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第三章
79. 酔っぱらいの翌日
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自分がしでかしたこととはいえ、どっと疲れた・・・。
もうすぐ皆が起きる時間だからとレイに解放され自室へと戻った。今朝目覚めると同時に昨晩のことを思い出し、自身の身なりを整えるのもそこそこにレイの部屋へと向かったのだ。昨晩のことは途中から覚えていないことにする、という良い案を貰ったもののレイの協力を得るためにあんなことを言わされるとは・・・。恥ずかしさのあまりに溶けてしまいそうだった。
「もうお酒は飲まない・・・。」
コンコン
「ライファ、起きてる?」
「はい、起きてます!!」
「開けるよ。」
ドアが開いてルカが顔を出した。
「どう?二日酔いになってない?」
「うん、それは大丈夫!」
ルカが私の顔をじっと見る。私もルカの表情を読み取ろうとルカをじっと見つめた。
「き、昨日は結局、どうなったのかな?私ったら途中から全然記憶がなくて。」
「どこから記憶がないの?」
「ベランダに行ったあたりからか、な?」
「あの後は、ジンさんがロッド様に発言には気を付けるようにだとか、人の気持ちをもっと考えなければいけないだとか、ヘイゼル公爵家の代々の家主はどんなに素晴らしかったかとかそんな説教をしながらお酒を飲んでたよ。その後、ロッド様が逃げ出して飲み会は終了。残された僕は部屋を片付けながら一人で飲んでた。」
「迷惑かけてごめんね。」
「迷惑と言うか、まぁ、面白かったよ。ぷぷっ。ねぇ、本当に覚えてないの?」
「お、覚えてない!全然覚えてないっ!!」
「ふぅん。」
ルカは不審な目を私に向け、私はその視線から目を逸らした。
朝食後、ロッド様からのシューピンによる呼び出しにロッド様の部屋を3人と1匹で訪ねた。
「おぉ、来たか。」
ロッド様に通されて部屋の中に入る。部屋はダークレッドを基調とした重厚感ある雰囲気だ。ロッド様らしいとは言い難いこの部屋は母親の趣味なのかもしれない。ロッド様が家具などにこだわっている姿は想像がつかないからだ。
「そこのソファにでも座っていてくれ。」
ロッド様はそう言うと壁に備え付けられているリトルマインを手にし、お茶を4つ部屋まで運ぶようにと言った。厨房か厨房の隣の部屋にでも繋がっているのだろう。それから私の耳元に顔を寄せると、「あれからどうだった?」と囁いた。
「すみません、私、昨晩のことは途中からはよく覚えていなくて。失礼なことをしませんでしたでしょうか?」
「なんだ覚えてないのかよ。お前、酔っ払うとだいぶ大胆になるんだな。」
ロッド様がニヤリと笑う。顔から火が出そうだ。だが、動揺しては覚えていることがバレてしまう。
「そ、そうなのですね。以後気をつけます。私のことなどより、チェルシー鳥と会うための作戦を考えましょう。」
ロッド様は不審な目を私に向けたが、すぐに、そうだなと同意した。
「チェルシー鳥との距離の詰め方を考えたんだが、ザクヤがチェルシー鳥は酒好きだと言っていただろ?だから、酒とつまみを差し入れるのはどうだろうか。」
「そうですね。なんの捻りもないベタなやり方ですが相手の好きなものを差し入れるというのはいいかもしれませんね。とにかく、私たちがコンタクトを取りたがっているということを知って貰わなければ何も始まりませんから。」
「お、おう。」
もしかしたらレイは機嫌が悪いのだろうか。爽やかな全力笑顔で嫌味を言ったような・・・。そっとルカを見ると笑顔を張り付けたような顔になっていたので、やはり嫌味だったのだろう。ロッド様がそういう部分に鈍感で良かった。
「となると、ザクヤ様にも協力をお願いしなくてはなりませんね。何の合図もなしに差し入れをしても自分宛だと思ってくれないどころが気付くこともないでしょうし。早速ザクヤ様の元へ行きましょう。」
そう言ってから、いや、とレイが続ける。
「皆で移動していたら時間がかかって仕方がない。ロッド様は公爵からチェルシー鳥の映像をお借りして紙に映していただけますか?ポスターのようなイメージです。チェルシー鳥の外見に見慣れるのが目的なので、屋敷中に貼ってください。」
「わかった。」
「ルカ、ルカもロッド様を手伝って欲しい。一人では大変だろうから。」
「承知いたしました。」
「私とライファはザクヤ様の元へ行って参ります。ロッド様、ジンさんに通訳していただくためにリトルマインをお借りしたいのですが。」
「あぁ、来客用のものを持って来よう。」
「ありがとうございます。」
高速で走るレイの上空をシューピンに乗ってついていく。ベルは久し振りに私のポンチョの中に収まり顔だけを出していた。レイから離されないということは私のスピードにレイが合わせてくれているということなのだろう。少しのスリルを求めて、木の遥か上空ではなく時折背の高い木が視界を邪魔する程度の上空にしておく。スピードを上げて右へ左へと木を避けるのはゲームでもしているかのようで楽しいのだ。
「ライファ!」
レイに呼ばれて下を見るとレイが木を上るところだった。そうだ、ここだった。レイを先頭に木の中を降りていく。突然現れて驚かせてしまわないように音を隠すこともせずに、名を呼びながら奥へと進んだ。
「ザクヤ様!昨日お会いしたレイです。お願いがあり参りました!」
そう3度大きな声を出した時、奥から魔獣が出てきてグワッ、グワッ、グウウと鳴いた。何を言っているのか分からないが、そんなに大きな声を出すなと言われているような気がする。手招きをされ昨日と同じ奥の間へと足を運んだ。奥の間へは昨日と同じようにザクヤ様がいた。レイはちょっと待ってとでも言うように手をかざすと私たちとザクヤ様の間にリトルマインを置いた。ジンさんの通訳準備の完成である。
「体の調子はいかがですか?」
「うむ、もうすっかり良い。」
「それは良かったです。今日はお願いがあって参りました。」
「チェルシー鳥の件か?」
ザクヤ様の言葉にレイが頷く。
「チェルシー鳥との距離を縮める方法として定期的にお酒とおつまみを差し入れ居ようかと思うのです。それでチェルシー鳥へお酒を置いておいたぞという合図を送って欲しいと思いまして。」
「いいだろう。勿論ワシにもお酒とつまみを差し入れてくれるじゃろ?再び会えた時、旧友との良い話のネタになる。」
ザクヤ様がグオッグオッと笑う。自分の分もお強請りするなんてちゃっかりしているなぁ。
「わかりました。同じものを届けましょう。」
レイとザクヤ様でどんどんと話が進んでいく。
「明日、15時に合図を送っておく。それからきっかり一時間後にここに来るが良い。場所に案内しよう。」
「いや、出来ることなら今日、今日がいいです。」
「今日か。まぁ、いいだろう。あぁ、それから酒に手紙でもつけておくが良い。」
「手紙ですか!?」
「あぁ、あやつは人間の言葉が理解できるからな。文字も書けるはずじゃ。」
「えぇっ!?」
あまりの驚きに私が声を上げてしまった。今まで一言も声を発していなかったのに突然言葉を発したものだから皆の視線が一斉に私に注がれる。う・・・。
「あぁ、チェルシー鳥は常に仲間を欲しがっていた。過去のチェルシー鳥が人の言葉を理解しようとして勉強していてもおかしくはないだろう。チェルシー鳥はな、知識を遺伝子で引き継ぐのじゃ。一人で生まれ一人で死にまた生まれる。育ててくれる者を持たない魔獣じゃ。遺伝子で知識をつながねば生きてはいられまい。」
「な、なるほど。」
ザクヤ様の言葉に納得する。人の言葉が分かるからこそ、人にどう思われているかが痛いほどわかったのだろう。
「それは良いことを聞きました。手紙をつけられるのとそうでないのとでは、気持ちの伝わり方が大きく違う。」
レイと私はお互いに顔を見合わせてから頷いた。
もうすぐ皆が起きる時間だからとレイに解放され自室へと戻った。今朝目覚めると同時に昨晩のことを思い出し、自身の身なりを整えるのもそこそこにレイの部屋へと向かったのだ。昨晩のことは途中から覚えていないことにする、という良い案を貰ったもののレイの協力を得るためにあんなことを言わされるとは・・・。恥ずかしさのあまりに溶けてしまいそうだった。
「もうお酒は飲まない・・・。」
コンコン
「ライファ、起きてる?」
「はい、起きてます!!」
「開けるよ。」
ドアが開いてルカが顔を出した。
「どう?二日酔いになってない?」
「うん、それは大丈夫!」
ルカが私の顔をじっと見る。私もルカの表情を読み取ろうとルカをじっと見つめた。
「き、昨日は結局、どうなったのかな?私ったら途中から全然記憶がなくて。」
「どこから記憶がないの?」
「ベランダに行ったあたりからか、な?」
「あの後は、ジンさんがロッド様に発言には気を付けるようにだとか、人の気持ちをもっと考えなければいけないだとか、ヘイゼル公爵家の代々の家主はどんなに素晴らしかったかとかそんな説教をしながらお酒を飲んでたよ。その後、ロッド様が逃げ出して飲み会は終了。残された僕は部屋を片付けながら一人で飲んでた。」
「迷惑かけてごめんね。」
「迷惑と言うか、まぁ、面白かったよ。ぷぷっ。ねぇ、本当に覚えてないの?」
「お、覚えてない!全然覚えてないっ!!」
「ふぅん。」
ルカは不審な目を私に向け、私はその視線から目を逸らした。
朝食後、ロッド様からのシューピンによる呼び出しにロッド様の部屋を3人と1匹で訪ねた。
「おぉ、来たか。」
ロッド様に通されて部屋の中に入る。部屋はダークレッドを基調とした重厚感ある雰囲気だ。ロッド様らしいとは言い難いこの部屋は母親の趣味なのかもしれない。ロッド様が家具などにこだわっている姿は想像がつかないからだ。
「そこのソファにでも座っていてくれ。」
ロッド様はそう言うと壁に備え付けられているリトルマインを手にし、お茶を4つ部屋まで運ぶようにと言った。厨房か厨房の隣の部屋にでも繋がっているのだろう。それから私の耳元に顔を寄せると、「あれからどうだった?」と囁いた。
「すみません、私、昨晩のことは途中からはよく覚えていなくて。失礼なことをしませんでしたでしょうか?」
「なんだ覚えてないのかよ。お前、酔っ払うとだいぶ大胆になるんだな。」
ロッド様がニヤリと笑う。顔から火が出そうだ。だが、動揺しては覚えていることがバレてしまう。
「そ、そうなのですね。以後気をつけます。私のことなどより、チェルシー鳥と会うための作戦を考えましょう。」
ロッド様は不審な目を私に向けたが、すぐに、そうだなと同意した。
「チェルシー鳥との距離の詰め方を考えたんだが、ザクヤがチェルシー鳥は酒好きだと言っていただろ?だから、酒とつまみを差し入れるのはどうだろうか。」
「そうですね。なんの捻りもないベタなやり方ですが相手の好きなものを差し入れるというのはいいかもしれませんね。とにかく、私たちがコンタクトを取りたがっているということを知って貰わなければ何も始まりませんから。」
「お、おう。」
もしかしたらレイは機嫌が悪いのだろうか。爽やかな全力笑顔で嫌味を言ったような・・・。そっとルカを見ると笑顔を張り付けたような顔になっていたので、やはり嫌味だったのだろう。ロッド様がそういう部分に鈍感で良かった。
「となると、ザクヤ様にも協力をお願いしなくてはなりませんね。何の合図もなしに差し入れをしても自分宛だと思ってくれないどころが気付くこともないでしょうし。早速ザクヤ様の元へ行きましょう。」
そう言ってから、いや、とレイが続ける。
「皆で移動していたら時間がかかって仕方がない。ロッド様は公爵からチェルシー鳥の映像をお借りして紙に映していただけますか?ポスターのようなイメージです。チェルシー鳥の外見に見慣れるのが目的なので、屋敷中に貼ってください。」
「わかった。」
「ルカ、ルカもロッド様を手伝って欲しい。一人では大変だろうから。」
「承知いたしました。」
「私とライファはザクヤ様の元へ行って参ります。ロッド様、ジンさんに通訳していただくためにリトルマインをお借りしたいのですが。」
「あぁ、来客用のものを持って来よう。」
「ありがとうございます。」
高速で走るレイの上空をシューピンに乗ってついていく。ベルは久し振りに私のポンチョの中に収まり顔だけを出していた。レイから離されないということは私のスピードにレイが合わせてくれているということなのだろう。少しのスリルを求めて、木の遥か上空ではなく時折背の高い木が視界を邪魔する程度の上空にしておく。スピードを上げて右へ左へと木を避けるのはゲームでもしているかのようで楽しいのだ。
「ライファ!」
レイに呼ばれて下を見るとレイが木を上るところだった。そうだ、ここだった。レイを先頭に木の中を降りていく。突然現れて驚かせてしまわないように音を隠すこともせずに、名を呼びながら奥へと進んだ。
「ザクヤ様!昨日お会いしたレイです。お願いがあり参りました!」
そう3度大きな声を出した時、奥から魔獣が出てきてグワッ、グワッ、グウウと鳴いた。何を言っているのか分からないが、そんなに大きな声を出すなと言われているような気がする。手招きをされ昨日と同じ奥の間へと足を運んだ。奥の間へは昨日と同じようにザクヤ様がいた。レイはちょっと待ってとでも言うように手をかざすと私たちとザクヤ様の間にリトルマインを置いた。ジンさんの通訳準備の完成である。
「体の調子はいかがですか?」
「うむ、もうすっかり良い。」
「それは良かったです。今日はお願いがあって参りました。」
「チェルシー鳥の件か?」
ザクヤ様の言葉にレイが頷く。
「チェルシー鳥との距離を縮める方法として定期的にお酒とおつまみを差し入れ居ようかと思うのです。それでチェルシー鳥へお酒を置いておいたぞという合図を送って欲しいと思いまして。」
「いいだろう。勿論ワシにもお酒とつまみを差し入れてくれるじゃろ?再び会えた時、旧友との良い話のネタになる。」
ザクヤ様がグオッグオッと笑う。自分の分もお強請りするなんてちゃっかりしているなぁ。
「わかりました。同じものを届けましょう。」
レイとザクヤ様でどんどんと話が進んでいく。
「明日、15時に合図を送っておく。それからきっかり一時間後にここに来るが良い。場所に案内しよう。」
「いや、出来ることなら今日、今日がいいです。」
「今日か。まぁ、いいだろう。あぁ、それから酒に手紙でもつけておくが良い。」
「手紙ですか!?」
「あぁ、あやつは人間の言葉が理解できるからな。文字も書けるはずじゃ。」
「えぇっ!?」
あまりの驚きに私が声を上げてしまった。今まで一言も声を発していなかったのに突然言葉を発したものだから皆の視線が一斉に私に注がれる。う・・・。
「あぁ、チェルシー鳥は常に仲間を欲しがっていた。過去のチェルシー鳥が人の言葉を理解しようとして勉強していてもおかしくはないだろう。チェルシー鳥はな、知識を遺伝子で引き継ぐのじゃ。一人で生まれ一人で死にまた生まれる。育ててくれる者を持たない魔獣じゃ。遺伝子で知識をつながねば生きてはいられまい。」
「な、なるほど。」
ザクヤ様の言葉に納得する。人の言葉が分かるからこそ、人にどう思われているかが痛いほどわかったのだろう。
「それは良いことを聞きました。手紙をつけられるのとそうでないのとでは、気持ちの伝わり方が大きく違う。」
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