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「お前との婚約は破棄させて貰うっ!俺はミアと結婚する。お前が俺に惚れているからと言って俺達の邪魔をするなよっ!」
「お義姉樣、ごめんなさい。ミアがいけないの…。お義姉様の婚約者と知りながらカイン様を好きになる気持ちが抑えられなくて…ごめんなさい。」
私のエスコートを断わって来たと思えば、自分の瞳の色のドレスを着せ独占欲丸出しで義妹をエスコートしてくるとは開いた口が塞がらない。
「そう、貴方達…」
「お義姉様、カイン様がミアを選んだからと泣かないで。お義姉様にも、きっと運命の人が現れますよ。こんな所で泣き喚くのは止めて下さいね。お姉様の立場が悪くなるだけですから」
あぁわざわざパーティー会場で婚約破棄したのは、私の立場を貶める為だったのね。
悪いと言いながら私を馬鹿にし、怒る私に怯えた様に私の元婚約者に縋り付き、カインが見えない様に私を蔑み嘲笑う義妹。
本当に強かな悪女だ。
そんなミアの本性を見抜けない間抜けな婚約者、間違い、元婚約者ね。
笑いこそ出るけれど、涙なんて出て来ないわよ!
出たとしても、笑い過ぎて涙が出るくらいでしょうね。
私は貴女の期待通りにならないのよ♪
そう思って反撃に出ようと一歩踏み出そうとした。
「おやおや、なんの騒ぎだい。リリア嬢、何があったのかな?」
タイミング悪っ。
第4王子の登場に皆が礼を取る。
「帝国の若き星…」
「リリア嬢。堅苦しい挨拶は要らないよ。この状況を説明してくれる?」
「先程、フリーデン子爵ご子息に婚約破棄されたのですわ。何でも義妹のミアと恋仲になったそうです」
「な、なんとっ!フリーデン子爵子息は、君という婚約者が居ながら浮気をしたのか!?その相手がリリア嬢の義妹君と!?確か義妹君は、両親が不慮の事故で儚くなったのだったな?遠縁の君の両親が引き取ったのではなかったか?グランド伯爵は、姪に恩を仇で返されたのかぁー!」
ジゼル第4王子の言葉に、皆がカインとミアを見る目が冷たくなった。
ジゼル殿下の言葉はまるで台本を読む様に芝居掛かっていたけれど、これはそのまま殿下にお任せした方が良いと判断した。
ジゼル殿下の言う通り、どんな理由が有れど浮気した2人が悪いのだ。
ミアは、私を2人を引き裂く悪女にしたかったのだろうけれど、今の私は浮気された悲劇の婚約者になっている。
どちらの立場も嫌だけれど、これからの事を考えるとまだ浮気をされた令嬢の方がマシかな?
「何か誤解がある様ですけれど、ミアとカイン様は運命の人で…」
「これは驚いたっ!運命の人だからと義姉の婚約者と浮気した挙げ句、略奪して良いと!?リリア嬢に隠れて愛を育んでいたのだろう?運命の相手だと言うのなら堂々と宣言しグランド伯爵に相談すれば良かったのだ。フリーデン子爵子息も同じだ!この様な場所で婚約破棄などしなくて良いものを。公の場で婚約破棄したのは、フリーデン子爵が婚約破棄を許さなかったからではないのか?運命と言えば美談になるなどと考えが浅はかだな。フリーデン子爵家とグランド伯爵家には使いを出した。今頃は両家共に騒動を把握しているだろう。さぁ君達が居てはパーティーも楽しめないからね、2人には退出して頂こう」
青ざめる2人を護衛騎士が扉へと誘う。
パーティーが再開され、ジゼル殿下からダンスの誘いを受ける。
「余計な事をしたかな?」
「ジゼル殿下のお心遣い深く感謝致しております。2人の事は、薄々気が付いていたのです。ミアがフリーデン子息を好きだと言って来たのなら、婚約者の変更を父とフリーデン子爵にお願いしようと思っておりました。まさかこんな事をするとは思いませんでしたわ」
「泣き叫ぶ程に子息の事が好きだったのでは?」
「有り得ません!家同士の政略結婚です。そこに愛など御座いませんでした。だからこそ言って欲しかった」
その後、私とカインの婚約は解消された。
激怒したフリーデン子爵は、カインを廃嫡し家から追い出した。
お父様もミアに家から出て行く様に告げた。
まさかカインが廃嫡されるとは思っていなかったのだろう。
ミアは、お父様に泣いて許しを請うたが許される事はなかった。
使用人に引き摺られる様に追い出されるミアは、泣き喚き暴れていた。
「リリア、婚約者が決まったよ!」
カインとの婚約破棄から3日しか経っていないのに、もう次の婚約が決まったのかと驚いた。
あんな騒動を起こした後だから、縁談など当分は来ないと思っていたのに。
「相手は、なんと第4王子のジゼル殿下だ!ハハハ、フリーデンの息子より良縁だそ!」
何でしょう?
ジゼル殿下にしてやられたと感じるのは?
そういえば最近カインと卒業後ジゼル殿下の側近となられるバロン侯爵子息が度々一緒に居るのをお見掛けした様な…。
まさか、ね…。
End
最後まで読んで頂き ありがとうございます。
「お義姉樣、ごめんなさい。ミアがいけないの…。お義姉様の婚約者と知りながらカイン様を好きになる気持ちが抑えられなくて…ごめんなさい。」
私のエスコートを断わって来たと思えば、自分の瞳の色のドレスを着せ独占欲丸出しで義妹をエスコートしてくるとは開いた口が塞がらない。
「そう、貴方達…」
「お義姉様、カイン様がミアを選んだからと泣かないで。お義姉様にも、きっと運命の人が現れますよ。こんな所で泣き喚くのは止めて下さいね。お姉様の立場が悪くなるだけですから」
あぁわざわざパーティー会場で婚約破棄したのは、私の立場を貶める為だったのね。
悪いと言いながら私を馬鹿にし、怒る私に怯えた様に私の元婚約者に縋り付き、カインが見えない様に私を蔑み嘲笑う義妹。
本当に強かな悪女だ。
そんなミアの本性を見抜けない間抜けな婚約者、間違い、元婚約者ね。
笑いこそ出るけれど、涙なんて出て来ないわよ!
出たとしても、笑い過ぎて涙が出るくらいでしょうね。
私は貴女の期待通りにならないのよ♪
そう思って反撃に出ようと一歩踏み出そうとした。
「おやおや、なんの騒ぎだい。リリア嬢、何があったのかな?」
タイミング悪っ。
第4王子の登場に皆が礼を取る。
「帝国の若き星…」
「リリア嬢。堅苦しい挨拶は要らないよ。この状況を説明してくれる?」
「先程、フリーデン子爵ご子息に婚約破棄されたのですわ。何でも義妹のミアと恋仲になったそうです」
「な、なんとっ!フリーデン子爵子息は、君という婚約者が居ながら浮気をしたのか!?その相手がリリア嬢の義妹君と!?確か義妹君は、両親が不慮の事故で儚くなったのだったな?遠縁の君の両親が引き取ったのではなかったか?グランド伯爵は、姪に恩を仇で返されたのかぁー!」
ジゼル第4王子の言葉に、皆がカインとミアを見る目が冷たくなった。
ジゼル殿下の言葉はまるで台本を読む様に芝居掛かっていたけれど、これはそのまま殿下にお任せした方が良いと判断した。
ジゼル殿下の言う通り、どんな理由が有れど浮気した2人が悪いのだ。
ミアは、私を2人を引き裂く悪女にしたかったのだろうけれど、今の私は浮気された悲劇の婚約者になっている。
どちらの立場も嫌だけれど、これからの事を考えるとまだ浮気をされた令嬢の方がマシかな?
「何か誤解がある様ですけれど、ミアとカイン様は運命の人で…」
「これは驚いたっ!運命の人だからと義姉の婚約者と浮気した挙げ句、略奪して良いと!?リリア嬢に隠れて愛を育んでいたのだろう?運命の相手だと言うのなら堂々と宣言しグランド伯爵に相談すれば良かったのだ。フリーデン子爵子息も同じだ!この様な場所で婚約破棄などしなくて良いものを。公の場で婚約破棄したのは、フリーデン子爵が婚約破棄を許さなかったからではないのか?運命と言えば美談になるなどと考えが浅はかだな。フリーデン子爵家とグランド伯爵家には使いを出した。今頃は両家共に騒動を把握しているだろう。さぁ君達が居てはパーティーも楽しめないからね、2人には退出して頂こう」
青ざめる2人を護衛騎士が扉へと誘う。
パーティーが再開され、ジゼル殿下からダンスの誘いを受ける。
「余計な事をしたかな?」
「ジゼル殿下のお心遣い深く感謝致しております。2人の事は、薄々気が付いていたのです。ミアがフリーデン子息を好きだと言って来たのなら、婚約者の変更を父とフリーデン子爵にお願いしようと思っておりました。まさかこんな事をするとは思いませんでしたわ」
「泣き叫ぶ程に子息の事が好きだったのでは?」
「有り得ません!家同士の政略結婚です。そこに愛など御座いませんでした。だからこそ言って欲しかった」
その後、私とカインの婚約は解消された。
激怒したフリーデン子爵は、カインを廃嫡し家から追い出した。
お父様もミアに家から出て行く様に告げた。
まさかカインが廃嫡されるとは思っていなかったのだろう。
ミアは、お父様に泣いて許しを請うたが許される事はなかった。
使用人に引き摺られる様に追い出されるミアは、泣き喚き暴れていた。
「リリア、婚約者が決まったよ!」
カインとの婚約破棄から3日しか経っていないのに、もう次の婚約が決まったのかと驚いた。
あんな騒動を起こした後だから、縁談など当分は来ないと思っていたのに。
「相手は、なんと第4王子のジゼル殿下だ!ハハハ、フリーデンの息子より良縁だそ!」
何でしょう?
ジゼル殿下にしてやられたと感じるのは?
そういえば最近カインと卒業後ジゼル殿下の側近となられるバロン侯爵子息が度々一緒に居るのをお見掛けした様な…。
まさか、ね…。
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