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第3章
28、chance
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「一家惨殺事件はその1週間後に起きたそうです」
「ちょっと待て」
たまらずに伊坂が遮る。
「宗助氏はなぜ警察にその話していないんだ? 」
「そこは、枯桜香炉を持っていることを知られるのを恐れたんじゃないか。どこから情報が漏れるか分からないし。」
適当に言っているようでいて香坂の推理は当てずっぽうという訳でもない。
「そうか? 」
「続けて下さい」
「はい、…それで宗助氏はひどく驚いたようです。」
すぐに枯桜香炉の話を思い出したがなんの確証もない。
「しかも「香炉を欲しがっている男がいる」とは聞いていたけれど、それがどこの誰かまでは」
「知らなかった、」
「そう」
警察から見せられた現場写真は凄惨さを極め、まるで獣が暴れ狂ったかのようであった。
あまりの異様さに宗助は「なにか人間ではないものに襲われたに違いない」と、思ったという。
「ですが確かめようにも河内邸は、すでに厳戒態勢で人払いがなされていました。あれだけの事件なのに報道もない。身内であっても一切中に入ることが許されず宗助氏は途方に暮れた。」
「そうだろうな。あそこは妖しの溜まり場になっていた。身内であっても一般人が立ち入るのは危険すぎる」
「不幸なことです」
しんみり言う雅也に頷き返して香坂は続ける。
「あれは絶対に人間の仕業ではない、従弟は呪われたのかも、なんて言っても警察が取り合ってくれるはずもなく。宗助氏の不信感は募りました。」
「普通はそうなるだろう」
「もし本当に枯桜香炉が関係しているなら自分も危ないかもしれない。警察はあてにならない。そう考えた宗助氏は佐久間さんを頼るしかなかった」
「はは~、なんだかその場面が思い浮かびますね」
ため息ともつかない乾いた笑い声を上げる雅也。
「ちなみになんですが河内宗助氏はなんと外務省勤め、かなりのエリートですね。佐久間のじい様が目をかけて可愛がっているっていうのも頷けますね」
「なんとかしてくれ」と泣きついてきた宗助を邪険にすることもできず佐久間は、上尾に投げてきたのだ。
「迷惑な…」
渋面の伊坂が呻る。
「本当のことを言えば乗ってこないとでも思ったのか」
「まあ、もっと裏がありそうな気がしますけどね。それで「枯桜香炉」は今どこに? まだ宗助さんがお持ちですか」
「それが…今夜、河内宗助氏によってオークションに出品されます。」
「え」
「なに? 」
思わず聞き返してしまう二人。
預かり物であったはずの香炉がオークションにかけられるだけでも驚きだというのに。
「いつだって? 」
「今夜だよ兄貴」
「それって…」
香坂もこれには肩竦めるしかない。
「ギリギリ間に合ったような間に合ってないような? 」
佐久間が裏から河内宗助に指示しているのは間違いない。すべては犯人をおびき寄せるため。だが、時間制限いっぱい。上尾がこれに気付かず犯人を逃せば二度と機会は与えられないだろう。
「もし犯人がその男なら一家惨殺までして枯桜香炉をほしがったんだ。オークションを見逃すはずがない。」
「ここぞとばかり手に入れようとするだろうな」
「どうします? 」
「チャンスです。なかなか厳しい状況ですが、間に合わせましょう」
ここで退くわけにはいかないと、賢明な光を灯した相貌が強く輝く。
「相手に奪われてはいけない。なんとしても香炉を落札してください」
「ちょっと待て」
たまらずに伊坂が遮る。
「宗助氏はなぜ警察にその話していないんだ? 」
「そこは、枯桜香炉を持っていることを知られるのを恐れたんじゃないか。どこから情報が漏れるか分からないし。」
適当に言っているようでいて香坂の推理は当てずっぽうという訳でもない。
「そうか? 」
「続けて下さい」
「はい、…それで宗助氏はひどく驚いたようです。」
すぐに枯桜香炉の話を思い出したがなんの確証もない。
「しかも「香炉を欲しがっている男がいる」とは聞いていたけれど、それがどこの誰かまでは」
「知らなかった、」
「そう」
警察から見せられた現場写真は凄惨さを極め、まるで獣が暴れ狂ったかのようであった。
あまりの異様さに宗助は「なにか人間ではないものに襲われたに違いない」と、思ったという。
「ですが確かめようにも河内邸は、すでに厳戒態勢で人払いがなされていました。あれだけの事件なのに報道もない。身内であっても一切中に入ることが許されず宗助氏は途方に暮れた。」
「そうだろうな。あそこは妖しの溜まり場になっていた。身内であっても一般人が立ち入るのは危険すぎる」
「不幸なことです」
しんみり言う雅也に頷き返して香坂は続ける。
「あれは絶対に人間の仕業ではない、従弟は呪われたのかも、なんて言っても警察が取り合ってくれるはずもなく。宗助氏の不信感は募りました。」
「普通はそうなるだろう」
「もし本当に枯桜香炉が関係しているなら自分も危ないかもしれない。警察はあてにならない。そう考えた宗助氏は佐久間さんを頼るしかなかった」
「はは~、なんだかその場面が思い浮かびますね」
ため息ともつかない乾いた笑い声を上げる雅也。
「ちなみになんですが河内宗助氏はなんと外務省勤め、かなりのエリートですね。佐久間のじい様が目をかけて可愛がっているっていうのも頷けますね」
「なんとかしてくれ」と泣きついてきた宗助を邪険にすることもできず佐久間は、上尾に投げてきたのだ。
「迷惑な…」
渋面の伊坂が呻る。
「本当のことを言えば乗ってこないとでも思ったのか」
「まあ、もっと裏がありそうな気がしますけどね。それで「枯桜香炉」は今どこに? まだ宗助さんがお持ちですか」
「それが…今夜、河内宗助氏によってオークションに出品されます。」
「え」
「なに? 」
思わず聞き返してしまう二人。
預かり物であったはずの香炉がオークションにかけられるだけでも驚きだというのに。
「いつだって? 」
「今夜だよ兄貴」
「それって…」
香坂もこれには肩竦めるしかない。
「ギリギリ間に合ったような間に合ってないような? 」
佐久間が裏から河内宗助に指示しているのは間違いない。すべては犯人をおびき寄せるため。だが、時間制限いっぱい。上尾がこれに気付かず犯人を逃せば二度と機会は与えられないだろう。
「もし犯人がその男なら一家惨殺までして枯桜香炉をほしがったんだ。オークションを見逃すはずがない。」
「ここぞとばかり手に入れようとするだろうな」
「どうします? 」
「チャンスです。なかなか厳しい状況ですが、間に合わせましょう」
ここで退くわけにはいかないと、賢明な光を灯した相貌が強く輝く。
「相手に奪われてはいけない。なんとしても香炉を落札してください」
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