あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお断りいたします。

汐埼ゆたか

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Chapter14*オオカミなんて怖くない!ドラトラだってどんと来い!(※個人の見解です)

オオカミなんて怖くない!ドラトラだっ(以下略)[2]ー①***

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「はぁっ……」

長い間塞がれていた口が自由になり、大きく息を吸い込むと、柔らかな感触がまなじりに。キスの間もこぼれ続けていた涙を、アキの唇が拭い取っていく。

目尻、こめかみ、頬――顔の上のあちこちに散らばっていく柔らかな感触が心地好くて、目を閉じたままうっとりと酔いしれる。

「ほうっ」と吐息をついてからまぶたを持ち上げると、すぐ目の前に綺麗な顔があって。
目が合った瞬間、垂れ気味の色っぽい瞳を細め、なぜだか意味ありげに「にこり」と微笑みかけてきた。

ん? なにか……?

わたしがキョトンと小首をかしげた次の瞬間。
彼はわたしの胸もとに顔をうずめた。

「わっ、ちょ……、アキ……ぁんんっ」

露わになっている下着ブラの際、盛り上がった素肌の部分に、いきなりきつく吸い付かれて、驚くと同時にビクリと腰が跳ねた。

久々のキスに夢中になったせいでうっかり忘れてた……!

「こ、ここっ、ここ、ここっ……!」

焦るあまりに言葉が続かないわたしに、アキは何も言わない。
今「ニワトリかな?」って突っ込んで欲しいとこ!

だけどわたしの動揺などまるっきり無視ししたまま、アキはわたしの胸もとに顔を埋めている。

「ちょっ、やっ……ぁんっ、」

ブラの上から弾力を楽しむようにやわやわと揉まれ、口から甲高い声が飛び出した。
わたしの反応を“是”と取ったのか、どんどんアキの動きが大胆になってくる。

膨らみを手で弄びながら胸の下にブラをズラされ、そこに収まっていたものがふるり・・・とこぼれ出す。わたしが驚きの声を上げるより早く、彼はその先端を口に含んだ。

「ゃあぁっ……」

突然の強い刺激に、背中が弓なり大きくしなった。
『ダメ』と叫びたいのに口からは、あられもない嬌声が上がるばかり。

温く湿ったものに包まれたまま、「じゅっ」と音を立てて強く吸われて、いっそう甲高い声が口から飛び出した。

腰がズクンと重く痺れて、自分の内部がとろりととろけ出す感覚。
思わず太ももにぎゅっと力を込めると、計ったかのようにそこに手を延ばされた。

「やっ…ダメっ……」

反射的に追いかけようとした手を、逆に捕まえられる。もがもが・・・・と抵抗を重ねているうちに、どうやったのかアキは、器用にも片手でまとめたわたしの両手首を、デスクの上に張り付けにした。

「ちょっ、アキっ、だ、ダメ…ね、落ち着いて……? ここは会社できみの職場よ、もし誰か来たらどうするの……? ね、あの……こういうのはあとで時間がある時にでもゆっくり、あの……そう、シャワーとか! ひ、久しぶりだから色々と準備もあるし……ね?」

唯一自由なままの口で、彼を止めようと思いつくままに言葉を連ねてみる。
すると、彼がわたしの胸もとから顔を上げた。蠱惑的な瞳にじっと見つめられ、心臓がいっそう早鐘を打ち始める。

「そうだな、ずいぶん久しぶりだ」

そ、そう!久しぶりなんだもの。だから…ね!

「鍵は掛けたから大丈夫、誰も入ってこない」

い、いつの間にっ……!?

「久しぶりだから、一分一秒でも早くあなたを味わいたい・・・・・

や、やばい……目が本気マジだ……。

アキは情欲に濡れた瞳を嫣然えんぜんと細めると、わたしの首筋をべろりと舐めた。

「ひゃっ」

ちょっ…、わたしはスイーツじゃないのよっ!

「やっぱり吉野が一番甘くて美味しい。あなたと会えない間、どんなスイーツを食べても美味しいと思えなかったんだ……」
「っ……」

わたしも、あんなに大好きなビールを全然飲むことが出来なかった。それどころか、一人で飲むビールが苦くて不味くて堪らなかった。

お互いが同じように感じていたのだと気付いて、胸がじわりと熱くなる。
またしても目尻からこぼれ出した涙のしずくを、アキが唇で吸い取って行った。

「これも甘い」「こっちも美味しい」「ここもだ」

そう言いながら、アキはわたしの素肌の至る所に吸い付いては舌を這わせていく。

時折軽く歯を立てて食まれて、予期せぬ痛みに一瞬体が固まった。
けれどすぐ、アキは同じ場所を舌で優しく撫でるから、痛みは甘い痺れに変わり、わたしの口から吐息が漏れ出す。

それを幾度もくり返されているうちに、不思議と与えられる痛みすらぞくりと躰を甘く疼かせる刺激となってきた。

「吉野、好きだ」
「あっ…、」

耳輪に歯を立てられながら囁かれる。
それだけで、もうすべてを彼に明け渡しても良いと思えるほど、心も体も芯から蕩けていく。

「吉野の全部が食べたい」

大きな手が、節くれだった長い指が――わたしの中の柔らかな場所を探りながら言う。

――全部食べて。

ぼうっと芯が痺れたみたいな頭で、そう思った。

自分が何を背にしているのか。ここがいったいどこなのか。
そんなことは既に頭の端にも残っていない。

ただ目の前にいる人を、もっと強く感じたい。彼とどこまでも溶け合いたい。
跡形もないほど綺麗に食べ尽くしてほしい――。

わたしは固く目を閉じたまま、彼の背中に回した手に力を込めた。
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