【完結】World cuisine おいしい世界~ほのぼの系ではありません。恋愛×調合×料理

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第一章

33. リベルダの夜  前半

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  今回のテーマである地味系エロ女の服、夜バージョンを着て夜の街を歩く。いつもより歩幅は小さく、ちょこちょこ歩くのがこの地味系エロ女の役作りだ。確かこの近くに【ナイトパーラー】という飲み屋があったはず。ジェンダーソン家へ向かう馬車の中で見かけて、良さそうな店だと思ったのだ。

しかし、ジェンダーソン家の人々の反応は流石だったな。

思い出してはニヤリとする。大して魔力を隠すことなくカーラントとしてジェンダーソン家に行った。私を見て一瞬驚いた様子をみせたが、そのままカーラントとして扱うことにしたようだった。これが狙いだったのだ。平民の女として向かえば、こうして気ままに夜に出歩くなど出来はしない。

「お、あった。」

ナイトパーラーは記憶通り、大通りを一本曲がったところにあった。石造りの建物に大きな窓が取り付けてあり、裏路地の人通りの少ない風景ではあるが街を眺めながら飲むことも出来る。大衆居酒屋というよりは少し落ち着いた感じで、でもBarというには賑やか。そんなお店だ。

ドアを開けると、いくつかの視線がこっちを向いた。店主らしきバーテンダーがニコリと微笑む。私はカウンターでこの店のオリジナルカクテル【ナイトパーラー】を注文すると店内が見渡せる店の奥の窓際の席に座った。店の中央に賑やかな集団がいる。

集団?いや、賑やかなのは一人か。

その賑やかな男はテーブルを回り、何やら話しかけては笑いながらこっちにやってきた。

「やぁ、お嬢さん、はじめまして。この辺じゃ見ない顔だね。」

男が私に話しかけると、「騎士さん、純情そうな女性をナンパしちゃだめだよ~」という酔っぱらいの声が聞こえた。

「騎士さんなんですか?」
「そうだよ~。ちゃらんぼらんな騎士って有名なんだ。」
「くすっ、ちゃらんぼらんな騎士ってなんですか?」
「いつもお酒ばかり飲んでいるからかな。僕はユーリ、君の名前は?」
「内緒です。次、会うことがあったら教えますよ。」

私がそう言うと、ユーリは面白そうにその瞳を揺らした。

「そういえば、騎士団に15歳くらいの金髪で青い目の男の子がいるでしょう?」
「ん~、誰だろう。金髪も青い目も何人かいるからなぁ。」
「モテそうな男の子。」
「じゃあ、レイのことかな。レイがどうかしたの?」
「友達の妹さんが気になっているみたいだから、どんな子かなって思って。」

「レイはねー、一言でいうなら真面目だな。優等生。少し前まではよく女の子とデートしていたみたいだけど、最近はさっぱりだもんなー。案外、好きになったら一途なタイプだと思うよ。やっぱり、君も真面目な男性が好みかな?」

ユーリはそう言いながら私の手に手を重ねてきた。手の熱がやわらかい。単なる体温上昇ではもっと尖がった熱になる。この柔らかさは何か魔力を使っているな。

へぇー、面白い。

だが、記憶を探られるのは困る。私はやんわりブロックし、お返しとばかりに私の手の表面にあるユーリの魔力に自身の魔力を潜り込ませた。彼のもつ記憶を少しいただくためだ。

「そうですね。私は真面目というよりは誠実な男性の方がいいですわ。火遊びで火傷をするのは嫌ですから。」

ユーリがハッと私の手を離した。ほう、気付いたか。私にユーリの記憶が流れ込んでくる。ユーリはレイの先輩か。マオ婆、なんだ、あれは。妖精か?フラッシュバックのように映像がカチカチっと現れる。

「あなたはとても不思議な方ですね。私はどうやら少し飲みすぎたようだ。今日は失礼します。またお会いできますか?」

「さぁ、どうでしょう?」

私が首を傾けると「ぜひ、また」と言い残して彼は帰って行った。



 翌日の同じ時間、ナイトパーラーの扉を開けると。ユーリが待っていた。

「きっとお会いできると思っていましたよ。」

ユーリは私に近付いてきて、自分の隣に座る様にとイスを引いた。

「お飲み物は?」

バーテンダーが声をかける。

「ナイトパーラーを。」

バーテンはかしこまりました、というとお酒をつくりはじめた。

「今日は昨日よりちょっと大胆な服装ですね。」
「王都の流行だというので着てみましたの。似合ってない・・かしら。」

ちょっと視線を外しながらいうと、「よくお似合いです」とユーリが微笑んだ。昨日のニヤニヤ顔とは違う。少し警戒を孕んだ笑みだ。二人の距離は近いが、私に触れないようにしているのが分かる。能力の質といい、この男が騎士団の情報係だろうな。


昨夜、偶然みたこの男の記憶にあった妖精に違和感があった。まず、第一にあの妖精はプラタンと言ってターザニアにしかいない妖精だ。人間に近い知能を持つという賢い妖精で群れで生活する。群れから逸れそうになっても仲間が制するし、人の手によるプラタンの移動は禁止されている。単独でユーリスアにいることが考えられないのだ。あの様子だと相当弱っているようだし、なにか事件に巻き込まれたとしか思えなかった。

それが気になって、もう一度この男に会いにナイトパーラーを訪れたのだがこの調子では情報を得るのは難しそうだ。

「ユーリさんは騎士団員さんなのでしょう?普段はどんなお仕事をされているの?」
「僕は主に、見回りですかね。」
「ユーリさんはこの街のことならなんでも知っていますよ。」

バーテンダーはそう言いうとカクテルと差し出した。

「お待たせしました、ナイトパーラーです。」
「ありがとう。」

「騎士さん、私、探している方がいますの。先日困っていたところを助けていただいたのだけれど、大してお礼も言えないままになっていて。確か、マオさんと呼ばれていたと思うのですが・・・。」

「あぁ、それはきっとマオ婆のことですね。宜しければ明日、ご案内しましょうか?」

ユーリから妖精の情報を得るのは難しいと判断し、妖精を抱いていたマオ婆から話を聞こうと思ったが、ついて来られるのは面倒だな。

「騎士さんもお忙しいでしょうから、どこに行けばお会いできるか教えていただければ大丈夫ですよ。」
「いやいや、私、実はなかなか暇なんですよ。ほら、ちゃらんぽらんですから騎士団でも戦力にはならないのです。」

ユーリが笑い、近くにいた客が「ユーリさんそれはマズイでしょー」と笑った。
ここで断るのは不自然か。私は心の中で面倒臭いと呟きながら、「では明日、お願いします」と頭を下げた。そろそろ帰ろうと席を立った時、「お嬢さん、お名前を教えてくれる約束でしょう?」とユーリが言った。まぁ、いいか。

「リベルダ、と申しますわ。」


 翌日。午前4時半。不本意ながら起きてソファに座っている。これもユーリのせいだ。あいつが明日ご案内しますか?なんていうから、事前準備が必要になったのだ。
カチャリとドアの音がしてレイが部屋を出る気配がする。それに合わせてドアを開けた。

「あら、レイ様、もう出勤の時間ですか?」

「カーラント様、おはようございます。そうなのです。私は早番なのでいつもこの時間なのです。カーラント様こそお早いですね。」

「えぇ、私は早朝のユーリスアを散歩しようかと。道中、少しご一緒してもよろしいですか?」
「私とですか?」

レイは驚いて目を大きくしたが、「どうぞ」と言った。まぁ、断れはしないだろう。

レイと一緒に歩きながら、昨晩ユーリに話したようにマオ婆を探している話をする。お礼が言いたいのだというと、どこに行けばマオ婆に会えるのかをあっさり教えてくれた。ライファの師、というポジションのお蔭だな。聞きたい情報は貰ったし、あとはマオ婆の元へ行って事前準備だと思っていた時だった。

「カーラント様、あの、その、ライファはどんな男性が好みなのでしょうか。」
レイの可愛いすぎる質問に、悶絶するところだった。ライファ、やるじゃないか。あまりにレイが可愛いかったので、「年上で背が高くて、がっしりとしたタイプの男性ですかね。」と、レイとは正反対の男性像を言っておいた。


ふふふ、今後が楽しみだ。

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