剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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〜最終章〜 剣ぺろ伝説

最終話 そして歴史は紡がれる

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~20年後~
~王城内にて~

「リュークさん、どちらへ行かれるのですか?」

「書類の整理はあらかた終わりましたので少し散歩をしようかと思って」

あれから20年、リュークは40歳にメイディは50歳になっていた。
あの後は内政を整えてメジーナの国との外交、その他周辺諸国や旧魔王領の統治、魔王軍残党との討伐など目まぐるしい日々を送っていた。

「そうですか、ではわたしもお供致しましょう、何かあってはいけませんからね」

「ここ王都で僕やメイディさん達を狙う人達はもういませんよ」

反王政派や勇者リュークの存在を認めない貴族達などが邪魔をして来たり、殺そうとして来たりと命に関わる事をしてくる人達もいたがそれも全て解決出来た。

「魔王との戦いでは準備に3年戦いに2ヶ月で済みましたが、人間相手には約20年、ここまで手強いとは思いませんでしたよ」

「それが人間ですから」

利益の為に時に敵対し時に協力し、少しずつ反対勢力を削り、最近になってやっと完全に消す事が出来たのだ。

「クロウ様なら何年で終わらせたんですかね」

「エムル様やフィオナ様の力を存分に使って1年くらいで終わらせるんじゃないんですか?」

王族の力にも屈しない者達だったが、それでも王族の力は絶大だ、あの時のように全てを自分が背負い、1番美味しいところをリュークに渡して終わらせたかもしれない。

実際はどうなるかは分からないけどクロウならばするかもしれないと2人は思っているのだ。

「クロウ様ならやりそうですね」

「ええ、世界を救った英雄ですから」

「実際救ったのは貴方ですけどねリュークさん」

リュークとメイディが話しながら散歩していると、フィオナとメジーナと出会う、打ち合わせが終わって同じ様に歩いていたのだろう。

「フィオナ様、メジーナも」

「お疲れ様でございます」

「メイディさん達もお疲れ様でした」

「リューク、今日は帰って来るの?」

「ああ、仕事もひと段落ついたから今日は帰れるよ」

リュークとメジーナはあの後結婚しており、両国の関係を取り持つ形となっている。
フィオナやミオ、シャル達とも結婚する話が出ていたが
「私達の好きな人はクロウだけ」
「憧れの人を裏切れない」
と断り、元々相思相愛だったリュークとメジーナだけが結婚することになったのだ。

「分かった、じゃあ子供達も帰って来る事は伝えておくね」

「よろしく」

そして子供もいる、メジーナも年齢は40歳で
22歳の時に結婚して23、26歳の時に出産、現在は二児の母となっているのだ。

「相変わらず仲が良いですね」

「当たり前ですよ、わたし達はクロウの分まで幸せになるって決めたんですから」

「自分達が不幸だとクロウ様達に申し訳ないですからね」

彼のおかげで今の自分達がいる、なら彼の分まで精一杯生きて頑張らなければ意味がないのだ。

「なんですの?この集まりは?」

「ボク達も混ぜてよ」

「ミオ様にシャル様」

リュークが声をかけた先にはミオとシャルが歩いていた、彼女達は他国との外交が終わり、その連絡の為に来たのだろう。

「お疲れ様です」

「リュークさんもお疲れ様ですわ」

「フィオナ様、メジーナさん、メイディさんもお疲れ様です」

「ええ、お疲れ様」

フィオナはシャルに近づいて声をかける

「今回の外交はどうでしたか?」

「問題はありません、勇者リュークの居る国とは揉めたくないとそのまま意見が通りました」

「それそれとして大丈夫なのかしら?と思いましたが、一応上手くいった感じですわ」

あの戦争から20年勇者リュークの名と力はある程度の権力になった、時に毒となったがこうやって外交も上手くいく時がある。

「そうでしたか、それについての報告書を後で提出してください」

「分かりましたわ」

「了解です」

そう言って2人はその場から離れて行く、報告書を今から書きに行くのだろう。

「では、私達もこれで失礼します」

「リューク、メイディさんに迷惑をかけちゃダメだからね?」

フィオナとメジーナも次の仕事の為に戻って行った。

「では、僕達も戻りましょうか」

「はい」

そう言ってリュークとメイディも仕事部屋へと戻っていく。

ふとリュークは空を見上げる
晴れ渡った空がどこまでも続いていた。

「クロウ様…悪役を目指していた貴方には残念な事ですけど、貴方は今世界中で英雄として語り継がれてますよ」

「剣ぺろ伝説…その名前にはかなりの不愉快さが残りますが、それ以外は良かったですよ」

彼が望んだ世界なのかは分からない
彼が望んだ結末なのかは分からない
彼が望んだ末路なのかは分からない
けれど彼の選択が、彼の行動が、今の世界を作った。

「僕は勇者、貴方は英雄、どちらも英語ではヒーロー…少しは貴方に近づけましたかね」

「まだまだですよ、せめて全身に穴が空きながら魔物の群れを殲滅出来るくらいには強くなりませんと」

「ですよねぇ…」

リュークはため息を吐きながら歩く、今も目の前を歩き続けている英雄の背中を追いかけながら、少しでも彼と共に生きた世界を守る為に、リュークは進み続ける。

ヒーローはいつでも誰かの希望だから

———————————————————————
~完~
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