旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか

文字の大きさ
2 / 2

おまけ小話。

しおりを挟む
 あの初夜の翌日。旦那様が愛人関係を全て清算した、そーだ。

「アリシア、今までの非礼をわびる。どうか、私の唯一の人として側にいてほしい」

 膝をつき懇願するイケメンに、私は何度も目を瞬かせた。

 え? 愛人と別れた? なんしてんの?

 旦那様はイケメンでも残念な微筋肉。美筋肉は私の中でも絶対的な魅力の一つ。その魅力が欠けた旦那様なんて…………。しかし私は旦那様に微笑みます。

「えぇ、旦那様のお側にいますわ」

 美筋肉、イケメンオヤジな愛人は作りますけどね?





 夫婦となって初めての夜会。
 私は楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。

 王宮での夜会と言えば、要人の護衛にあたる実用騎士美筋肉たちが、間近で愛でられるうえに、ここには旦那様に愛人関係を切られたマダムたちも集まるのだから。旦那様へ未練を残した彼女たちから、どのような嫌味の応酬となるか。前世を思い出して、手がワキワキと興奮を抑えきれないでいました。

「アリシア、綺麗だ」
「ふふ、旦那様も素敵ですわ」

 眺めるには目に良い、観賞用イケメンな旦那様。
 そんな旦那様に並んでも見劣りしないほど、私も着飾らせてもらいましたわ。

 会場に入り真っ先に目につくのは、騎士の制服を着ていてもわかる分厚い大胸筋。見事な上腕二頭筋。

「あぁ……」

 ゴクリと、溢れるものを飲み込み、吸い寄せられるように向かう私を、ぐいっと現実に戻すのは微筋肉の旦那様。

「アリシア、君には私がいるだろ?」

 不足です。の言葉は飲み込めましたわ。

 目の端に美筋肉を捉えながら、私は見つけました。旦那様の愛人その一。
 まだ青年の域にある男性のエスコートに、愛人歴二年のロアーズ夫人! ドキドキワクワクして旦那様と愛人を見比べていれば……、何ということでしょう……。互いに目礼だけ。

 二年も愛人関係にありながら、あっさりした  やり取りに物足りなさを感じつつ、愛人その二を発見。

 愛人歴一年七ヶ月のサリー夫人! 愛人その一と同様、自分の歳の半分ほどの男性を連れての入場。こんどこそ! と期待に見比べていれば、これまた旦那様に対して目礼だけ。あららー?

 と、次! 愛人その三と、四! 未亡人のなんたら~夫人と、なんたらら~夫人。やっぱり、二人とも若々しく細っこい青年を連れての入場。そしてやっぱり目礼だけ。あーれれー?

 なんだろう、旦那様に対するこの未練のカケラの無さ。四人ともパートナーと二人きりの世界に入ってますよ?

 私は旦那様と元愛人を見て、一つの可能性に気づいてしまいました。

 その後、愛人その五、六、ラスト、七人目と、出会うことができたのですが、やはり皆揃って、旦那様よりも若々しく、青臭い青年をパートナーに現れていたのです。

 やはり彼女たちの瞳に、旦那様に対する未練はカケラも見れませんでした。

 もう可能性は確信へ。

 旦那様の愛人は皆が何処かの婦人や未亡人です。経験値の低い年下の男性を捕食する肉食獣上級者

 別れを切り出されればあっさり次。
 そう、彼女たちにとって、旦那様は未練たらしく縋るほどの価値はなかったのです。

「……………………あら、いい美筋に、うっ」
「ア リ シ ア ? 君には、私が、いるだろ?」

 耳元で囁く旦那様にきつく、きつく抱きしめられました。

「愛してるよ、私の唯一」
「ひぃっ!!」




 美筋肉の愛人をぜったいに作るんだからっ! と心に固く誓った私と旦那様の攻防は始まったばかり。





しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

真実の愛の取扱説明

ましろ
恋愛
「これは契約結婚だ。私には愛する人がいる。 君を抱く気はないし、子供を産むのも君ではない」 「あら、では私は美味しいとこ取りをしてよいということですのね?」 「は?」 真実の愛の為に契約結婚を持ち掛ける男と、そんな男の浪漫を打ち砕く女のお話。 ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ・話のタイトルを変更しました。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

お父様、ざまあの時間です

佐崎咲
恋愛
義母と義姉に虐げられてきた私、ユミリア=ミストーク。 父は義母と義姉の所業を知っていながら放置。 ねえ。どう考えても不貞を働いたお父様が一番悪くない? 義母と義姉は置いといて、とにかくお父様、おまえだ! 私が幼い頃からあたためてきた『ざまあ』、今こそ発動してやんよ! ※無断転載・複写はお断りいたします。

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました

Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい… ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。 忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。 だから私は婚約者を尾行した。 するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。 まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!! ※誤字脱字報告ありがとうございます。 ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります

恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」 「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」 十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。 再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、 その瞬間に決意した。 「ええ、喜んで差し上げますわ」 将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。 跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、 王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。 「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」 聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

結局、私の言っていたことが正しかったようですね、元旦那様?

睡蓮
恋愛
ルーグル伯爵は自身の妹リリアーナの事を溺愛するあまり、自身の婚約者であるエリナとの関係をおろそかにしてしまう。リリアーナもまたエリナに対する嫌がらせを繰り返し、その罪をすべてエリナに着せて楽しんでいた。そんなある日の事、エリナとの関係にしびれを切らしたルーグルはついにエリナとの婚約を破棄してしまう。その時、エリナからある言葉をかけられるのだが、負け惜しみに過ぎないと言ってその言葉を切り捨てる。それが後々、自分に跳ね返ってくるものとも知らず…。

処理中です...