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第三章
27. 小弓のカスタマイズ
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「次は服か。」
寝間着姿になっているので、着替えさせる必要はないが羽織ものは脱がせた方がいいだろう。私は横向きに眠っているレイの右腕を羽織物から抜くとレイを仰向けに寝かせ、今度は反対側に横にした。
「あ・・・これ・・・。」
横にしたとたんレイの寝巻きの襟元に隙間ができ、そこから赤い印が見えた。
「私が付けた・・・。」
あの時のことを思い出すたびに、よくもまぁ、あんなに大胆なことが出来たものだと自分が恥ずかしくなる。私がレイのここに唇をつけたのか。ふと手を伸ばしてその印に触れた。思っていたよりもずっと温かいレイの体温。そこからすっと鎖骨に沿って指を動かした。
綺麗な鎖骨・・・。この体に何度抱きしめられたのだろう。無意識にレイの服の襟元にあるボタンに触れ、ボタンを弄んだ。
「・・・って寝ているレイに何してるんだろう。」
ボタンから手を離した瞬間、レイの手につかまれた。驚きのあまり声も出せずにいるとレイが妖しく微笑む。
「ライファがそんなに私の体に興味があるとは知らなかったな。」
「なっ・・・・どっ!!」
どうして?寝ていたんじゃないのか!?
「あれは冗談。薬に触れたふりをしたの。自分に結界を張ってその上から触った。ほら見てごらん。」
レイが結界を解くと、眠り玉の液がレイを避けて床に落ちた。
「ね、ライファの調合は完璧だった。」
まだ驚きから抜け出せずにいる私にレイがトドメの一言を発した。
「服、脱いであげようか?」
「!!!!。」
もう言葉にならず動揺したまま部屋の隅っこでレイに背中を向けて小さくなる。
「そんなに恥ずかしがらないでよ。」
レイが笑いながら言った。
翌日の昼、リトルマインが鳴った。呼び主はグラントさんである。
「待っていました!!」
勢いよくリトルマインに答えると、若干引き気味のグラントさんが「あー・・・」と言った。
「カスタマイズした小弓をバックに入れたから取り出してくれないか?」
「はいっ。」
バッグの中を見れば、以前と変わらない小弓が入っていた。
「小弓の上部にスイッチがあるだろう?そのスイッチを押してみてくれ。」
私がそのスイッチを押すと小弓の上部にクロスさせた印が現れた。イメージ通りの照準器だ。このクロスの部分に狙いを定めれば狙ったところに当たる。そういうガイド的なものが欲しいとグラントさんに頼んでいたのだった。
「すごい。イメージ通りです!ちょっと移動するので待っていてください!」
私は小弓とリトルマイン、そして今朝レイに頼んで眠り玉と同じ大きさにカットしてもらった木の弾を持って外に出た。身を切るような寒さに一瞬、ぶるっとなったがそれよりもワクワク感がダントツに勝る。
私は小弓にレイに作って貰った木の弾を込めると少し離れた木の枝に照準を合わせた。
シュッ
木の弾はささやかな音を立てると見事に木の枝に命中した。
「グラントさん、成功です!完璧です!」
「そうか、良かった。」
リトルマインからホッとした声が聞こえた。
「分かっていると思うけど、その印に照準を合わせたからと言って必ずしも成功するわけじゃないよ。風の強さ、湿度、弾の重さ、それらでも弾道のズレは出てくる。」
「はい。色々と試して勘と経験で何とかするしかないですよね。」
「そうだろうな。」
「本当にありがとうございました。あの、先生にこき使われたりしていませんか?大丈夫ですか?」
先生がグラントさんにしんどい思いをさせることは無いだろうというのは分かっている。ただ、グラントさんが元気に毎日を過ごせているのだろうか、それが気になっていたものの元気ですか?と聞くのも変な感じがして口をついた質問だった。
「こき使われて・・・は、いないのではないかな。たぶん。」
なっ・・・。先生、こんな微妙な返事をするだなんてグラントさんに一体何をさせているんですか・・・。
「あ、あまり無理しないでくださいね。出来ないことは断ってもいいと思います。」
『グラント、変なことは言わないでくださいね。』
背後で先生の声がする。グラントさんが少し笑ったような音がした。
「良くしてもらっているよ。すごく助かってる。」
『そうしょう、そうでしょう。』
グラントさんの背後から先生の満足そうな声が聞こえて、なんだかんだ上手くやっているのだとほっとした。
リトルマインの後はいよいよ本格的な練習だ。
空雷鳥の煮凝りを食べた後、どれくらいで効果が出るのかを測る。この空雷鳥の効果も即効性があるらしく、2、3分で効果が現れ始めた。
すごい。
さっきまでは緑色にしか見えなかった木も葉っぱの一枚一枚、木の枝に止まっている鳥の足の弓の数まで見ることが出来る。ウガまでの距離は小弓の最高射程距離である50mになる。つまり50m先の動いている動物に当てることが出来なければ意味がない。
とりあえずは50m先の動かない物から始めよう。
そこからはひたすら撃った。
レイが作ってくれた木の弾がなくなると木の実を入れて撃った。時々ベルが木の実を追いかけて、探して持ってきてくれる。それを、ありがとうと受け取った。
だめだ。全然当たらない・・・。
距離を半分の25mに変更する。先ほどよりもマシにはなったものの動かないもの相手に10発中1発が当たるくらいだ。
こんなんじゃだめだ。ぬおーっ!!
「調子はどう?」
頭を抱えて心の中で大絶叫していた時、話しかける声があった。
「レイ。あー・・・、大苦戦中。」
50m先の獲物に命中させるどころか、25m先の動かない物体にすら命中させるのは難しい。でも、レイを助けるためだと思えば諦めるわけにはいかない。
「どうやって撃ってるの?そういえばライファが撃っているところをちゃんと見たことが無かった。」
レイに言われて3m先の木の葉っぱを撃ってみる。
「こう・・・やってる。」
なんだか急に自信がなくなり、レイを見るとレイは何か考えるような仕草をしてなるほど、と言った。
「私にも手伝うことが出来るかもしれないな。小弓を撃ったことは無いけど、弓は騎士団で習うから。遠距離のものに命中させるという点では同じだろう?」
「確かに。よろしくお願いします!先生!!」
「まずは姿勢だな。せっかく焦点を合わせても撃つときに手がぶれたら当たらない。だから弓の時は姿勢を大事にする。小弓にも同じことが言えるんじゃないかな。」
「姿勢か。考えたこともなかったな。」
その後、弓の姿勢を参考にしつつ小弓を撃ちやすい姿勢にかえていく。
「ライファ、まだ腕がぶれてる。」
レイの声が響く。
「手、もう少し上。真っすぐ伸ばして。」
「ライファ、まだぶれてる。」
それから二時間、レイのダメ出しが続いていた。こんなに続けて小弓を撃つこともなく、姿勢を意識した打ち方というものは想像以上に筋肉を使う。
「少し、休憩しようか。」
「いや、もう少し。」
「ライファ、休むことも大事だよ。」
レイに言われてようやく小弓を置いた。レイが飛獣石を出して、椅子替わりねと笑う。飛獣石に横向きに座って、はぁあああ、とため息をついた。
「ダメ出しばっかりで嫌にならない?」
「どうして?」
「あんまりダメ出しされると、私は意外と落ち込む方だからさ。それなのに、ライファにはダメ出しばっかりしてるから・・・。」
「あぁ、全然平気。だって、直すところがあるってことは、そこを直せば良くなるということだから。どこを直せばいいかわからないよりずっといい。」
「・・・まいったな。」
レイはそう言うと私の頭を撫でた。
「片手だとどうしても弾が飛び出す時の振動に負けてしまうから両手で撃ってみようかな。」
「そうだね。それがいいかも。」
私たちは10分程休むとすぐに練習を再開した。
寝間着姿になっているので、着替えさせる必要はないが羽織ものは脱がせた方がいいだろう。私は横向きに眠っているレイの右腕を羽織物から抜くとレイを仰向けに寝かせ、今度は反対側に横にした。
「あ・・・これ・・・。」
横にしたとたんレイの寝巻きの襟元に隙間ができ、そこから赤い印が見えた。
「私が付けた・・・。」
あの時のことを思い出すたびに、よくもまぁ、あんなに大胆なことが出来たものだと自分が恥ずかしくなる。私がレイのここに唇をつけたのか。ふと手を伸ばしてその印に触れた。思っていたよりもずっと温かいレイの体温。そこからすっと鎖骨に沿って指を動かした。
綺麗な鎖骨・・・。この体に何度抱きしめられたのだろう。無意識にレイの服の襟元にあるボタンに触れ、ボタンを弄んだ。
「・・・って寝ているレイに何してるんだろう。」
ボタンから手を離した瞬間、レイの手につかまれた。驚きのあまり声も出せずにいるとレイが妖しく微笑む。
「ライファがそんなに私の体に興味があるとは知らなかったな。」
「なっ・・・・どっ!!」
どうして?寝ていたんじゃないのか!?
「あれは冗談。薬に触れたふりをしたの。自分に結界を張ってその上から触った。ほら見てごらん。」
レイが結界を解くと、眠り玉の液がレイを避けて床に落ちた。
「ね、ライファの調合は完璧だった。」
まだ驚きから抜け出せずにいる私にレイがトドメの一言を発した。
「服、脱いであげようか?」
「!!!!。」
もう言葉にならず動揺したまま部屋の隅っこでレイに背中を向けて小さくなる。
「そんなに恥ずかしがらないでよ。」
レイが笑いながら言った。
翌日の昼、リトルマインが鳴った。呼び主はグラントさんである。
「待っていました!!」
勢いよくリトルマインに答えると、若干引き気味のグラントさんが「あー・・・」と言った。
「カスタマイズした小弓をバックに入れたから取り出してくれないか?」
「はいっ。」
バッグの中を見れば、以前と変わらない小弓が入っていた。
「小弓の上部にスイッチがあるだろう?そのスイッチを押してみてくれ。」
私がそのスイッチを押すと小弓の上部にクロスさせた印が現れた。イメージ通りの照準器だ。このクロスの部分に狙いを定めれば狙ったところに当たる。そういうガイド的なものが欲しいとグラントさんに頼んでいたのだった。
「すごい。イメージ通りです!ちょっと移動するので待っていてください!」
私は小弓とリトルマイン、そして今朝レイに頼んで眠り玉と同じ大きさにカットしてもらった木の弾を持って外に出た。身を切るような寒さに一瞬、ぶるっとなったがそれよりもワクワク感がダントツに勝る。
私は小弓にレイに作って貰った木の弾を込めると少し離れた木の枝に照準を合わせた。
シュッ
木の弾はささやかな音を立てると見事に木の枝に命中した。
「グラントさん、成功です!完璧です!」
「そうか、良かった。」
リトルマインからホッとした声が聞こえた。
「分かっていると思うけど、その印に照準を合わせたからと言って必ずしも成功するわけじゃないよ。風の強さ、湿度、弾の重さ、それらでも弾道のズレは出てくる。」
「はい。色々と試して勘と経験で何とかするしかないですよね。」
「そうだろうな。」
「本当にありがとうございました。あの、先生にこき使われたりしていませんか?大丈夫ですか?」
先生がグラントさんにしんどい思いをさせることは無いだろうというのは分かっている。ただ、グラントさんが元気に毎日を過ごせているのだろうか、それが気になっていたものの元気ですか?と聞くのも変な感じがして口をついた質問だった。
「こき使われて・・・は、いないのではないかな。たぶん。」
なっ・・・。先生、こんな微妙な返事をするだなんてグラントさんに一体何をさせているんですか・・・。
「あ、あまり無理しないでくださいね。出来ないことは断ってもいいと思います。」
『グラント、変なことは言わないでくださいね。』
背後で先生の声がする。グラントさんが少し笑ったような音がした。
「良くしてもらっているよ。すごく助かってる。」
『そうしょう、そうでしょう。』
グラントさんの背後から先生の満足そうな声が聞こえて、なんだかんだ上手くやっているのだとほっとした。
リトルマインの後はいよいよ本格的な練習だ。
空雷鳥の煮凝りを食べた後、どれくらいで効果が出るのかを測る。この空雷鳥の効果も即効性があるらしく、2、3分で効果が現れ始めた。
すごい。
さっきまでは緑色にしか見えなかった木も葉っぱの一枚一枚、木の枝に止まっている鳥の足の弓の数まで見ることが出来る。ウガまでの距離は小弓の最高射程距離である50mになる。つまり50m先の動いている動物に当てることが出来なければ意味がない。
とりあえずは50m先の動かない物から始めよう。
そこからはひたすら撃った。
レイが作ってくれた木の弾がなくなると木の実を入れて撃った。時々ベルが木の実を追いかけて、探して持ってきてくれる。それを、ありがとうと受け取った。
だめだ。全然当たらない・・・。
距離を半分の25mに変更する。先ほどよりもマシにはなったものの動かないもの相手に10発中1発が当たるくらいだ。
こんなんじゃだめだ。ぬおーっ!!
「調子はどう?」
頭を抱えて心の中で大絶叫していた時、話しかける声があった。
「レイ。あー・・・、大苦戦中。」
50m先の獲物に命中させるどころか、25m先の動かない物体にすら命中させるのは難しい。でも、レイを助けるためだと思えば諦めるわけにはいかない。
「どうやって撃ってるの?そういえばライファが撃っているところをちゃんと見たことが無かった。」
レイに言われて3m先の木の葉っぱを撃ってみる。
「こう・・・やってる。」
なんだか急に自信がなくなり、レイを見るとレイは何か考えるような仕草をしてなるほど、と言った。
「私にも手伝うことが出来るかもしれないな。小弓を撃ったことは無いけど、弓は騎士団で習うから。遠距離のものに命中させるという点では同じだろう?」
「確かに。よろしくお願いします!先生!!」
「まずは姿勢だな。せっかく焦点を合わせても撃つときに手がぶれたら当たらない。だから弓の時は姿勢を大事にする。小弓にも同じことが言えるんじゃないかな。」
「姿勢か。考えたこともなかったな。」
その後、弓の姿勢を参考にしつつ小弓を撃ちやすい姿勢にかえていく。
「ライファ、まだ腕がぶれてる。」
レイの声が響く。
「手、もう少し上。真っすぐ伸ばして。」
「ライファ、まだぶれてる。」
それから二時間、レイのダメ出しが続いていた。こんなに続けて小弓を撃つこともなく、姿勢を意識した打ち方というものは想像以上に筋肉を使う。
「少し、休憩しようか。」
「いや、もう少し。」
「ライファ、休むことも大事だよ。」
レイに言われてようやく小弓を置いた。レイが飛獣石を出して、椅子替わりねと笑う。飛獣石に横向きに座って、はぁあああ、とため息をついた。
「ダメ出しばっかりで嫌にならない?」
「どうして?」
「あんまりダメ出しされると、私は意外と落ち込む方だからさ。それなのに、ライファにはダメ出しばっかりしてるから・・・。」
「あぁ、全然平気。だって、直すところがあるってことは、そこを直せば良くなるということだから。どこを直せばいいかわからないよりずっといい。」
「・・・まいったな。」
レイはそう言うと私の頭を撫でた。
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