68 / 227
第四章 勇者の村
26 愛撫 ※
しおりを挟む魔王の両腕が、リョウマの背中をそっと抱き寄せるのを感じた。ひどく優しくて、温かい腕だった。
「そなたと口づけがしたい。……ダメだろうか」
肩を震わせているだけで何も答えないリョウマをじっと見つめて、魔王はしばらく沈黙していた。が、やがてリョウマの髪を撫で、頭をそっと抱き寄せた。
「では、答えなくてもよい。そなたは何も答えるな」
言って、顎を少し持ち上げられる。
「いやならば、噛みつくなりなんなりせよ」
「ん……っ」
ふわりと塞がれた唇から、全身に電撃が走ったようだった。リョウマは目を見開き、魔王の胸元を両手で握りしめた。
「ん……んん」
いったい、これはなんだ。こんなのは初めてだ。あの《魔の森》で無理やりに奪われた時のような激しくて身勝手なものとは、まるでちがう。
優しくて、温かくて、全身が蕩けてしまいそうで。
ちゅぷ、とときどき小さな音をたてながら、魔王はしばらくリョウマの唇の表面を労わるように味わっているようだった。
「……ふふ」
いつのまにか唇が、勝手に薄く隙間を作っていたらしい。ほんのわずか、顔を離して魔王が微笑んだ。ひどく嬉しそうに見えた。
「よければもう少しだけ開いてくれぬか? ……そなたの、もっと奥を感じたい」
「ううっ……んっ」
魔王の唇はしばらく、リョウマの上唇と下唇をそれぞれに愛撫した。これもひどく優しかった。
「んむ……っ」
次にはもっと、深いのがきた。あの時のように、頬の上から上顎と下顎の間を指で無理やりこじ開けられるようなこともなく、ごく自然に舌と舌が絡まりあう。
ちゅぷ、くちゅっといやらしい水音が天蓋の中に溢れはじめる。
(あ……こん、な)
恐ろしいほどの快感がリョウマの体を貫いていく。頭がぼうっとして、くらくらする。どこでどう息継ぎをしたらいいのかもわからない。それでも夢中で、リョウマは差し込まれてくる魔王の舌に応えていた。
魔王はリョウマの舌を唇で吸い出し、甘噛みし、余すところなく味わってみたり、リョウマの上あごをちょろっと舐めてみたりする。そのたびに、リョウマの腰が勝手に跳ねた。
魔王の手はいつのまにか服の下から這いこんで、リョウマの脇腹や背筋の素肌を優しく撫であげている。
「あ……ん」
舌と肌に与えられるその快感が、そのまま下腹部に重い欲望を積んでいくのをじかに感じた。ぞくぞくして、ぴりぴりして。生まれたての小鳥みたいにぷるぷる震えてしまう。
「心地よさそうで、なによりだ」
「ん……うるせっ……はあ、あ」
「もっとだ。もっと、そなたには必要だろう?」
「あ……はあっ」
股間のものが、眼下で明らかに布を押し上げはじめている。次第に苦しくなってきて、リョウマは思わず腰をよじらせた。
魔王がリョウマの目尻に浮かんだ涙を舐めとり、胸の袷から手を差し入れた。
すでに立ちあがっていたそこを、指先でこりっと弄られる。
「んあっ!」
「もう固くなっているな。ここが気持ちいいか?」
「あ、や……っ」
そこをくりくりと弄られるたび、腰に溜まったものが重さを増した。リョウマは思わず腰をくねらせ、魔王の腰にそこを押し付けた。
魔王はひょいと頭を下げると、リョウマの胸の粒に吸い付いた。
「ふあっ」
舌先でぺろぺろと舐められる。慣れない感覚が、ビリビリと脳を犯していくのを感じたが、けっして「イヤだ」とは思わなかった。ただただ、気持ちがいい。
「あ、ああ……ん、あん」
自分でも変だと思う。そんな場所を男にそんな風に愛でられて、自分がこんな声をあげる日が来るなんて思いもしなかった。ましてや相手は、あの魔王だというのに。
魔王の唾液に濡れたそこが、ふっと息を吹きかけられて冷える感覚まで、すべてがリョウマの快楽の糧になっていく。
「いや……ああ、も、それ、以上は──」
魔王の腰の上に向かい合わせに跨って腰をびくびくさせながら、自分でもなにを懇願しているのかもわからないまま懇願する。魔王は薄く笑った。でもその笑みは、あの洞窟のときのようにリョウマを嘲笑うものではなく、ただ嬉しそうに見えた。
「そろそろこちらも堪らなくなっていよう。……どうする?」
「はあ……あ、ど、どうするって──」
思わず、みっともなく勃ちあがっている自分のそれを見下ろした。
20
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる