6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく

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2章

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「ん?まぁ万が一危害を加えようとしたって、すぐに殺しはしないだろうが、隠密部隊の人達が速攻で捕まえに来て拷問にはかけられるだろうな」
「そう、ですよね」
「なんだ?まさかお前ら、手を出すつもりじゃねぇだろうな?」
「ちっ、違いますよ!そんなこと、考えたこともありません!」
「はっはっは!悪い悪い、冗談だ。俺だってお前らの人となりはある程度わかってるつもりだ。いっつも犬みてぇにジル様ジル様ってまっすぐで、誰から見ても主大好きですって態度してんだ。んな馬鹿な事しねぇよ」

危害を加えたと誤解されないよう今以上に気を付けないとな、と考えながら先輩の冗談に慌てて否定すれば、先輩だって疲れているはずなのに、快活に笑いながらそう言って軽く頭を撫でられた。
この先輩は王子殿下の世話係という似たような立場だからか、よく俺達を可愛がってくれる。この場の雰囲気にそぐわない調子で冗談を言ったのも、笑い飛ばしたのも、俺達が精神的に追い詰められないようにという配慮だろうか。
俺やアレクが平気なフリをしているのも、きっと先輩にもサロモンにも見抜かれているのだろう。


「ちょっと!なんでこんな時にそんな怖い話をするのさ!」
「悪かったって。まぁ、この件は一旦置いといて、さっさとそれ食っちまえよ。水もあるから水分補給も忘れんなよな。俺は一度、近衛兵に状況を聞いてくる。もしかしたら隠密部隊から連絡来てるかもしれないしな」
「あっ、僕も行かせてください!」
「飯食わねぇのか?」
「さっき馬車の中で先輩にご飯もらったから大丈夫!それより僕だってじっとしてられないよ」
「分かった。なら今は頼む」
「すみません、お言葉に甘えさせていただきます」
「おう、行ってくる」
「ゆっくり休んでてよ!」
「わかってる」

動き回る近衛兵達の元に歩いて行く二人を見送って、手元の籠に視線を落とす。

「ジル様が帰って来たら美味いもん、たらふく食わせねぇとな」
「そうだね。ルル達も含めてみんな揃って、またお庭で美味しいもの食べよう」

その姿を再び見るためにもジル様が無事に帰って来て、尚且つ俺達もジル様専属の役を解任されるわけにはいかない。今のジル様がどんな状況に置かれているか詳しいことなど何も分からない。ただ今の一番の懸念は、病気の症状が出てもまともな治療を受けることは叶わないだろうこと。
犯人にジル様を手にかける意図がなくとも、病気が悪化したら?今日みたいに突然倒れて、二度と目を覚まさなかったら?
考えたってどうしようもないことは分かってるのに、そんな事ばかり考えてしまう。

嫌な思考を振り切るように、なにか今できることを考える。捜索や調査の面において、俺達ができることなんてたかが知れているけれど、その分ジル様が戻って来れた時のために万全の体制を整えておこう。もうこれ以上、怖い思いも苦しい思いもさせてしまわぬように。

どうか、どうかジル様を取り巻く世界に、一刻も早く安寧が訪れますように。
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