6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく

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2章

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「心配だという気持ちを、たくさんあの子に伝えてあげると良いと思いますよ。ジルベール様の言葉をそう何度も無碍に出来るような子ではありませんからね」
お師匠様は本当にノア先生に似ていて、胸の内がどうであっても穏やかな面だけを見せてくれる。安心を届けてくれるような人。白い髪とヒゲがその姿を一層柔らかく見せている。

「ですがジルベール様」
お師匠様は俺の名前を呼んで、皺だらけの手で優しく頭を撫でてくれる。その心地良さに思わず目を細めると、お師匠様も嬉しそうに笑ってくれる。
「そうは言ってもノアは思いのほか丈夫ですから、心配し過ぎないでくださいね。今はただあの子を近くで見ていてあげてください」
「……はい」
俺が頷くとお師匠様は満足そうに微笑んだ。そしてまたゆっくりと頭を撫でてくれて、その心地良さに身を委ねる。


時間の経過と共に、もう随分とリュカ達やノア先生に慣れ、彼ら以外の王宮で働く人達とも、交流が増えていった。今もまだ同じようなメンバーで過ごすことが多いけれど、成長したリュカ達には他の仕事も割り当てられることが増え、それに伴って一人の時間や他の人と過ごす時間も増えた。
人が増えればそれだけ俺に対する考えも増える。模範的にただ仕事をこなす人、やたら親身に接する人、あからさまに嫌がる人、そもそも仕事に来ない人。数えたらキリがないけれど、本当に人それぞれだ。
専属として仕えてくれている彼らを引き離して、その隙に俺を取り込もうとしているのだろう人も中には何人かいる。それは俺が第二王子であり王妃様の実子である限り、避けられないことだとはとうの昔に割り切っているのだが、割り切っていたとしても面倒なことに変わりない。取り込んで思いのままに操れるようになったところで、俺に政治的な力はないし、そもそもそう長くも生きられないだろう。
病気について深く知らない人からは、自分の子供を婚約者にと勧められたりもした。なんと無意味な事だろうか。どの人生でもパートナーと上手くいった事も、子を残すことだって出来たためしもない。
けど、子供に関してはそれでいいのかもしれない。ろくに家族を知らない、厄介な立場の俺に子供がいたら、その子を幸せに出来ないことなど容易に想像がつく。
前は家族が欲しいと強く願っていたな、と思い返して自嘲してしまう。愛した人との間にできた子供はどれほど可愛いだろうと、妄想したこともあった。
それが叶わぬ夢だと悟ったのはいつだったか。

今の俺にはもう、そんなことも思い出せない。


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