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人民革命
プリブレジヌイ到着
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皇帝イリアは皇帝親衛隊のベルナツキーたちに守られ、ユルゲンが囮となったこともあり、無事にプリブレジヌイに到着した。一行は街の中を進み、城へと入城する
そこでは先に首都アリーグラードを脱出した帝国軍総司令官ボリス・ルツコイと、プリブレジヌイに配属されていた第六旅団のペシェハノフ旅団長が待っていた。
「陛下、ご無事でしたか」。
ルツコイは、うれしそうに両手を上げて歓迎した。
「ルツコイ司令官、そして、ペシェハノフ旅団長、ご苦労」。
皇帝は落ち着いた口調で話した。
ルツコイはベルナツキーにも話しかける。
「よくぞ、陛下を無事にお連れした」。
「はい、しかし…」。ベルナツキーは言葉をつまらせた。「クリーガー副司令官が囮となって、我々を逃がしてくれました」。
「なに?! 囮だと?」ルツコイは驚いて聞き返した。「彼は首都を出たところで姿が見えなくなったので、もしかして、反乱兵にやられたのかとも思っていた」。
「いえ、彼は首都を脱出した後、我々と途中の村で偶然出会い、つい数時間前まで一緒にいましたが…、追っ手を引き付けるために…」。
「そうか…」。ルツコイも一度、不安そうに俯く。しかし、慰めるように気を取り直して言う。「奴の事だ、うまく逃げてくるだろう」。
そして、改めて皇帝に向き直って言った。
「陛下は部屋で休んでください」。
ペシェハノフは部下に言って、皇帝を部屋に案内させる。皇帝が城の奥へ行くのを見送ってルツコイは言った。
「我々は今後、どうするかを決めよう」。
ルツコイ、ペシェハノフ、ベルナツキーは作戦室で打ち合わせを行う。
ペシェハノフは現状の報告する。
「私の第六旅団は六千名の兵士がいます。彼らには反乱の兆候は全くありません。そして、総司令官と一緒に脱出した重装騎士団が三百名と少しです」。
「国境沿いにイェブツシェンコの第四旅団がいるな」。ルツコイは確認する。「彼らをここへ移動させよう。後は、南の国境線沿いにスミルノワの第一旅団、スツゥーチカの第二旅団がいる」。
「彼らの旅団の兵士の多くが首都北部の出身者が多いです。戦える状態にあるかわかりません」。
「それの確認の意味も込めて、全旅団に対し伝令を出して、可能であればここに向かうように命令を」。
「わかりました。イェブツシェンコの旅団は早ければ二、三日でここに到達できるでしょう。南に国境線の二つの旅団は早くとも十日はかかると思われます」。
「わかっている」。
ルツコイはいら立ちを隠さなかった。
「後は、反乱軍もこちらに向かっているでしょう。問題はその数です」。
ベルナツキーは口を挟んだ。
「我々は一度追っ手に追いつかれましたが、反乱兵は戦い慣れしてない者も多いです」。
そのとおりだ、元兵士もたくさんいるだろうが、軍の指揮を取れる者がいないようだ。それに、反乱兵の中には、そもそも戦い慣れしていない一般住民だった義勇兵も多いだろう。こちらの兵力を六千と考えると、倍ぐらいまでであれば戦える自信がルツコイにはあった。
「歩哨を城の外へ出して、こまめに敵の接近を報告させる」。
「後は、テレ・ダ・ズール公国へ援軍をお願いするのはどうでしょうか?」
ペシェハノフが提案する。
「可能なのか?」
「彼らも国内で同様な民衆による革命が起こることを恐れているでしょう。わが帝国が崩壊すれば、次は自分たちだと思うはずです」。
「なるほど。確かに、少しでも味方は多い方がいい。公国へ伝令を出せ」。
そこでは先に首都アリーグラードを脱出した帝国軍総司令官ボリス・ルツコイと、プリブレジヌイに配属されていた第六旅団のペシェハノフ旅団長が待っていた。
「陛下、ご無事でしたか」。
ルツコイは、うれしそうに両手を上げて歓迎した。
「ルツコイ司令官、そして、ペシェハノフ旅団長、ご苦労」。
皇帝は落ち着いた口調で話した。
ルツコイはベルナツキーにも話しかける。
「よくぞ、陛下を無事にお連れした」。
「はい、しかし…」。ベルナツキーは言葉をつまらせた。「クリーガー副司令官が囮となって、我々を逃がしてくれました」。
「なに?! 囮だと?」ルツコイは驚いて聞き返した。「彼は首都を出たところで姿が見えなくなったので、もしかして、反乱兵にやられたのかとも思っていた」。
「いえ、彼は首都を脱出した後、我々と途中の村で偶然出会い、つい数時間前まで一緒にいましたが…、追っ手を引き付けるために…」。
「そうか…」。ルツコイも一度、不安そうに俯く。しかし、慰めるように気を取り直して言う。「奴の事だ、うまく逃げてくるだろう」。
そして、改めて皇帝に向き直って言った。
「陛下は部屋で休んでください」。
ペシェハノフは部下に言って、皇帝を部屋に案内させる。皇帝が城の奥へ行くのを見送ってルツコイは言った。
「我々は今後、どうするかを決めよう」。
ルツコイ、ペシェハノフ、ベルナツキーは作戦室で打ち合わせを行う。
ペシェハノフは現状の報告する。
「私の第六旅団は六千名の兵士がいます。彼らには反乱の兆候は全くありません。そして、総司令官と一緒に脱出した重装騎士団が三百名と少しです」。
「国境沿いにイェブツシェンコの第四旅団がいるな」。ルツコイは確認する。「彼らをここへ移動させよう。後は、南の国境線沿いにスミルノワの第一旅団、スツゥーチカの第二旅団がいる」。
「彼らの旅団の兵士の多くが首都北部の出身者が多いです。戦える状態にあるかわかりません」。
「それの確認の意味も込めて、全旅団に対し伝令を出して、可能であればここに向かうように命令を」。
「わかりました。イェブツシェンコの旅団は早ければ二、三日でここに到達できるでしょう。南に国境線の二つの旅団は早くとも十日はかかると思われます」。
「わかっている」。
ルツコイはいら立ちを隠さなかった。
「後は、反乱軍もこちらに向かっているでしょう。問題はその数です」。
ベルナツキーは口を挟んだ。
「我々は一度追っ手に追いつかれましたが、反乱兵は戦い慣れしてない者も多いです」。
そのとおりだ、元兵士もたくさんいるだろうが、軍の指揮を取れる者がいないようだ。それに、反乱兵の中には、そもそも戦い慣れしていない一般住民だった義勇兵も多いだろう。こちらの兵力を六千と考えると、倍ぐらいまでであれば戦える自信がルツコイにはあった。
「歩哨を城の外へ出して、こまめに敵の接近を報告させる」。
「後は、テレ・ダ・ズール公国へ援軍をお願いするのはどうでしょうか?」
ペシェハノフが提案する。
「可能なのか?」
「彼らも国内で同様な民衆による革命が起こることを恐れているでしょう。わが帝国が崩壊すれば、次は自分たちだと思うはずです」。
「なるほど。確かに、少しでも味方は多い方がいい。公国へ伝令を出せ」。
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