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1章
9(リュカside)
しおりを挟むリュカside
あの日、俺達が離宮に向かったのはほぼ丸一日荒れていた天気が、ある程度収まってから。
まだ吹雪が吹き止まないうちに、俺達は三人揃って執事長に呼び出されて、その時に急遽第二王子殿下付きになったことを知った。
事前に第二王子殿下について教えられたのは、五歳であることと名前がジルベールであるということだけ。
それだけでいいのかと不安に思いつつ、吹雪の名残りがあちこちに見られる中、そのまま三人で指定された集合場所に向かった。
そこには執事長であるベルトラン様だけでなく、国王陛下と陛下の護衛が既にいて、三人揃って大慌てしながらもそのまま第二王子殿下の元へと足を進めた。
第二王子殿下と言うから、てっきり王宮内のどこかにいらっしゃるのだと思っていたから、執事長が人気のない方へと歩いて行く後ろをついて行きながらも困惑した。
そんな俺達の様子などお構い無しに歩き続ける執事長を見失わないように必死について行くと、たどり着いた先には荒れ果てた離宮が現れて、すぐに困惑は激しい動揺に変わった。
「ジ、ル…っ」
「っ、陛下!お待ちください!」
陛下の切羽詰まった声音にハッとして視線を戻すと、離宮の中へ走り出した陛下と陛下を追いかけた執事長達がいて、俺達も慌ててその後を追いかけた。
第二王子殿下は思いのほかすぐに見つかった。
犬の鳴き声がその部屋から聞こえたからだ。
第二王子殿下がどこの部屋にいるか、誰も知らなかった事もあってその鳴き声だけを頼りに、とりあえずとその部屋に向かった。
そしてその部屋の扉を開けた時、きっと誰もが言葉を失った。
部屋の中はとても悲惨な状態だった。
吹雪で割れたのであろう大きな窓のガラスが辺りに散乱し、その窓が割れたせいで、床や壁は雪で水浸しになり、外から冷たい風が吹き込むせいで外よりも寒く感じる。
にも関わらず、辺りに散乱したガラスを気にもとめない様子で、犬が3匹もこの部屋に留まっていた。
中でも大きな二匹の犬は俺たちに気付いたのだろう。
近づくなと言わんばかりに入口を塞ぐように立って、低い声で唸っている。
その二匹の後ろでこちらの様子など眼中にないのか、二匹より一回りだけ小さな白い犬が頻りにキュウキュウと鳴いて何かを舐めている。
そしてそこに居たのが……
「第二王子殿下っ!」
犬に舐められても、これだけの人数が騒いでいても、ピクリとも動かない、小さな塊。
とても生きているようには見えなくて、思わずゾッと怖気付いてしまった。
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