…あり得なくはないが、疑ってしまう。
「いや、女だけど?」
「それは前世でもそうか?」
「?…そうだけど?」
男らしい女性はいる(フィオナとか)、口調が俺と言うのは珍しいけど。
「そう言う君は前世では男だったの?」
「ああ、そうだよ」
そうか、逆の可能性もあるのか、自分は男である事を元から知っているから男だと認識しているが(当たり前だけど)相手からすれば俺がエムルに対して質問していた内容と同じ感じなのだ。
「日本生まれの日本育ちゲームが大好きな極々普通の日本人だよ」
「…確かに普通ね」
「だろ?」
「それに雰囲気もだいぶ変わってるし」
「まぁ、悪役貴族を演じているつもりだからな」
今の所はそれらしい事が出来ていないけど、それはおいおい何とかする。
「つもりなんだ」
「今の俺が悪役貴族らしい事出来ているか?」
「口は悪いが根は優しい貴族様だってよ?」
「…何も言えねぇ」
「懐かしいネタね」
本当に日本人だ、それと的確な言葉にマジで何も言えない。
「…このままだと悪役貴族らしい事が出来ずに卒業しちゃうよ」
「まだ始まったばっかりだよ?俺も協力してあげるから頑張ろう?」
「え?協力してくれるの?何で?」
まぁ協力してくれるならとてもありがたいが、何故いきなりそんな事を言ってくれるのだろうか?
「正直に言って俺はこのままでも良いと思ってる」
「え?」
「でも、この歴史改変が人為的なものだと分かった以上、俺も協力をせざるを得ないと思ったんだ」
エムルの言いたい事は、『人為的ではなく自然にこうなっていたのなら放置していたが、クロウが転生者であり、変えた張本人であるなら修正する為に協力する』と言う事だ。
「手伝ってくれるのか?」
「仕方ないだろ?これが一種のルートだったら協力はしないけど、そうじゃないなら元に戻すしかないでしょ?」
そもそもゲームの中に転生者自体いないし、この世界も(クロウの解釈だが)極限まで似ている『ラグナロク•オリジンとは違う世界』と認識している。
「そうだな、主人公であるリュークが魔王を倒してくれないとこの世界が滅んでしまうからな」
「だからこそ俺は協力したいんだ、理解してくれたかな?」
「ああ、これからよろしくな」
ならば拒否する必要はない、同じ前世の記憶を持っている者同士なら情報共有しても大丈夫な筈だ。
そう言うわけでクロウとエムルは手を握り、お互いに協力する事を決めた。
「所で君の名前は?」
「ん?」
「だから名前だよ、日本にいた頃の」
「ああ、そう言う事か」
それくらいなら別に良いだろう、コチラとしても同じ境遇の仲間がいて少し安心するし、こう言った事もそれに繋がる。
「俺の名前は天城剣介、日本の大学生さ」
「…え?」
「ん?」
自分の名前を聞いた瞬間、エムルは酷く動揺する、まるで今の言葉が嘘なのではないか?と疑っているほどに。
「どうしたんだ?別に変な名前じゃないだろ?」
「え…ええ」
「?…まぁ良いや、それでお前の名前は?」
「ふぇ!?」
今度はコチラが聞くと酷く動揺している、何故だろう?まさか自分の事を知っている?それとも同姓同名の人と勘違いしている?
「ふぇ?じゃないよ、俺が答えたんだからそっちも答えてよ」
「そ…そうだね…うん、そうだよね」
歯切れの悪い言葉に頭の上に『?』マークを浮かべると意を決して名前を名乗る。
「俺の名前は…田中美波だよ…剣ちゃん」
「え?剣ちゃんってもしかして…みなちゃん?」
その言葉にエムルは頷く、まさか胸騒ぎの正体がここで分かるなんて…田中美波、俺の前世の幼馴染みで婚約者で彼女のみなちゃんだった。
——————————————————————
続く。
「何?」
「君は元々は男だったのか?」
「え?」
クロウはエムルにそう質問する、口調の問題もあるが、このゲームは男性向けのはずだ、女性がやるなんて…あり得なくはないが、疑ってしまう。
「いや、女だけど?」
「それは前世でもそうか?」
「?…そうだけど?」
男らしい女性はいる(フィオナとか)、口調が俺と言うのは珍しいけど。
「そう言う君は前世では男だったの?」
「ああ、そうだよ」
そうか、逆の可能性もあるのか、自分は男である事を元から知っているから男だと認識しているが(当たり前だけど)相手からすれば俺がエムルに対して質問していた内容と同じ感じなのだ。
「日本生まれの日本育ちゲームが大好きな極々普通の日本人だよ」
「…確かに普通ね」
「だろ?」
「それに雰囲気もだいぶ変わってるし」
「まぁ、悪役貴族を演じているつもりだからな」
今の所はそれらしい事が出来ていないけど、それはおいおい何とかする。
「つもりなんだ」
「今の俺が悪役貴族らしい事出来ているか?」
「口は悪いが根は優しい貴族様だってよ?」
「…何も言えねぇ」
「懐かしいネタね」
本当に日本人だ、それと的確な言葉にマジで何も言えない。
「…このままだと悪役貴族らしい事が出来ずに卒業しちゃうよ」
「まだ始まったばっかりだよ?俺も協力してあげるから頑張ろう?」
「え?協力してくれるの?何で?」
まぁ協力してくれるならとてもありがたいが、何故いきなりそんな事を言ってくれるのだろうか?
「正直に言って俺はこのままでも良いと思ってる」
「え?」
「でも、この歴史改変が人為的なものだと分かった以上、俺も協力をせざるを得ないと思ったんだ」
エムルの言いたい事は、『人為的ではなく自然にこうなっていたのなら放置していたが、クロウが転生者であり、変えた張本人であるなら修正する為に協力する』と言う事だ。
「手伝ってくれるのか?」
「仕方ないだろ?これが一種のルートだったら協力はしないけど、そうじゃないなら元に戻すしかないでしょ?」
そもそもゲームの中に転生者自体いないし、この世界も(クロウの解釈だが)極限まで似ている『ラグナロク•オリジンとは違う世界』と認識している。
「そうだな、主人公であるリュークが魔王を倒してくれないとこの世界が滅んでしまうからな」
「だからこそ俺は協力したいんだ、理解してくれたかな?」
「ああ、これからよろしくな」
ならば拒否する必要はない、同じ前世の記憶を持っている者同士なら情報共有しても大丈夫な筈だ。
そう言うわけでクロウとエムルは手を握り、お互いに協力する事を決めた。
「所で君の名前は?」
「ん?」
「だから名前だよ、日本にいた頃の」
「ああ、そう言う事か」
それくらいなら別に良いだろう、コチラとしても同じ境遇の仲間がいて少し安心するし、こう言った事もそれに繋がる。
「俺の名前は天城剣介、日本の大学生さ」
「…え?」
「ん?」
自分の名前を聞いた瞬間、エムルは酷く動揺する、まるで今の言葉が嘘なのではないか?と疑っているほどに。
「どうしたんだ?別に変な名前じゃないだろ?」
「え…ええ」
「?…まぁ良いや、それでお前の名前は?」
「ふぇ!?」
今度はコチラが聞くと酷く動揺している、何故だろう?まさか自分の事を知っている?それとも同姓同名の人と勘違いしている?
「ふぇ?じゃないよ、俺が答えたんだからそっちも答えてよ」
「そ…そうだね…うん、そうだよね」
歯切れの悪い言葉に頭の上に『?』マークを浮かべると意を決して名前を名乗る。
「俺の名前は…田中美波だよ…剣ちゃん」
「え?剣ちゃんってもしかして…みなちゃん?」
その言葉にエムルは頷く、まさか胸騒ぎの正体がここで分かるなんて…田中美波、俺の前世の幼馴染みで婚約者で彼女のみなちゃんだった。
——————————————————————
続く。
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