【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵

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国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。

王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。

レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。

3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。

将来の王太子の側近として働き、行く行くは私の父の後の宰相の座も決まったものと囁かれており、婚約者の私も鼻高々ですわ!

お父様は、帰国後に婚約者の私にも我が家にも来ないレイモンド様に怒っておりましたが、帰国されてからパーティーまで報告やら何やらで忙しそうでしたし、私は気にもしておりませんでした。

「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」

んっ?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされているような?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか婚約者の私を忘れているとかでは無いですよね!?

「3年会わなかったからと婚約者の顔をお忘れですか?」

「婚約者?誰の…あっ、ああーそうだった!留学前でバタバタしている時に父に言われて婚約したんだ…す、すまない」

レイモンド様は土下座しそうな勢いで頭を膝に付くまで下げ謝る。

バタバタしていたからと婚約の事を忘れてしまうなんて次期宰相として大丈夫なのかしら?

「す、すまない。本当に本当に申し訳ないんだが、君との婚約は無しにしてくれ!私には結婚を約束した人が居る。来月に此方に来る事になっているんだ」

その言葉に国王も宰相の父も私も驚いた。

「ハイラント、バイロン伯爵子息は何を言っているのだ?婚約を無しとか…」

「陛下、バイロン伯爵子息は我が娘のミランダと婚約解消すると告げたのです。帝国に居る恋人と結婚すると言ってミランダを捨てたのです。はぁー陛下、あの時、私は反対しましたよね?優秀で次期宰相候補だからと言って私に陛下が薦めたんですよね?陛下が薦められた男が、婚約者が居る身なのにもかかわらず留学先で恋人を作り、公の場で我が娘と婚約解消ですか…。王太子殿下にも次期宰相と噂されるバイロン伯爵子息に我がハイラント公爵家は馬鹿にされたと…。次世代にはハイラント公爵家は不要だと解釈しても宜しいのでしゃうなぁ。」

レイモンド様と一緒に居た王太子も、バイロン伯爵夫妻、バイロン次期伯爵も顔が顔面蒼白だ。

「父上、レイモンドは婚約していたのですか?それもミランダ嬢と?」

「レイモンドは、お前に付いて帝国まで行かせる。その褒美ではないが、伯爵よりも公爵の方が次期宰相としても良いだろうと宰相であるハイラントに婿に迎えてはとどうかと薦めたたのだ…お前はレイモンドから何も聞いていなかったのか?」

どうやら私と婚約した事は我が国に居た者しか知らなかった様だ。
確かに出発する3日前に突然の婚約だったけれど、王太子が知らなかったとしても、バタバタとしていたとはいえレイモンド様が婚約者の存在を忘れるのはどういう事なの?

それにレイモンド様は、私の父がハイラント公爵だという事にも驚いている。
婚約の時に、お父様も忙しく両家の顔合わせは我が家ではなく王宮の応接室を借りましたし、お父様の滞在時間は5分でしたけれど、一応は会いましたよね?
現宰相の顔を分からなかったなんて、レイモンド様は本当に優秀なのでしょうか?

バイロン伯爵は、我に返りレイモンドの頭を叩き、陛下とハイラント公爵と私に謝れと言っているが、もう謝れた所で遅い。

「バイロン伯爵子息様、婚約は解消でなく破棄で了承致しますわ!国王陛下、王妃殿下、申し訳ございません。少し気分が優れませんので本日は御前を失礼させて頂きとう御座居ます。お父様、もちろん後はす・べ・て・お任せしても宜しいですよね?」

そう言って陛下と王妃に挨拶をすると従兄と共に王宮を後にする。

我がハイラント公爵は、筆頭公爵家。
資産も王家よりも有ると言われている。
その為、国王陛下でさえハイラント公爵家には一目置いているのだ。

そのハイラント公爵家を敵に回したバイロン伯爵家の未来は無い。
勿論、レイモンド様の約束された未来も白紙に戻るだろう。
まあバイロン家の存続が危ぶまれるのだから、側近も次期宰相にもなれるわけ無いのだけれど…。

あーもう私の3年間を返して欲しいわ!
この3年間の間に婚姻を申し込まれた方も居ましたのよ!
サングルア国の公爵家の三男ギルティ様は、それはもう文武両道で見た目も私好みでしたのに…。
こんな事なら慰謝料を払ってでも婚約解消してギルティ様と結婚すれば良かったわ! 

その後、バイロン伯爵は取り潰しは免れ降爵し男爵家になったが、ハイラント公爵家を敵に回した事実は消えない。自分達も巻き込まれては困ると取引をしていた貴族が全て手を引いた。
その為バイロン男爵家は慰謝料を払う事が出来ず、我が家に男爵領地を差し出し爵位を返上した。

レイモンドは、王太子に付いて留学に行った事も有り、恩恵として文官としての仕事に就く事が出来たが、平民なので出世する事は出来ない。
ハイラント公爵の目に触れる事が無い王宮の奥の奥の資料室勤務となった。
バイロン男爵が払いきれなかった慰謝料の支払いの為、給料の半分以上が支払いに回っているとか。

帰国後1ヶ月後に結婚する為にやって来た恋人のご令嬢は、レイモンドが次期宰相の話しが白紙になり、ただの爵位を継がない男爵家の子息になったと聞いた途端に激怒して引き返したと聞いた。


「お嬢様、お客様がいらしておりますがお会いになりますか?」

今日は誰とも会う予定はなかったはず?

「ロイダン公爵家のギルティ様が婚約破棄を聞いて夜通し馬で走って来られた様です。本当に御断りされるのですか?」

私は慌てて着替える。

「ギルティ様!お待たせ致しました」

「ミランダ!君が婚約破棄したと聞いてね。いても立ってもいられなくて、先触れを出すより先に私が来てしまった。ミランダ、その、なんだ…元婚約者はミランダを振るなんて頭が可笑しい奴だったんだ。君が悪い訳では無い。君は、とても賢くて魅力的な女性だ」

「うふふ、ギルティ様は、わたくしが落ち込んでいると思って慰めに来て下さったのですか?わたくしは婚約破棄され傷者にはなりましたが落ち込んではいませんよ。婚約者の事を忘れてしまう人と結婚しなくなった事を喜んで下りますの」

「そうか…ならば…。ミランダ、1年前に告白した時は婚約者が居るからと断られたが、婚約破棄した今なら私との結婚も考えてくれるだろうか?」

「わたくしは傷者ですが、それでも宜しいのですか?」

「ミランダが良い!君が好きだ。私と結婚して欲しい」

私は、泣きながら頷く。
淑女としてはしたないと言われ様が、1年前に告白を御断りしたのに、まだ私を好きでいてくれたギルティ様に結婚を申し込まれ嬉しくて涙が止まらない。

泣き続ける私をギルティ様は、そっと抱き締めてくれた。
なんて暖かいのだろう。

私とギルティ様は婚約し1年後に結婚した。

ギルティ様は、次期ハイラント公爵になる為に毎日勉強をしている。
家庭教師達は、とても優秀だと褒めていた。

お父様とも気が合うのか仲が良く、良い婿を貰ったと喜んでいる。

婚約者に存在を忘れられたのは驚いたけれど、そのお陰でギルティ様と結婚する事が出来た。
そこは感謝かな!?


END

*****

最後まで読んで頂き ありがとうございます。
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