【完結】World cuisine おいしい世界~ほのぼの系ではありません。恋愛×調合×料理

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第四章

34. 魔獣全滅

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「伏せろ!!!」

突然聞こえたリベルダ様の声に振り向くと巨大な魔力の塊がレーザーのように発射されたところだった。

「ライファ!!」

身をかがめ自身に結界を張ると同時にライファへと結界を飛ばす。リベルダ様がローザの放った巨大な魔力の塊を魔力で押し上げ、軌道を少しずらした。そのお蔭で巨大な魔力弾は私たちの頭上すれすれを飛びぬけた。魔力弾が壁に当たり壁を突き抜け、地下の部屋は半壊状態だ。

「大丈夫ですか、レイ。」
「はい、リベルダ様の声のお蔭でなんとか。」

「今の攻撃に巻き込まれて魔獣が一体死にました。残りは擬シャンク―と球体魔獣の二体です。二体、いけますか?」

グショウ隊長の目が私の目を捉える。心の中を見透かすような眼差しだ。その眼差しのままグショウ隊長は続けた。

「リベルダ様の様子がどうもおかしい。本来ならこんなにローザに押されるということは無い気がします。少なくとも私の知っているリベルダ様はもっと強い。」

グショウ隊長に言われてリベルダ様を見れば、服はボロボロ、体のあちこちに傷を負い肩で息をしている。確かに私が知っているリベルダ様よりも魔力が安定していないような気がした。

「クスクスクス、あなたの力ってこんなものなの?あぁ、そう。記憶の泉を次の者へと引き継いだのね。あれって相当魔力を消耗するのよね?命をも削って引き継ぐんですもの。貴方が弱い理由が分かりましたわ。残りの命はあと2年かしら。3年かしら?」

ローザがおかしそうにキャッキャと笑う。
命を削ってだと?
残りの命が2、3年!?

ローザの言葉は私の中に言葉としてしか入って来ず、感情として理解するには時間が足りなさすぎた。

「グショウ隊長、残り二体ぐらい私が倒してみせます。」
「レイ、頼みますよ。ライファの為にも。」

ライファの名を出したのは、何が何でも死ぬなよと言うグショウ隊長の心だ。本当に、一番痛いところを突いてくる人だ。

「お任せを。」

グショウ隊長がリベルダ様の元へ駆け寄っていくのを感じながら二体の魔獣に視線を置いた。











「なんて威力・・・。」

頭上を抜けていった巨大な魔力弾の痕を見て冷や汗が流れた。何て桁違いの魔力だろう。

レイが結界を張ってくれて助かった。魔力弾にこそ触れることはなかったが、魔力弾が半壊させた建物の破片がバキバキっと音を立てて落ちてきたのだ。横になっているニコラウスさんに覆いかぶさるようにしたものの、レイの結界がなければ二人とも怪我をするところだった。

「・・・ん・・・。」
「ニコラウスさん!?私が分かりますか!?」
「・・・ん、あ、あぁ。・・・私は・・・生きているのか?」

ニコラウスさんは周りを見て現実だということを理解したらしい。それから手を動かして指の動きを見たり、足を動かしたり、目を閉じたり開いたり。それはまるで自身の体の機能がどれ程まで戻っているのかを確認しているようだった。

「解毒薬、完成していたのか。まだ体は怠いが、体が回復していっているのを感じる。」

感心したように呟くニコラウスさんの姿が以前と変わりなくて安心する。

良かった、本当に。
一瞬、表情が緩んだが魔獣の鳴き声に身を硬くした。

レイ?

レイが一人で魔獣2匹と向き合っている。そのレイに背を向けてグショウ隊長が師匠の元へ駆けていく姿が見えた。師匠への助けが必要だとグショウ隊長が判断したのだろう。

レイは長距離から飛んでくる魔力弾をかわしながら、13体の球体魔獣と接近戦を繰り広げていた。球体魔獣は一つの球を中心において4つの方向に3球ずつ繋がっており、まるで13球で一つの魔獣のようだ。レイが攻撃をすれば時にはバラバラになり、時には繋がり、繋がった体を手足のように動かして攻撃を繰り出す。

「ぐっ。」

二体の攻撃は激しさを増し、レイは懸命に攻撃をかわしているが時折鈍い音と声が聞こえた。

「私は大丈夫だからレイの元へ行ってきてもいいよ。」
「本当に、大丈夫ですか?」

「あぁ、逃げるくらいは出来るよ。って、まぁ上手くいかなくても・・・。」
「ニコラウスさん。」

ニコラウスさんの言葉を遮る様にして言葉を続けた。

「死んだらダメですからね。」

ニコラウスさんが驚いたように表情を固めた。そしてふっと笑う。

「ほら、早く行きなよ。」
「はい、じゃあ・・・あとで。」


ローザが魔力弾で天井を破壊したことで空間が広くなっている。私はシューピンで空中に浮かぶと残っている天井部分に身を潜めた。

ここからならレイが良く見える。私は小弓に込めるウニョウ玉をレイ避け効果のあるものに交換した。ウニョウ玉を球体魔獣に向かって撃つと魔獣はウニョウ玉が目前に迫った瞬間に繋がりを解き、一体一体の球体として散らばった。そこから球としてレイに飛んでいく。レイは両手を広げ魔力の盾を作り防御するも、擬シャンク―の魔力弾と13体の球体魔獣の体当たりにまたもや防御が精いっぱいの様子だ。

何か方法は・・・。せめて一体でも引き離すことが出来れば状況は変わるはずだ。

擬シャンク―と球体魔獣。どちらならレイから引き離すことが出来るだろうか。球体魔獣は見たところ接近戦タイプだ。長距離タイプの私とは相性が良いと言える。だがそれは私が球体魔獣と距離を取ることが出来ている場合は、だ。球体魔獣は数が多いうえに俊敏だ。距離を詰められたら魔力ランクの低い私では一方的に攻撃されるイメージしか湧かない。となると擬シャンク―だろうか。

お互い長距離タイプだ。相手を倒すということになると限りなく不可能に近いが、距離がある分、攻撃が私の元へ届くまでに僅かな時間がある。時間がある方が避けられる確率も上がる。時間を稼ぐという点においては球体魔獣を相手にするよりも擬シャンク―の方が良い気がした。

「レイ!5分だ。今から5分間、私が擬シャンクーを引きつける。その間に球体魔獣をなんとかして!」

「ったく、直ぐ無茶をしようとするんだから。」
レイがこちらに視線を向けることなく呟くように言った。

「わかった。何とかする。」

レイの言葉を合図に私は擬シャンク―に私の姿を確認させるためにウニョウ玉を放ち、その直後に眠り玉も放った。5分間逃げ切るのが目標、だけど、倒せるのならそれに越したことは無い。攻撃をしかけてくるウザい存在に気が付いた擬シャンク―は私に向かって魔力弾を飛ばしてきた。

速い。シューピンで飛べば魔力弾は進行方向を変え私についてくる。ギリギリまで魔力弾を引きつけてから壁を盾にすることで魔力弾を破壊した。擬シャンク―の標的がレイに戻ってしまわないように簡単にやられるわけにはいかない。逃げ回っているだけじゃダメだ。何か方法は・・・。

視界の隅で天井が剥がれた部分から雪が舞い降りてくるのが見えた。ニコラウスさんは雪が落ちてくるのも気にせずこちらを見ている。

そうか。攻撃だから避けるんだ。

私は壁の背後に隠れるとリュックに手を突っ込んで小瓶を取り出し、その中に液体化させた眠り玉を入れた。ヒュイッと口笛を鳴らしてベルを呼ぶ。

バーンッ!!!
近くの壁が魔力弾で弾けた。体でベルを覆うようにして壁の破片からベルを守り、シューピンに飛び乗る。

「ベル、頼んだよ。」

浮上すると私の姿を捉えた擬シャンク―がまた魔力弾を飛ばした。応戦するようにウニョウ玉を撃ち、その場を離れる。擬シャンク―から逃げながらレイを見ると、レイが魔法陣を使って球体魔獣の動きを封じているところだった。魔獣は魔法陣から逃れようと13個の球体にバラけたがその瞬間にレイの魔法陣が13個に増えた。

凄い。あれほどの数の魔法陣を思い通りに操っている。

レイの戦いっぷりに少し足を止めた時、擬シャンク―が私の真正面に立っていた。その距離5m。擬シャンク―が私に向かって手を翳した。よし、位置はばっちりだ。

ピーッ!
口笛が響く。ベルへの合図だ。
合図をしたらベルが液体化した眠り球を擬シャンクーに垂らす手はずになっている。

擬シャンク―が一瞬頭上を見上げたのが見えたが、擬シャンク―の手の中の魔力は大きさを増し、その手から発射された。

シューピンを操り魔力弾から逃げる。壁の近くまで飛んでいき、魔力弾を引きつけた時だった。その魔力弾を狙うもうひとつの魔力弾が現れぶつかって破裂。私は守られるように温かな腕の中にいた。

「擬シャンク―は眠ったみたいだよ。ライファにかかると魔力ランクなんて関係ないみたいだ。」

レイが微笑む。その距離が近い。

心の中で何度も何度もレイと離れる決心をし、何度もシュミレーションした。レイはそれをたった一瞬の微笑みで無にしてしまう。

「レ、レイ、師匠たちの元へ行かないと。きっと地上で戦っている。」
「あぁ、そうだね。」
「私、一度、ニコラウスさんのところに行ってくる。レイは先に行っていて。」

レイの腕から逃れニコラウスさんの元へ行こうとするとその手を掴まれた。

「なに?」
「あ・・・。気を付けて。」
「うん。レイも。」

曖昧に微笑んだままニコラウスさんの元へと急いだ。レイはもしかしたら記憶が戻っているのかもしれない。


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