【完結】World cuisine おいしい世界~ほのぼの系ではありません。恋愛×調合×料理

SAI

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第一章

14. 反省会とチョンピー

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 魔鹿の角を手にして歩いているとソヨが現れ師匠たちが下りてきた。

「無事手に入れたようだな。」

師匠の言葉にニコリと笑って角を掲げてみせた。

「時間がかかりすぎですけど、無事に角を取ってこられてなによりですわ。さぁ、晩御飯でも食べながら反省会をしましょう。わたくし、お腹が減りましたの。勿論、食事はライファが作ってくれるのよね?」

先生の言葉に、もちろんです!と元気よく答えた。疲れているはずなのに全然疲れを感じなかった。魔力ランク5ある魔獣に自分一人で挑めたこと、無事に薬材を手に入れられたことがとてつもなく嬉しかった。



「・・・見事なピンク色。」

思わずそんな声が毀れるほど、キッチンもピンク色だった。キッチン棚も籠もたくさんの種類のピンクで溢れている。

「ジュリア、ライファのお手伝いをお願いね。」

先生はぬいぐるみヒューイにそう言うと師匠とリビングに行った。
キッチンに入ると、ジュリアが寄ってきて食材や調味料のありかを教えてくれる。

「こっちに野菜があるよ。こっちには鍋があるよ。」

私は材料をチェックし、今日のメニューはシチューにしようと決めた。シチューは夢の中のレシピではあるが実はこの世界にも似たような料理があるのだ。カカールと言って野菜を羊乳で煮て調味料で味を調えるというシンプルな料理だ。シチューは野菜を羊乳で煮るが、その前にクニを細かく切ったもので香り付けをしたり、羊乳凝でクロッカを炒めて甘みを出したりと前段階があるのだ。そのお蔭でカカールよりもずっとコクと旨みが出る。

野菜を刻んでクロッカを炒めたり、サラダを作ったりと私がテキパキ動いているのをジュリアは黙って見ていた。その後ジュリアに頼んで食器の場所を教えてもらい食べ物を盛り付けてテーブルに運んだ。

「ん~いい匂いっ!これはカカールかしら?あぁ、パンにサラダに果物もありますのね。こんなにちゃんとした食事はいつぶりかしらっ。」

キャッキャはしゃいでいる先生の脇で師匠もなんだか嬉しそうだ。

「これはシチューだな。前にも食べたことがあるぞ。」

美味しい料理を前にすると、人は自然と笑顔になる。この瞬間が私はたまらなく好きだ。

「さぁ、食べよう。」
「「「いただきます!」」」

食べ方は三者三様だ。

お昼の時のように無言でひと品ずつ片づけるように食べる先生、子どものようにキラキラした目であれも、これもと食べる師匠、味の確認をするかのように一口ずつ噛みしめて食べる私。

「ふぉういえば、今日の薬はどうでしたか?使い心地は?」

お腹が落ち着いてきたのか先生が話し出した。

「そうですね。動物の毛は厄介だなと思いました。毛が眠り薬を弾いてしまって浸透することができないようです。毛の短い部分にはなんとか有効でした。その他は巾着の中で潰れることはなく、大きさも丁度よくて使いやすいなと思いました。」

「所詮液体ですからねぇ。動物相手の場合、口の中や耳の中、目等を狙わなくてはいけないですね。他に方法はないか、改良点としてわたくしの方でも考えてみますわ。」

「それでも一応は合格って感じだな。まぁ、薬が潰れなかったのはあの巾着のお蔭もあるが。」

師匠の言葉に先生の方を振り向く。

「あの巾着の中は空間魔法で別の空間に繋がっているのです。なので、転んで巾着が潰れても中の物が潰れることはないのですよ。」

「なんと便利なっ!これも先生の魔力で作ったのですか?」

「ふふふ、私、空間魔法は得意なんですの。よろしければ、その巾着差し上げますよ。ちょくちょくこちらに来て調合を手伝ってくれるのならば。」

「勿論です!いろいろ教えてください!」

私の言葉に先生は満足そうに頷いた。

「そういえば、ここってどの辺なんですか?師匠の家から歩いて来られるくらいの距離なんですか?」

「あぁ、そういえば言ってなかったな。ここはジェーバ・ミーヴァから南西に船と馬車を使って1か月半くらいかかるか。ハートランドという島なんだよ。」

「え・・・・・・・。」
「私とマリアは代々長いつきあいでな、うちとマリアの家には行き来ができるように空間移動魔法陣が組み込まれているんだ。」
「くっ、空間移動魔法陣ですか・・・」

あ、頭がクラクラしてきた。これだけの距離を一瞬で移動する魔法陣だ、私には想像もつかないくらいものすごい魔法陣に違いない。

「わたくしとリベルダが許可しないと発動しないようになっている魔法陣ではありますが、ここに空間移動魔法陣があることは秘密ですよ。国家を揺るがしかねませんからね。」

先生がさらりという。国家を揺るがしかねない魔法陣がこんな身近にあるなんて魔女っておそろしい。私は引きつった笑みを浮かべた。
それからハートランドでしか採れない食材をいくつかもらい、師匠は薬材を仕入れ帰宅した。


 帰宅後、自分の部屋のベッドにバサッと倒れこむ。
目まぐるしい一日だった。でも、すごく充実した嬉しい一日だった。布団に顔をうずめたまま一日の出来事を思い返せば、満足感に包まれる。今日、私は間違いなく自分の道を広げたのだと確信できた。しばらくその気持ちに浸りニヤニヤ寝転がった。あとは、弓だな。魔力を使わなくても遠くまで飛ばせるようにしたい。

「よし。木のことだ、ジェイスに相談してみよう。」

私は思い立つとすぐにチョンピーを呼んだ。

「ライファだ。明日、山にいるか?ちょっと相談があるんだ。」

声を吹き込むとチョンピーを飛ばした。チョンピーを飛ばしてすぐ、チョンピーが戻ってきた。さすがに早いな、そう思いながらチョンピーの言葉を聞く。

「レイだ。明日、そっちに行ってもいいか?」

話し出した人物の声に驚きながらも、単刀直入なその言葉になんとなく微笑んでしまう。返事の言葉を吹き込もうとすれば、またもやチョンピー。

「いいぞー。明日、昼にいつものところで。飯つきでたのむー」とのんびりとしたジェイスの声。

あれ、これは二回目のピクニックではないか!?ハンバーガーを持ってピクニック、昨日思い描いたものが、ぱあっ
と頭の中に広がった。明日はピクニックだ!二人にはその旨のチョンピーを飛ばした。

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