【完結】私にサンタクロースはやって来ない!

山葵

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「ブライト。今日は聖なるクリスマス。街に出てデートしましょう♪ショッピングして、食事して、最後には今話題のライトアップを見に…」

「すまないカトリーヌ。メルシアが熱を出したと知らせが来てね。今から見舞いに行ってくる。」

「…そう。行く前に聞きたいのだけれど、ブライトは私とメルシアさんと、どちらが優先順位が高いのかしら?」

「そんなの決められる訳ないだろう?君は僕の婚約者で、メルシアは大事な幼馴染なんだ。」

「そう、大事な幼馴染ね。じゃあ私とメルシアさんが同時に熱を出したら、貴方はどちらを先に見舞うのかしら?」

私の問いに黙ってしまったブライト。

黙った時点で答えが出ている。

しょせん私はただの婚約者。
対するメルシアさんは、貴方の大事な幼馴染。

いつもいつも私の事など後回し。

『何が彼女は病弱だからよ。
貴方が知らないだけで、彼女は結構な遊び人ですが?

病弱でベッドの上の住人?
そんな人が、夜遊びしますか?
違う意味でベッドの住人ですよね?
毎回、一緒に寝る方は違う様ですが…。

貧乏男爵家令嬢で、ドレスや宝石類を買えない?
虜にした男達が貢いでますが?
似た物を買わせて、1つだけ残し、売り払って換金している様ですが…ああ、ブライトも誕生日にプレゼントしてましたっけ。
指定されたブティックで買って欲しいとデザイン画を渡されたんでしたよね?
ネックレスも同様に。

ブティックと宝石店の店主がメルシアさんのお陰で儲かっていると話しているそうですよ。』

出掛ける準備をしているブライトに心の中で言っていたが、本人には言うつもりはない。

今日が最後の賭けだった。

いつも私とブライトの仲を邪魔するメルシアさんが、クリスマスに黙っている訳が無い。

またきっと体調を崩したと連絡が来る事など分かっていた。

だからこそ、今日は、今日だけは私を選んで欲しかった。

だって今日はクリスマスでもあるけれど、私の誕生日でもあるのだもの。

お父様とおじ様には、私を選ばなければ婚約解消すると話がついていた。

娘の誕生日を忘れ、他の女に現を抜かす男などに娘はやれん!と憤慨するお父様を宥め、そんな筈はないと期待していたのに、ブライトは婚約者の誕生日も忘れ、大事な幼馴染を選んだ。

私の僅かな望みは儚く消えた。

「じゃあ僕は行くね!また連絡…」

「私は、おじ様に挨拶してから帰るわ。ブライト、私、貴方の事を好きだったのよ。さようなら。」

「?急に愛の告白かい?僕もカトリーヌが好きだよ。今度必ず埋め合わせするから、じゃあね!」

そう言って走って行くブライトを見送った。

埋め合わせする事などもう無い事も知らずに、私の婚約者は大事な幼馴染の元に行ってしまった。

おじ様の執務室に入れば、お父様が待っていた。

1人で現れた私を見て、おじ様は頭を垂れた。
おじ様も僅かな期待を抱いていたのだろう。

お父様に差し出された書類に黙ってサインをし、私に「愚息のせいで辛い思いをさせてすまなかったね。」と謝ってくれた。

その言葉を聞いた途端に、涙が溢れ出た。
淑女として人前で涙を見せるなど恥ずかしい事なのに、溢れ出る涙を止める事が出来ない。

お父様は、黙って私を抱き締めてくれた。

私は、自分が思っていたよりもブライトの事が好きだったのだ。
メルシアさんよりも自分を選んで欲しかったのだ。


婚約解消後に、ブライトから何通かの手紙が送られてきたが、受け取りを拒否し送り返した。

今更、謝罪されても遅い。

おじ様は、ブライトを廃嫡し次期当主の座は次男が継ぐ事になった。
勘当されなかっただけ良かったのだろう。

ブライトとメルシアさんは、お互いの屋敷の出入りを禁止され、勘当されたくなければ今後一切接触禁止と誓わされた。
ブライトは抗議した様だが、メルシアさんは跡継ぎでなくなったブライトに興味はなく、あっさりと承諾したそうだ。

「今年の誕生日は、最悪だったわ。サンタさんにまで見放されて本当にトラウマになるんじゃないかしら…。」

「そんな事ないよ!のんびり屋のサンタが君にプレゼントを遅れて届けてくれた様だ。それにこれは僕からの誕生日プレゼント。受け取ってくれるかい?」

そう言って差し出したプレゼントは指輪だった。

のんびり屋のサンタさんが届けてくれた物は婚約届。
見ればお父様のサインがしっかりとしてある。

「ふぅー。念の為に聞くけれど、貴方に大事な幼馴染は居ないわよね?」

「僕の幼馴染?居るよ。カトリーヌは僕の愛しい大切な幼馴染だよ。」

う~ん。私以外の意味だったのだけれど、まぁ良いかっ!

愛しい大切な幼馴染と言ってくれる彼ならば、私を蔑ろにする事なく大切に愛してくれるだろう。




End

最後まで読んで頂き ありがとうございます。
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