🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙

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加筆修正版 73 ☑ (最終話) 

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" A  Second Marriage 再婚 2 "


 俺は妻のことが好きすぎて……
        愛し過ぎて……
        大切にし過ぎて……

 離婚するまでの間、生身の人間としてではなく、壊れ物の人形のように
扱っていたのだ。


 

 俺が自分の身体に指1本触れなくなったのを、妻はどんな気持ちで過ごして
いたのだろうかという想いに、この時初めて本当の意味で妻の事を慮ることになった。

 人形なら苦しんだりしない。

 だが妻は人間なのだ。

 自分に指1本触れずに10何年も過ごした夫が他所の女たちと卑猥な下ネタで
やりとりするような遊びをし、もしかしたらSEXもしたかもしれないと
知った日の妻の気持ちを思うと、いかんともしがたい気持ちになる。


 最愛の目の前にいる妻は、昔の妻ではない。
 俺だけを知っている妻では、もはやないのだ。

 もしかしたら、妻は今もあの神崎蓮を忘れられないでいるかもしれない。

 そう思うと気が狂いそうだった。

 愛する妻が他の男と何度も何度も……俺はたまらなかった。
 けれど先に妻を裏切るような真似をしたのは自分なのだ。

 気持ちはいつだって妻にあったからと言って、それが贖罪にはならない。
 つらいけれど過去のレスが嘘のように俺は眞奈を抱くことを
止められなかった。

 どうして今まで彼女を放置できていたのか、過去の自分の行いが歯がゆい。





 今の彼女を作ったのが蓮なのも歯がゆかった。
 嫉妬と悲しみと怒りと愛しさとで繰り広げられる痴態。

 夫婦の充実した営みを終えると眞奈はすっきりとした顔で
眠りについた。
 
 
 瑛士は新婚時代の自分たちの行動を遠い記憶の欠片から
必死で思い出そうとしていた。

 そう、SEXした後の妻の言動がどうだったのか、確認しておきたかったのだ。
 それは満足そうに眞奈が早々と自分との語らいも触れ合いも何もなく
 さっさと自分だけの眠りの国へと去っていったから。


 半端なく、置き去りにされた感が拭えず。


 あまりに時間が経ち過ぎて瑛士は過去のふたりの時間を
思い出すことができず、じれったかった。


 思い出せなかったけれど、違う……何かが違う、と本能が囁く。


 瑛士は知らず知らずに目頭に涙が溜まっていることに気付いた。

 それは悔し涙なのだろうか……
    嫉妬の涙なのだろうか……
    悲しみの涙なのだろうか……


 やっと妻は自分の手の中に帰ってきたのだと思っていたのに
おそらく、それは独りよがりというものだったのだろう。



自分の感じた違和感は恐らく間違っていないのだろうと思う。

 それが何なのか、言葉にするのは勿論のこと、心の中で推し量ることすら
 したくはなかった。
 


 もう昔のような仕合わせは自分の中に戻ってこないことを
瑛士は思い知らされるのだった。



  ――――― おしまい ―――――




皆さま、最後までお付き合いいただき
    ありがとうございました。*ᴗ ᴗ)⁾⁾☆彡設楽理沙

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