【完結】World cuisine おいしい世界~ほのぼの系ではありません。恋愛×調合×料理

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第二章

53. 謎

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調べたいことがあると言ったリベルダ様をターザニアに残し、飛獣石と接続用の飛獣石を使いライファとグラントを連れて魔女の家に帰宅してから3日が経った。

あの日、ライファたちを魔女の家に届けた後、二人をマリア様に引き渡しユーリスアの国王への報告の為に直ぐにユーリスアへ帰らねばならなかったのだ。途中、ターザニアへ調査に向かう兄さんたちとすれ違ったが無言のまま頷くだけで過ぎた。一晩で亡びた国へ調査に入るのだ。誰もが不安と恐怖が入り混じったような顔をしていた。

国王への報告を済ませた後は日常業務へ戻る。ターザニアに調査団を派遣したからといってユーリスアの守りが手薄になるわけにはいかないのだ。ライファのことが気になりつつもいつも通りに業務をこなした。そして3日が過ぎようやく今、魔女の家に戻ったところだ。

「ライファはいますか?」
「外にいるよ。」

リベルダ様に言われて庭を見るとライファが庭の木の影にポツンと座っていて、そこから2メートル程離れたところに、ライファと同じようにグラントが座っていた。

「最近じゃいつもあんな感じだ。つかず離れず、同じ空間にいるよ。同じ痛みを味わった同士だ。近くにいると安心するんだろう。」

リベルダ様の言葉に頷いてライファの元へ行く。
ライファは木陰でぼーっと遠くを見ていた。何かを考えているような何も考えていないような視線を宙に浮かせて一点を目に映している。

「ライファ。」
「レイ。」

ライファが顔を上げて少し微笑む。離れていたところにいるグラントを見ると視線が合い、軽く頭を下げた。グラントも同じように頭を下げ、立ち上がってどこかへ行く。

「ご飯、ちゃんと食べてる?」
「うん、ちゃんと食べてるよ。」

帰宅したその日、何も口に入れないないライファにマリア様が果物などの食べ物を用意したが、口に含んでは全て吐き出してしまう状態だった。マリア様には数日間食べなくても人は死なないから大丈夫だとは言われたが、あんなに食べるのが好きなライファが食事を吐き出してしまう、それだけ傷ついた心と、食べないことで弱っていく体が心配だった。

「そうか、食べられるなら良かった。」

ライファの頬に触れる。精気の抜けた青白い顔、少しやつれた頬、確認するように撫でた。ライファの服の中にいたベルが顔を出して撫でろと言わんばかりに私の手にすり寄ってくる。ベルもあの惨状の中にいたのだ。受けたショックは計り知れない。

「お前も頑張ったな。」

私はベルを優しく撫でた。

「そういえば、国王から手紙を預かっているんだ。」

ライファが封を切るとベルライト国王の映像が現れる。

「ライファ、其の方が経験したことを思うと、何を言っていいのか・・・。其の方が無事でいてくれて良かったと思っている。それから、オーヴェルのクオン王子からリトルマインを預かっている。心配してずいぶん探したようだ。連絡をしてやってくれ。其の方の傷が少しでも癒えることを願っている。」

クオン王子・・・。オーヴェルの次期国王か。

ライファが旅に出ると言っていたのは、このクオン王子に関わる任務だったのだと想像がついた。でなければライファがクオン王子と知り合う確率など、ほぼゼロだ。

「ありがたいな。」

ライファがそう呟いて、手紙に同封されていたリトルマインを手にした。魔力を吹き込もうとしている姿を見て、立ち上がろうと腰を浮かせた。リトルマインで話そうとしている時に私が側にいては話し辛いだろうと思ってのことだったが、ライファが私の手を掴んだ。私を見上げる。

「ここにいて欲しい・・・。」

言い難そうに言うその姿にそっと頭を撫でた。

「うん。」

座りなおしてライファがリトルマインに魔力を通すのを見ていた。

「クオン王子?」

ライファが恐る恐る言葉を発する。すると、すぐにライファか!?と大きな声が返ってきた。

「無事で良かった・・・本当に。」
心の底から安心したようなクオン王子の声が聞こえる。

「其の方は誰だ?」
クオン王子がこちらを見た。リトルマインがクオン王子の姿になることは無いが、こちらの様子が見えるタイプのものらしい。

「あ・・・レイ・ジェンダーソン様です。」
ライファがなんとなく言いづらそうに言う。

「お初にお目にかかります、クオン王子。私はユーリスアの騎士団に所属しておりますレイ・ジェンダーソンと申します。」

跪いて挨拶をすると、其の方がレイか、と声が返ってきた。なんとなく居づらい雰囲気である。

「ライファ、私はもう少し向うにいるね。」
不安そうな顔をするライファに、ライファから見えるところにはいるから、と付け足す。

「では失礼いたします」とクオン王子に頭を下げ、その場から下がった。
「ご飯はちゃんと食えているのか?痩せたみたいだが・・・。」
「・・・あんまり食べられてない・・です。」

ライファの元から離れていく途中にそんな会話が聞こえた。私には食べていると言ったくせに、クオン王子には本当のことを言うのか・・・。

それが今の私とライファとの距離のようで、胸が締め付けられた。



 二人の会話が聞こえないくらいの距離をとり、玄関の入り口に座っていると背後に気配を感じた。

「あれからターザニアはどうなっている?何か情報は入っているか?」

「死体ばかりで生存者の確認は出来ていないと聞いています。遺体の判別さえ難しいと。ただ、王族は全員亡くなっていたと報告が上がっています。現在はユーリスアやオーヴェル、ユタ、ガルシア、フランシールと各国から調査団がターザニアに入国し調査を行っていますが瓦礫と死体に阻まれて調査が難攻していると。王宮に強い魔力の痕跡があるようなので、そこを重点的に調査しているみたいです。
それから、ライファが言っていた魔獣ですが死体の傷口を見ると確かに魔獣と戦った形跡があると。複数いたのは間違いないのですが、その魔獣が一体も見つからないのです。あれだけの人数と戦って一体も死なずにその場から姿を消すのは不可能な気がするのですが・・・。」

「そうだな。ライファのいう通りたくさんの魔獣が襲ってきたというのは間違いないだろう。ターザニアは海に囲まれている島国だ。どう考えてもそのターザニアに住む魔獣が突然暴れて国民を皆殺しにしたとは思えない。」

「魔獣は他の国からやってきたと思っているのですか?」

「そうとしか考えられないのだ。ターザニアに上陸した日、私も王宮を調べた。そこに強力な魔力の痕跡を感じたからだ。粉々になってはいたが、王宮の建物内に巨大な魔方陣があった。あれは、空間移動魔法陣だったのではないかと思っている。」

「空間移動魔法陣!?」

驚いて口にしたものの、そう考えれば確かに辻褄が合う。
ターザニアで自然に、国を亡ぼす程の力のある魔獣が大量発生したとは考えづらい。どこかから連れてきたと考える方が自然だ。大きな空間移動魔方陣があれば、確かにそれは可能だった。しかも、突如王宮の中に魔獣が現れるのだ。王宮にいる人々から殺害されていったのは想像に容易い。王宮、騎士団を潰せばあとは国民だけだ。指示する者が突如失われてしまえば、本来の力さえ発揮することもなく一方的な殺戮の始まりだったのではないかと思われた。

「だが、どうして魔獣は人間だけを襲ったのだろうか。」
「まさかそんな・・・人間だけだなんてなぜ分かるのですか?」

信じられないという思いで尋ねた。

「人間以外の死体が極端になさすぎる。それに、人間を殺すという目的が無ければ、逃げ延びた人間がライファとグラントだけしかいないという事態にはならないのではないか?こんなにも生き残りがいないのはむしろ不自然だ。」

リベルダ様はそこまで一気に話すと、ライファはお前のお守りのお蔭で生き延びたとして、グラントはなぜ生き延びた?と呟いた。

「もう少し、情報が欲しいな。マリアの意見も聞こう。」

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