剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第3章 神の悪戯

第166話 おかえり

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「サプライズ?」

「ええ、クロウが帰って来るって知ったからみんなで準備してたのよ?」

と、クロウの母親であるメフィナはそう言いつつクロウを抱きしめる。

「!?」

「どうしたの?クロウ?恥ずかしいの?」

クロウは驚きのあまり身動きが取れていないが身体をビクッと震わせたのでそう感じたのだろう。

「いきなりされたら誰だって驚くよ」

「そう?でも久しぶりに会えたんだからこれぐらいは我慢して」

「…はい」

約3年ぶりの再会だ、自分の子供が3年間も何も連絡がなく手紙だけのやり取り、しかもそれは本人ではない、親なら普通心配するものだ。

しばらくクロウはメフィナに抱きしめられ、その後ゆっくりと離してくれた。

「おかえり、クロウ」

「うん、ただいま」

2人のやり取りをずっと見ていた者達はほっこりとした顔で見届けていた、
3年ぶりの親子の再会はとても感動的なものだったのだろう。

「さ、アイオが言っていたけど歓迎会の準備が出来ているの、早く行きましょ」

メフィナはそう言うと、メイディの方を見て笑顔を浮かべる。

「貴女も3年間クロウを支えてくれてありがとう、貴女も早く行きましょ?」

わたしも良いんですか?」

メイディの疑問の言葉にメフィナは笑顔で答える。

「当たり前でしょ?貴女も家族なんだから」

「…ありがとうございます」

公爵家と言う貴族の中で1番偉い人達がただのメイドを家族と呼び、その息子と一緒に帰って来てくれた事を祝ってくれると言う、メイディにとってこれ以上嬉しい事は…多分ないだろう。

「さ、行きましょ?」

メフィナは早く祝いたいのだろう、クロウの手を引っ張って食堂へと連れて行く。

「メフィナは本当に楽しみにしていたんだ、メイディも本当にありがとう」

「いえ、これが仕事ですから」

「それでもだ、私達にとってクロウは大切な息子だからな」

そう言うアイオは何処か落ち着きがなく、何かを隠している様にも見えた。

「ありがとうございます」

「いいさ、さ、早く行こう、皆が待っている」

しかしメイディはメイドだ、例え家族同然として扱われても貴族とメイド、余計な事を言うと全てを失う可能性がある、ここは黙っている事が正しい。

メイディはアイオの言葉に従って食堂へと向かう、中に入ると既にここで働いている者達は揃っており、クロウも席に座っていた。

「メイディ、お前の席はここだ」

と指差す所はクロウの隣、本来なら許されないが、学園生活の慣れとメフィナ達の後押しでクロウの隣に座る。

「本当にわたしがここで良いのでしょうか?」

「別に良いだろ?学園じゃいつも隣だし、騎士団の時も隣にいただろ」

「それとこれとは話が別では?」

しかしここでそんな事を言ってもキリがないのでこれ以上は言わないでおく。

「さ!2人が帰って来たんだから!皆んな賑やかにいこう!」

「今日は無礼講よ!存分に楽しんでね♪」

アイオとメフィナがそう言うと皆は一斉に騒ぎ出す、無礼講と言っていつもの静かな感じでやるのはかえって失礼だと思ったのだろう。

「クロウ様!おかえりなさいませ!」

「メイディもおかえり!大変だったわねぇ」

「ささ!料理人達が腕によりをかけて作った料理です!今日は思いっきり食べて飲んでください!」

「お…おお、いただくよ」

「メイディも!」

「は…はい」

帰りを祝う者達の圧に押されて料理を口に運ぶ、流石は公爵家が雇う料理人達だ、滅茶苦茶美味しい。

「美味いな」

「はい、久しぶりにこんな美味しいものを食べました」

騎士団の料理も不味くはないが質より量の為味わうと言うよりも栄養補給に近かったが、ここは量より質で味の違いがよく分かる。

その姿を見て皆が喜ぶが、クロウとメイディは逆に不信感を抱く、確かに帰って来たんだから喜ぶのは当たり前かもしれないが、それでも限度がある。

「クロウ様」

「ああ、でも今は余計な事はしないでおく、折角皆が祝ってくれているんだ、水を差したくない」

「かしこまりました」

2人だげの聞こえる声で話し合った後、クロウとメイディは兎に角食べ、皆と和気藹々わきあいあいと話し合った。

——————————————————————
続く
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