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2章 金髪清楚シスター
第10話 異国の地で宗教を布教するということ
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リリアーナ・クローバー
好感度
6/100
-----------------------------
「ぜんぜんあがってないじゃん…」
リリアーナちゃんと出会った翌日、ギルドのいつもの場所で寝転びながら、オレは「うーん」と唸っていた。
「なんかオレ、対応間違えたのかな?」
そんな疑問に攻略さんは答えてくれない。なんでも答えてくれないのは不便である。
リリアーナちゃんという超絶美少女に出会えたのは良かったのだが、好感度が全く上がっていないのは困る。
アドバイス通りに寄付の食糧を渡してきたのだが、好感度が3しか上がらなかったのだ。この調子だといつ攻略できるのかわかったもんじゃない。
頭を抱えていると、新しいアドバイスが表示された。
---------------------------------------------------------------------------------------------
4日後の昼、リリアーナが町の八百屋に訪れます。
その様子を店主に見つからない位置で観察してください。
その後、リリアーナを尾行し、彼女のこの町での立場を理解してください。
---------------------------------------------------------------------------------------------
ふむ?
なんかずいぶん遠回りな感じがするが、ひとまず攻略さんの言う通りにしてみよう。
他の女性で実験したときは、アドバイスを無視すると必ず好感度が下がったから、このアドバイスを無視するという選択肢はない。
リリアーナちゃんは絶対攻略したいのだ。
それにしても立場ってなんだろう?オレは少し不穏な雰囲気を感じていた。
♢♦♢
-4日後-
オレは八百屋の様子がわかる位置で待機していた。物陰の後ろだから、おばちゃんには見えていない。
そこに、リリアーナちゃんが現れる。相変わらずの超絶美人だった。
「なんだい!また来たのかい!あたしは宗教なんて入らないよ!ほら!いったいった!
なんだい?リンゴを売ってほしい?500ルピーなら売ってやってもいいよ!」
そんなやりとりが聞こえてきて、リリアーナがその場から離れていく。手にはリンゴが1つ握られていた。
オレは、なんだあのクソババアとイライラする。
リンゴ1コが500ルピーだって?
ここ数日、あの八百屋で働いてきたからわかるけど、高いリンゴでも100ルピーほどのはずだ。なんで5倍の値段をふっかけている。
しかり、イライラしていてもなにも変わらない。今はリリアーナの後を追うことにした。
「おう!シスターさんよ!ちょっとこの怪我治してくれよ!この前畑仕事でやっちまってよ!」
後ろをついていくと、リリアーナちゃんが農民らしき男に話かけられていた。リリアーナは、その男の脚に両手をかざし、
「ヒール」と唱えていた。治癒魔法だ。
「おう!ありがとな!
あん?お布施?そんなもんねーよ!町外れに住まわせてやってるんだから十分だろうが!」
リリアーナは頭を下げて立ち去る。
「ちょっと、シスターさんや。腰が痛いからまた治療してくれんかね?おー楽になった。また頼むよ」
老婆はあたりまえのように治療代を払わない。
リリアーナは頭を下げて歩き出す。
そんな調子で何人かに声をかけられ、治療を施すリリアーナ。でも、誰からも報酬は支払われなかった。
そもそも、リリアーナ自身も最初の男以外にはお布施の要求をしていないように見えた。…諦めたのだろうか。
そんな調子で村人の治療を繰り返していくと、リリアーナの顔は段々と疲れが見えるようになってきた。
オレも魔法を使いすぎるとMP切れで体調を崩すので、リリアーナもそうなのだろう。
そんな様子をイライラしながら伺っていると、気づけば西門のところまで歩いてきていた。これから教会に帰るのだろう。
オレはたまらず声をかけようと近づいていく。
そこで「クゥ~」というお腹の音が聞こえ、片手に持ったリンゴを悲しそうに眺める横顔が見えてしまう。
それから、もう片方の手で、目のあたりをゴシゴシと拭くような姿を見てしまった。
……
オレは、すぐに踵を返して、パン屋に向かう。サンドイッチを3食分ほど買い、紙袋に入れてもらってから走り出す。
西門から出て、しばらくするとリリアーナの後ろ姿を見つけることができた。
もう少しで教会に着きそうだ。
「あの!リリアーナさん!」
「はぁはぁ」と息をつきながら話しかける。
「あら?ライさん?こんにちは。どうされたんですか?」
どうしたじゃないだろう!
なんで、そんな穏やかな顔が出来るんだ!
「あの!これ差し入れです!」
言いながらリリアーナの腕に押し付ける
「差し入れですか?クロノス様への寄付ではなく?」
「ちがいます!がんばってるリリアーナさんへの差し入れです!」
「あら?なんでしょうか?」
そういってリリアーナは紙袋の中身を確認する。
「……申し訳ないのですが、シスター個人への物品の受け渡しは教典で禁止されているので、受け取れないのです……ごめんなさい」
くっ!お腹空かせているはずなのに!
意外と頭が硬いようだ。
じれったい!
「じゃあ!クロノス様への寄付をさせてください!」
「わかりました。それでは、祭壇へどうぞ」
彼女の後について、教会の中に入る。
4日前と同じように見よう見まねでお祈りを捧げた。
「ありがとうございます。クロノス様からライさんに祝福があるでしょう」
「それで!寄付されたものは、いつシスターが食べてくれるんですか!」
「寄付品は1週間、神に捧げたのち、神職が拝領することになっています」
「1週間!?そんなにしたら腐ってしまいますよ!」
「そうですね。なので、寄付品は日持ちのいいものを持ってきていただくのが通例です」
「あぁ!もう!いま食べてください!」
オレは祭壇から紙袋をひったくり、中身のサンドイッチを持ってリリアーナに向かって突き出した。
「……いただけません。教典には逆らえないのです」
「クゥ~」とお腹が鳴っている。
「んん!……いただけません」
お腹の音をごまかそうと頬を染めながら咳払いしているが、しっかりと聞こえていた。
「あぁ!もう!わからない人ですね!」
一旦サンドイッチを紙袋に戻してベンチの上に置く。
そして、剣を抜く。
「…なにをする気ですか?」
リリアーナが怪訝そうな顔をする。
「…あなたがこれを食べなければ教会を破壊します」
「なっ!?」
暴走しているだろうか。でも、なんとしても、こいつにご飯を食べさせたかった。
あんなに村人たちに尽くしていたのに、報われないなんて許されない。
「そんなことは許されません!」
「こっちのセリフです!」
「どういうことですか!もう!わたしのことはほっといてください!」
「オレは本気です!」
剣を持った手とは反対の手で上級魔法ライトニングのイメージを形成する。左手にバチバチと雷が帯びていく。光の強さも徐々に強まっていく。
「それは…」
彼女も魔法を使える身だ。なんとなくでも威力は想像つくのだろう。
オレは左手を祭壇の方に向け、リリアーナを睨みつける。
「わ!わかりました!食べるからやめてください!」
オレはその姿勢のまま動かない。
リリアーナが紙袋の方に駆けていって、サンドイッチを取り出す。
グッと堪えるような顔をしてから、一口頬張った。
「……グスッ」
もう一口もう一口と食べ進めながら、リリアーナは涙を流す。
教典を破ってしまったこと、久しぶりの食事、今日の出来事、色々思うことがあるのだろう。
オレは左手を下ろして、でも魔力は発散させずに様子を見ていた。リリアーナがサンドイッチを食べ終わるまで。
♢
「グス…グスッ…」
リリアーナは泣きながら教会のベンチに座っていた。手を握り締めて膝におき、下を向いている。何かに耐えているようだ。
オレは、通路を挟んだ隣のベンチに座って、彼女の様子を伺っていた。
ほおっておいたら、変な気を起こすような気がしたからだ。監視の側面が大きい。
「なんなんですか……なんでこんなことをするんですか…あなたは…」
「…今日、リリアーナさんが町の人たちと話しているのを見ていたんです」
「……」
「あんなのおかしいですよ」
「……エルネスタ王国では、クロノス教が布教しておらず、市民の方は宗教に抵抗が強いようなのです。ですから…しょうがないことなのです」
「そんなことないです。少なくとも労働に対する対価は支払うべきですし、商品の値段を人によって変えるのは差別でしかありません」
「……」
リリアーナは泣き止んで、だいぶ落ち着きを取り戻したようだ。
とりあえず今日は大丈夫そうだな、と判断し、帰ろうかと思い立ち上がる。そこで、ふと思いつき、かなり大袈裟に転んでみせる。
ガンッ!
祭壇前の階段に手首の下、上腕あたりをぶつけた音が鳴る。
「……なにをしているのですか?」
リリアーナは冷ややかな視線だ。
「あー、腕を怪我してしまいました。シスター リリアーナ、治療してください」
「……イヤです」
「クロノス様、あなたの信徒はとても心が広いと伺っていたのですが、この対応はいかがなものでしょう」
目をつぶって祈りのポーズをしながら、白々しいことを言う。
「……わかりました。腕をこちらに」
リリアーナは立ち上がって、オレに近づいてくれる。
「ヒール」
そう唱えると腕の痛みがスッと消えるのが分かった。
「ありがとうございます。シスター」
「いえ、あなたにクロノス様のご加護があらんことを」
リリアーナはセリフとは裏腹にイヤそうな顔をしている。
「シスター、これはお布施です。お納めください」
銀貨を10枚、袋に入れて、リリアーナに握らせる。
小さくて可愛い手だ。ずっとニギニギしていたい。
「?……こんなにはいただけません!」
リリアーナは中身を確認して驚いた様子を見せた。
「シスター、お布施は信徒の気持ちです。金額に決まりはないはずです」
「な!?たしかにそうではありますが!」
「じゃあ、また明日も来ます」
オレは立ち上がる。
「あと、町での買い物はオレが代わりにするので、必要なものは教えてください」
「そんな……そこまでしてもらうわけには…」
「じゃあ、また明日」
オレは、なるべく優しい声色で手を振って、その場を後にした。
リリアーナ・クローバー
好感度
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「ぜんぜんあがってないじゃん…」
リリアーナちゃんと出会った翌日、ギルドのいつもの場所で寝転びながら、オレは「うーん」と唸っていた。
「なんかオレ、対応間違えたのかな?」
そんな疑問に攻略さんは答えてくれない。なんでも答えてくれないのは不便である。
リリアーナちゃんという超絶美少女に出会えたのは良かったのだが、好感度が全く上がっていないのは困る。
アドバイス通りに寄付の食糧を渡してきたのだが、好感度が3しか上がらなかったのだ。この調子だといつ攻略できるのかわかったもんじゃない。
頭を抱えていると、新しいアドバイスが表示された。
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4日後の昼、リリアーナが町の八百屋に訪れます。
その様子を店主に見つからない位置で観察してください。
その後、リリアーナを尾行し、彼女のこの町での立場を理解してください。
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ふむ?
なんかずいぶん遠回りな感じがするが、ひとまず攻略さんの言う通りにしてみよう。
他の女性で実験したときは、アドバイスを無視すると必ず好感度が下がったから、このアドバイスを無視するという選択肢はない。
リリアーナちゃんは絶対攻略したいのだ。
それにしても立場ってなんだろう?オレは少し不穏な雰囲気を感じていた。
♢♦♢
-4日後-
オレは八百屋の様子がわかる位置で待機していた。物陰の後ろだから、おばちゃんには見えていない。
そこに、リリアーナちゃんが現れる。相変わらずの超絶美人だった。
「なんだい!また来たのかい!あたしは宗教なんて入らないよ!ほら!いったいった!
なんだい?リンゴを売ってほしい?500ルピーなら売ってやってもいいよ!」
そんなやりとりが聞こえてきて、リリアーナがその場から離れていく。手にはリンゴが1つ握られていた。
オレは、なんだあのクソババアとイライラする。
リンゴ1コが500ルピーだって?
ここ数日、あの八百屋で働いてきたからわかるけど、高いリンゴでも100ルピーほどのはずだ。なんで5倍の値段をふっかけている。
しかり、イライラしていてもなにも変わらない。今はリリアーナの後を追うことにした。
「おう!シスターさんよ!ちょっとこの怪我治してくれよ!この前畑仕事でやっちまってよ!」
後ろをついていくと、リリアーナちゃんが農民らしき男に話かけられていた。リリアーナは、その男の脚に両手をかざし、
「ヒール」と唱えていた。治癒魔法だ。
「おう!ありがとな!
あん?お布施?そんなもんねーよ!町外れに住まわせてやってるんだから十分だろうが!」
リリアーナは頭を下げて立ち去る。
「ちょっと、シスターさんや。腰が痛いからまた治療してくれんかね?おー楽になった。また頼むよ」
老婆はあたりまえのように治療代を払わない。
リリアーナは頭を下げて歩き出す。
そんな調子で何人かに声をかけられ、治療を施すリリアーナ。でも、誰からも報酬は支払われなかった。
そもそも、リリアーナ自身も最初の男以外にはお布施の要求をしていないように見えた。…諦めたのだろうか。
そんな調子で村人の治療を繰り返していくと、リリアーナの顔は段々と疲れが見えるようになってきた。
オレも魔法を使いすぎるとMP切れで体調を崩すので、リリアーナもそうなのだろう。
そんな様子をイライラしながら伺っていると、気づけば西門のところまで歩いてきていた。これから教会に帰るのだろう。
オレはたまらず声をかけようと近づいていく。
そこで「クゥ~」というお腹の音が聞こえ、片手に持ったリンゴを悲しそうに眺める横顔が見えてしまう。
それから、もう片方の手で、目のあたりをゴシゴシと拭くような姿を見てしまった。
……
オレは、すぐに踵を返して、パン屋に向かう。サンドイッチを3食分ほど買い、紙袋に入れてもらってから走り出す。
西門から出て、しばらくするとリリアーナの後ろ姿を見つけることができた。
もう少しで教会に着きそうだ。
「あの!リリアーナさん!」
「はぁはぁ」と息をつきながら話しかける。
「あら?ライさん?こんにちは。どうされたんですか?」
どうしたじゃないだろう!
なんで、そんな穏やかな顔が出来るんだ!
「あの!これ差し入れです!」
言いながらリリアーナの腕に押し付ける
「差し入れですか?クロノス様への寄付ではなく?」
「ちがいます!がんばってるリリアーナさんへの差し入れです!」
「あら?なんでしょうか?」
そういってリリアーナは紙袋の中身を確認する。
「……申し訳ないのですが、シスター個人への物品の受け渡しは教典で禁止されているので、受け取れないのです……ごめんなさい」
くっ!お腹空かせているはずなのに!
意外と頭が硬いようだ。
じれったい!
「じゃあ!クロノス様への寄付をさせてください!」
「わかりました。それでは、祭壇へどうぞ」
彼女の後について、教会の中に入る。
4日前と同じように見よう見まねでお祈りを捧げた。
「ありがとうございます。クロノス様からライさんに祝福があるでしょう」
「それで!寄付されたものは、いつシスターが食べてくれるんですか!」
「寄付品は1週間、神に捧げたのち、神職が拝領することになっています」
「1週間!?そんなにしたら腐ってしまいますよ!」
「そうですね。なので、寄付品は日持ちのいいものを持ってきていただくのが通例です」
「あぁ!もう!いま食べてください!」
オレは祭壇から紙袋をひったくり、中身のサンドイッチを持ってリリアーナに向かって突き出した。
「……いただけません。教典には逆らえないのです」
「クゥ~」とお腹が鳴っている。
「んん!……いただけません」
お腹の音をごまかそうと頬を染めながら咳払いしているが、しっかりと聞こえていた。
「あぁ!もう!わからない人ですね!」
一旦サンドイッチを紙袋に戻してベンチの上に置く。
そして、剣を抜く。
「…なにをする気ですか?」
リリアーナが怪訝そうな顔をする。
「…あなたがこれを食べなければ教会を破壊します」
「なっ!?」
暴走しているだろうか。でも、なんとしても、こいつにご飯を食べさせたかった。
あんなに村人たちに尽くしていたのに、報われないなんて許されない。
「そんなことは許されません!」
「こっちのセリフです!」
「どういうことですか!もう!わたしのことはほっといてください!」
「オレは本気です!」
剣を持った手とは反対の手で上級魔法ライトニングのイメージを形成する。左手にバチバチと雷が帯びていく。光の強さも徐々に強まっていく。
「それは…」
彼女も魔法を使える身だ。なんとなくでも威力は想像つくのだろう。
オレは左手を祭壇の方に向け、リリアーナを睨みつける。
「わ!わかりました!食べるからやめてください!」
オレはその姿勢のまま動かない。
リリアーナが紙袋の方に駆けていって、サンドイッチを取り出す。
グッと堪えるような顔をしてから、一口頬張った。
「……グスッ」
もう一口もう一口と食べ進めながら、リリアーナは涙を流す。
教典を破ってしまったこと、久しぶりの食事、今日の出来事、色々思うことがあるのだろう。
オレは左手を下ろして、でも魔力は発散させずに様子を見ていた。リリアーナがサンドイッチを食べ終わるまで。
♢
「グス…グスッ…」
リリアーナは泣きながら教会のベンチに座っていた。手を握り締めて膝におき、下を向いている。何かに耐えているようだ。
オレは、通路を挟んだ隣のベンチに座って、彼女の様子を伺っていた。
ほおっておいたら、変な気を起こすような気がしたからだ。監視の側面が大きい。
「なんなんですか……なんでこんなことをするんですか…あなたは…」
「…今日、リリアーナさんが町の人たちと話しているのを見ていたんです」
「……」
「あんなのおかしいですよ」
「……エルネスタ王国では、クロノス教が布教しておらず、市民の方は宗教に抵抗が強いようなのです。ですから…しょうがないことなのです」
「そんなことないです。少なくとも労働に対する対価は支払うべきですし、商品の値段を人によって変えるのは差別でしかありません」
「……」
リリアーナは泣き止んで、だいぶ落ち着きを取り戻したようだ。
とりあえず今日は大丈夫そうだな、と判断し、帰ろうかと思い立ち上がる。そこで、ふと思いつき、かなり大袈裟に転んでみせる。
ガンッ!
祭壇前の階段に手首の下、上腕あたりをぶつけた音が鳴る。
「……なにをしているのですか?」
リリアーナは冷ややかな視線だ。
「あー、腕を怪我してしまいました。シスター リリアーナ、治療してください」
「……イヤです」
「クロノス様、あなたの信徒はとても心が広いと伺っていたのですが、この対応はいかがなものでしょう」
目をつぶって祈りのポーズをしながら、白々しいことを言う。
「……わかりました。腕をこちらに」
リリアーナは立ち上がって、オレに近づいてくれる。
「ヒール」
そう唱えると腕の痛みがスッと消えるのが分かった。
「ありがとうございます。シスター」
「いえ、あなたにクロノス様のご加護があらんことを」
リリアーナはセリフとは裏腹にイヤそうな顔をしている。
「シスター、これはお布施です。お納めください」
銀貨を10枚、袋に入れて、リリアーナに握らせる。
小さくて可愛い手だ。ずっとニギニギしていたい。
「?……こんなにはいただけません!」
リリアーナは中身を確認して驚いた様子を見せた。
「シスター、お布施は信徒の気持ちです。金額に決まりはないはずです」
「な!?たしかにそうではありますが!」
「じゃあ、また明日も来ます」
オレは立ち上がる。
「あと、町での買い物はオレが代わりにするので、必要なものは教えてください」
「そんな……そこまでしてもらうわけには…」
「じゃあ、また明日」
オレは、なるべく優しい声色で手を振って、その場を後にした。
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