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第2幕:心を繋ぐ清流の協奏曲(コンチェルト)
第5-5節(第2幕:完結編):夢の実現へ向けて!
しおりを挟む「シャロン様!」
私が物思いに耽っていると、ジョセフさんが私の目の前で片膝を立てて屈み、神妙な面持ちで深々と頭を下げた。その動きはキビキビとしていて、態度もいつになく畏まっている。
その緊張感のある空気はこちらにまで伝わってきて、おのずと私も身が引き締まる。
「シャロン様、申し訳がありませんでした。数々の無礼、許していただこうなどと都合の良いことは申しません。どうか私に厳しい罰をお与えください。どんな罰でも受け入れる所存です。死んで詫びろとおっしゃるなら、この首を差し出します」
「…………。……その言葉に偽りはありませんか?」
「はい、もちろんです」
「では、あなたの命をいただきましょう」
「……承知しました」
ジョセフさんは静かに返事をした。取り乱すような気配は全くなく、鞘に収めているロングソードへ淡々と手を伸ばそうとする。
それを使って首を切るつもりなのか、それとも割腹するつもりなのかは分からないけど、彼が本気で自分の命を絶とうとしているのは確かなようだ。
そんな彼に私はスッと手を伸ばし、その動きを制止させる。
「勘違いしないでください。あなたの命はもはや私とリカルド様のもの。勝手に絶つことは許しません。これから一生、フィルザードのために尽くしなさい。いいですね、ジョセフ?」
「っ!? ……っ……御意のままに……っ!」
ジョセフは一瞬、目を丸くしていたけど、すぐに凛々しい顔つきになって今まで以上に深く頭を下げた。そしてその状態を維持したまま、いつまで経ってもその状態でいる。
…………。
……このままだと私が指示を出すまで何日でもそうしていそうな感じさえする。さすがに狼狽えた私は慌てて彼に声をかける。
「あ、あのっ、そろそろ頭を上げてください! ジョセフの決意と私に対する敬意はしっかりと伝わってきましたから!」
「はっ……。このジョセフ、リカルド様やシーファ様はもちろん、シャロン様にも絶対の忠誠を誓います……」
ようやくゆっくりと頭を上げたジョセフは真顔で私に言った。生真面目な彼の性格がよく表れているとは思うけど、堅苦しすぎてそれはそれで戸惑ってしまう。
私は気を取り直し、小さく咳払いをしてからあらためて声をかける。
「ジョセフ、この領地にとってあなたは欠くことの出来ない存在です。今後も私たちに力を貸してください。よろしくお願いします」
「勿体ないお言葉……」
「さすがはシャロン、見事な裁定だったぞ。もしかしたら僕よりも領主に向いているのではないか?」
今まで黙って様子を眺めていたリカルド様が、ニタニタしながら私の頭をポンポンと軽く叩いた。なんだかくすぐったいし、照れくさくて頬が熱くなってくるけど嫌じゃない。
むしろ心地良い感じがして、ずっとそうされていたいような気分にもなってくる。
「そうおっしゃっていただき、ありがとうございます!」
「これからも僕たちの夢の実現へ向けて、ともに歩んでいこう! 頼りにしているぞ、シャロン!」
「はいっ!」
私はリカルド様に対して力強く返事をした。気にかかることや不安はたくさんあるけれど、彼と一緒ならきっと乗り越えていける。私はそう信じている。
(第2幕:終幕/第3幕へつづく……)
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