色彩の大陸3~英雄は二度死ぬ

谷島修一

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英雄は二度死ぬ

解明

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 イリーナ、クララ、ブリュンヒルデ、ナターシャの四人は礼を言って、部屋を後にした。

 これで、イリーナとクララが最初、調べていた “チューリン事件” 、“ソローキン反乱” 、 “人民革命” についての謎がすべて判明したことになる。

イリーナは改めて判明したことをリストに付け加えた。

【分かったこと】
●“チューリン事件”
・ブラミア帝国の皇帝スタニスラフ四世が殺され魔術師アーランドソンに体を乗っ取られていたこと。
・その魔術師アーランドソンを倒したのはユルゲン・クリーガーであったこと。
・“チューリン事件”のチューリンや怪物はアーランドソンに魔術で操られた傀儡だったこと。

●“ソローキン反乱”
・“ソローキン反乱”は皇帝がソローキンを排除するための謀略であったこと
・ソローキンを倒したのはユルゲンだった。

●“共和国再独立”
・ユルゲンが率いる遊撃部隊が共和国の反乱に加担してモルデンを掌握したこと。
・そもそもユルゲンは、かなり前から共和国の独立派と内通していたこと。
・モルデン掌握が秘密にされている理由=共和国ではコフの功績にするため。
・モルデン掌握が秘密にされている理由=帝国ではユルゲンが帝国を裏切って共和国についていたのでそれを隠すため。
・ユルゲンは一人で降伏し、軍法会議で反逆罪で死刑宣告を受けるが恩赦されたこと。
・ユルゲンが裁かれたこの軍法会議がそもそも偽だったので公的な記録は残っていない。
・死刑宣告と恩赦について秘密にされている理由は、ユルゲンを帝国に留まらせるための策略だったので、そもそも公にすることはない。

 ●“人民革命”
・ユルゲン・クリーガーの屋敷にいた召使いナジェーダ・メルジュノワは、革命軍の仲間だった。
・オレガに斬られたユルゲンは、傀儡魔術による偽物だった。
・ユルゲンが革命軍の追っ手から逃げ延びられたのは、アグネッタ達が助けたから。
・ユルゲンを助けた理由は、後にスパイとして仲間に引き入れるため。

 イリーナとクララはリストを見て、ほっと溜息をついた。
 数か月にわたる調査は大変だったが、旅も楽しかったし、イリーナとクララは満足だった。

 イリーナ、クララ、ブリュンヒルデ、ナターシャの四人は話し合って、ここへは一泊だけして、翌日には出発し、それぞれの故郷へ戻ることにした。
 ここにとどまっても、街の中に入ることもできず、建物の中にいてもやることがないからだ。建物の中にいた係員にそれを伝える。

◇◇◇

 翌日の朝。出発の時、アグネッタとエーギルは別れのあいさつに来てくれた。
 それぞれ、別れを言って四人は駅馬車を使って、移動を開始する。

 駅馬車で出発した直後、ブリュンヒルデは一言言った。
「あのエーギルっていう人、医者じゃないかもしれないわね」。
「どうしてですか?」
「勘よ。彼は、“リムフロスト”のメンバーで、アグネッタさんが何を話すか監視していたのかもしれないわね」。
「アグネッタさんの話だと、“リムフロスト” は解散したんじゃあ?」
「公式にはね。裏ではどうかは、わからないと思っているわ」。
 そうなのかもしれないが、それが事実かは確かめる術はない。

 また、ブリュンヒルデは今回の一連のインタビューを新聞に掲載したいと思うが、掲載が許可されるかどうかは、結局、編集長の匙加減だという。彼女の手元にあるのは、オットー、ソフィア、アグネッタ本人達の証言だけで、それを裏付けする資料がほとんどなかった。それでは、ブリュンヒルデの本来の目的であったユルゲン・クリーガーの再評価は難しいかもしれないと言っていた。
 そういう理由で、ブリュンヒルデはこれまでの調査に不満を持っているようだ。しかし、イリーナとクララは、ブリュンヒルデには悪いが、自分たちの調査の結果に満足していた。

 一行は宿場町を経由して三日後、ソントルヴィレに到着した。
 ソントルヴィレの宿屋“エマール”に再び宿泊し、ここでイリーナ、クララ、ナターシャはブリュンヒルデと別れた。
 そして、一週間かけてパルラメンスカヤ人民共和国の首都アリーグラードへ戻って来た。
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