6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく

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1章

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「ねぇ、ジルはお父様のこと好き?」
「……っ、え……」
唐突にそう聞かれて、咄嗟に言葉を出すことができなかった。
繰り返す人生の中で陛下を好きだったことはある。
もちろん親として。
だけど今は、なんの感情も湧かない。
陛下は陛下だ。
この国の最高権力者。
ただそれ以上でも以下でもない。
追いかけても無駄なのだから、最初からなにも求めない方が楽だ。
なんて、そんな事を答える訳にもいかず、どう答えようか迷っているうちに、彼は俺の反応をどう捉えたのか、悲しげに笑って続けた。
「ぼくはね、お父様のこと大好きなんだぁ。お母様も大好きだし、もちろんジルもライアンも大好き。……だから、いつか皆で仲良しになって、ずーっと一緒にいたい。あと、あとね。お父様の部屋にある絵の隣にジルとライアンもいる絵を飾りたいの。ね、ジルもそう思うでしょう?」
「……うん」
そんな御伽噺のような事など起こり得ない、とどこか冷めた事を考えながら、なぜかいつの間にか頷いていた。

彼に__今までと大きく異なるこの人生に、もしかしたら、と心のどこかで願ってしまったのかもしれない。
都合のいい考えだと、自嘲してしまう。
そんな俺の心中を知らない彼は嬉しそうに笑って、不意に伸ばされた手で撫でられる。
「えへへ。ジルがお返事してくれた!……ぼくね、ジルに会えるの楽しみにしてたんだぁ。ぼく、来年から学園に行かなくちゃいけないから、皆で過ごせなくなっちゃうから」
そんな彼の寂しげな笑顔を見て、ふと思い出す。
そういえば、八歳になったらこの国の貴族は原則的に王都にある全寮制の学校に行くのが決まりだった。
入学を拒否して自宅で家庭教師をつけて勉強をする人もいるらしいのだが、学園自体が社交の勉強も兼ねているために、ほとんどの貴族はその学園に通っている。
俺はどの人生でも病弱な設定(今世だけは本当になってしまったが)だったから、免除されていて忘れていた。
週末や休みの日には申請をすれば家に帰れるらしいのだが、元々陛下もアベラ様も忙しい人であるし、確かに寮に入ってしまえば家族揃ってゆっくりする機会も減ってしまうだろう。

あぁ、でも。
休みの日に王宮に帰ってきて学園の話を話しているのを遠目から見た時は、すごく楽しそうだった。
きっと、今はもの珍しさに俺の元に来ただけ。
学園に行って、新しい環境に身を置いたら、すぐに俺のことなど忘れるだろう。
だから今だけだ。
彼がここに来るのも。
そう言い聞かせておかないと、彼の御伽噺を信じてしまいそうになる自分がいた。
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