嫁ぎ先は貧乏貴族ッ!? ~本当の豊かさをあなたとともに~

みすたぁ・ゆー

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第6幕:来るべき日の前奏曲(プレリュード)

第3-2節:スケジュールの確認

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 もちろん、リカルドはアリアさんを単なる幼馴染みとして接しているに過ぎないだろうけど、それは分かっているけど、私の胸は強く締め付けられているような感じがして苦しい。そして自然と奥歯をみ締めてしまっている。

 これは嫉妬しっと……なのかな……。

「で、アリア。このあとのスケジュールはどうなっている?」

「ス、スケジュールですかッ? あっ、は、はいっ! リカルド様たちを別宅にご案内したあとは、城内の執務室で公務を行う予定です! でも公務なら後回しにしようと思えば出来ますしっ、リカルド様のためなら時間を作らせていただきます!」

「……すまん、き方が悪かったな。キミの予定ではなく、僕やフィルザードの者たちのことについてだ」

「えぇっ!? あっ、たっ、大変失礼しました! 私っ、何を勘違いしてっ……!」

 アリアさんは耳まで赤くして、激しく狼狽ろうばいしている。眼鏡はズレたまま、アタフタと落ち着きなく左右を見回して髪が大きく揺れている。

 その様子を見てリカルドはプッと吹き出し、お腹を抱えて大笑いする。

「はっはっは! なるほど、それがキミの本音か! そうかそうか、そんなに僕と一緒に過ごしたかったか。まぁ、僕もアリアと思い出話に花を咲かせたいと思ってはいたがな」

「うぅ……意地悪ですよ、リカルド様……」

「話す機会はヴァーランド滞在中に作るつもりだから安心してくれ。で、そろそろこのあとの僕たちのスケジュールを教えてほしいのだが」

 リカルドがそう問いかけると、アリアさんは眼鏡の位置を元に戻しつつ慌てて返事をする。

「は、はいっ! 皆様には別宅にて休息など、自由にお過ごしいただきます。ただし、警備上の問題がありますのでリカルド様はもちろん、同行の皆様も外出はお控えください。何かご要望があれば、別宅にいる執事やメイドにお申し付けいただければ幸いです」

「分かった。皆にはあとであらためて伝達しておこう」

「なお、リカルド様には夕方から城内の応接室へお越しいただきたく存じます。ほかにもすでにヴァーランド城へ到着なさっている貴族の皆様がいらっしゃいますので、その方々とご挨拶あいさつや歓談をお願いいたします」

「承知した。護衛のナイルも同行ということで良いな?」

 リカルドは私たちの数歩ほど後方を歩くナイルさんに視線を向けつつ、念押しをするようにアリアさんにたずねる。

 それに対し、彼女はすっかり落ち着いた様子で小さくうなずく。

「はい。その後はささやかな舞踏ぶとう晩餐ばんさん会を開催させていただきます。会議の出席者が全員揃った正式な舞踏ぶとう晩餐ばんさん会とは別の、仮の催しとなりますが。その場にはご夫人や側近の皆様も参加となりますので、正装やドレスのご準備をお願いします」

「僕たちに同行して世話を担当する使用人の格好は、清潔感のある状態であれば普段のものと同じで良いな?」

「はい、それで問題ありません。ただ、会場のスペースには限りがありますので、人数はなるべく最小限でお願いいたします」

「シャロン、聞いての通りだ。よろしく頼むぞ」

 不意に話しかけられ、私は思わず目を丸くしながらドキッとしてしまった。

 ただ、すぐに気を取り直し、慌てて大きく首を縦に振る。

「う、うん、任せて!」

「緊張するなという方が無理だろうが、だからといって気を張りすぎなくてもいいからな。何かあれば僕がなんとかする。安心してくれ」

「そう言ってくれると私も少しは気が楽になるよ」

「……社交界は色々とあるからな。キミは純粋だからこそ嫌悪感を覚えたり、胃が痛くなったりすることもあるだろう。もし苦しかったら、遠慮なく僕に言ってほしい。特に今回は本当に……本当にひとりで抱え込まないでくれ……。それが僕は心配なんだ……」

 リカルドは私の手を取り、真顔で私を見つめた。その黒くて神秘的な黒い瞳には私だけが映り、キラキラと輝いている。

 私は思わずボーッとその美しさに見とれてしまいつつ、次の瞬間には嬉しさがこみ上げてくる。そして握った手を通じて彼の力強さと温かさが伝わってきて、胸が熱くなる。

 ……気遣きづかってくれてアリガトね、リカルド。

「アリアも目の届く範囲で構わないから、なるべくシャロンのことを気にかけてやってくれ。頼む!」

「……っ、も、もちろんです! 全力でシャロン様をサポートします!」

 一瞬の間が空いてから、アリアさんは慌てて晴れやかな笑みを浮かべてうなずいた。


(つづく……)
 
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