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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)
13 (儲けたいなら客を生産しろ)
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ナオ達は自動運転のレンタカーに乗り走し出す。
前にナオとクオリア…後ろにジガだ。
「こう見ると普通だな…。」
ナオは現地名称『ポチョムキン通り』の街並みを見る…。
ファンタジーRPGで出てくるような古いデザインの建物が並び、街並みは清潔とまでは行かないまでも ちゃんとしている。
一部にスラムがあると聞いていたが、意外とまともだ。
「気づかないか?ここの辺は一軒家しかない…アーコロジーでは異常だ。」
クオリアが言う。
「あ?」
確かに、2階建ての一軒家で小さいながら庭もついている。
建物も規格品では無く、それぞれ違うデザインだ。
「やけに日当たりが良いと思ったが、高い建物が無いのか…。」
砦学園都市も建物が高く、日当たりが悪い所はずっと街灯がついていたっけな…。
「主要道路の周辺は中所得者の家が多い見たいだ。
これだと低所得者のリソースが削られる…ここだ。」
車を路肩に寄せて止め降りる…民間の車がレンタカー位しかない この都市では違反切符を切られる事はない。
エアドーム間のセキュリティが尋常じゃなく高く、穏便に済ますことが出来ないと判断したクオリアは物理的に現地に行き アクセスポイントから侵入する事にした。
更にそこから侵入し易いポイントは 低所得者集合住宅の付近にあり、恐らく低級階層のヒトが作ったセキュリティホールだろう。
警察が公開している過去の犯罪をさかのぼってみても、セキュリティ関係の逮捕が無い…。
隠しているのか サイバー部門が間抜けなのか…。
(まぁ後者だろうな)
グローバル経済では金を持っているヒト程、金を稼ぎやすくなる。
必然として高所得者は安定した管理職になり、仕事を現場に任せる。
その為、低級階層程や中級階層の技術者の方が技術力は高くなる。
退職時に会社のデータを丸々コピーしたにも関わらず、上が流失した事に全く気づかないなんて事も普通にある程だ。
「これが、低所得者の家か…。」
折り畳めて、DLがあれば直ぐに作れるコンテナ型の仮設住居が12階まで積み上げられ、建築用の足場がそのまま階段になっている。
そして道路側から見た時に見栄えが良くなる為なのか、8階より上はしっかりと白で塗装され、階段も道路から見えない後ろ側に設置し、それより下は塗装が剥げていても放置されている。
部屋の広さは規格通りなら、6畳程度でベットと棚を入れたら終わりになるくらいだ。
電線はついているから電気は通っているだろうが、トイレ、シャワーは無いし キッチンも無い。
近くに共同トイレやシャワー室があるはず…見つけた。
ただ今の時代のスタンダードなのか男女が区分けされていない。
サイズはそれなりに大きく清潔感もある。
恐らく掃除をする業者がいるのだろう。
周りの住民も見て見るが、住民は完璧に働くロボットと化していて 無駄話もしない…。
午後の勤務シフトのヒトが出勤する時間の為か、死んだ目の労働者がぞろぞろと出て来て、他の住民に関心は全く無く、急いでバス停に向かう…。
低賃金で休息の時間も極限まで削ぎ落され、脳のリソースが働く事に特化し、人の感性を無くした労働者としての完成形。
恐らく無駄な時間を時給換算で計算し始めている…。
日本のスラム街に住む労働者を思い出されるその光景に ナオはため息を付いた。
「200km先に働く事が大好きなドラムの都市があるんだ。
そこから人材を引っ張ってくれば良いだろうに…。」
「そうなると、人件費が掛からないドラムが 低所得者の仕事を奪って、労働者はクビになって全員死ぬな…。」
ハックしているクオリアを置いてジガが ナオの後ろから話しかけてくる。
「生活保障金があるだろう…。」
「いやこの都市では無いんだ『働かざる者食うべからず』が基本にあるからな。
だからこの都市では、ニートは許されない。」
「バッカだな…住民を快適にするのが、労働の目的だろう。
労働する機械に成り果てた人が快適な訳ないだろうに…。」
「まぁな…。
実際、客を生産しなきゃいけないのに潰してるからな…。」
「客の生産?」
ジガはどう説明しようか考える。
「りんごが10個生産出来ても1個しか売れなかったら大損だろ。
だから10個以上買ってもらえる客を作って やらなきゃ行けないのな…。
具体的には 賃金を上げたり、生活保障金とかで 客の財布の中身を増やしてやるんだ。
それをやらないで 労働者の賃金を下げていると、そいつが客になった時にりんごを9個や8個しか買えなくなって、それが循環して仕舞いにはりんごを1個しか買えなくなると…。」
「ケインズ経済の応用か?
じゃあ労働せず、生活保障金だけで生活しているニートも消費者として都市の役に立ってるって事か…。」
「そう言う事…昔はともかく 今は生産効率が良すぎて、1人1職何て出来る訳ないからな…。
それをやろうとすると、この都市見たいに 少ない労働資源の奪い合いになる…。
そうなると労働条件が悪くても働くしかない社会になるんだな。」
「あー繋がった。
社会保障のサービスとかも需要を上げる為の方法か…。」
社会保障が無駄だとか削れとかよく言ってたが、客を減らして企業側の収益を下げようとしてた訳か。
これじゃあ日本が経済的に追い詰められるのも納得だ。
「終わったぞ…次だ。」
ハックが終わったクオリアがレンタカーに向かう。
「ああ今行く」
ナオ達も後ろからクオリアを追い、レンタカーに乗り込んで次のエアドームに向けて走り出した。
前にナオとクオリア…後ろにジガだ。
「こう見ると普通だな…。」
ナオは現地名称『ポチョムキン通り』の街並みを見る…。
ファンタジーRPGで出てくるような古いデザインの建物が並び、街並みは清潔とまでは行かないまでも ちゃんとしている。
一部にスラムがあると聞いていたが、意外とまともだ。
「気づかないか?ここの辺は一軒家しかない…アーコロジーでは異常だ。」
クオリアが言う。
「あ?」
確かに、2階建ての一軒家で小さいながら庭もついている。
建物も規格品では無く、それぞれ違うデザインだ。
「やけに日当たりが良いと思ったが、高い建物が無いのか…。」
砦学園都市も建物が高く、日当たりが悪い所はずっと街灯がついていたっけな…。
「主要道路の周辺は中所得者の家が多い見たいだ。
これだと低所得者のリソースが削られる…ここだ。」
車を路肩に寄せて止め降りる…民間の車がレンタカー位しかない この都市では違反切符を切られる事はない。
エアドーム間のセキュリティが尋常じゃなく高く、穏便に済ますことが出来ないと判断したクオリアは物理的に現地に行き アクセスポイントから侵入する事にした。
更にそこから侵入し易いポイントは 低所得者集合住宅の付近にあり、恐らく低級階層のヒトが作ったセキュリティホールだろう。
警察が公開している過去の犯罪をさかのぼってみても、セキュリティ関係の逮捕が無い…。
隠しているのか サイバー部門が間抜けなのか…。
(まぁ後者だろうな)
グローバル経済では金を持っているヒト程、金を稼ぎやすくなる。
必然として高所得者は安定した管理職になり、仕事を現場に任せる。
その為、低級階層程や中級階層の技術者の方が技術力は高くなる。
退職時に会社のデータを丸々コピーしたにも関わらず、上が流失した事に全く気づかないなんて事も普通にある程だ。
「これが、低所得者の家か…。」
折り畳めて、DLがあれば直ぐに作れるコンテナ型の仮設住居が12階まで積み上げられ、建築用の足場がそのまま階段になっている。
そして道路側から見た時に見栄えが良くなる為なのか、8階より上はしっかりと白で塗装され、階段も道路から見えない後ろ側に設置し、それより下は塗装が剥げていても放置されている。
部屋の広さは規格通りなら、6畳程度でベットと棚を入れたら終わりになるくらいだ。
電線はついているから電気は通っているだろうが、トイレ、シャワーは無いし キッチンも無い。
近くに共同トイレやシャワー室があるはず…見つけた。
ただ今の時代のスタンダードなのか男女が区分けされていない。
サイズはそれなりに大きく清潔感もある。
恐らく掃除をする業者がいるのだろう。
周りの住民も見て見るが、住民は完璧に働くロボットと化していて 無駄話もしない…。
午後の勤務シフトのヒトが出勤する時間の為か、死んだ目の労働者がぞろぞろと出て来て、他の住民に関心は全く無く、急いでバス停に向かう…。
低賃金で休息の時間も極限まで削ぎ落され、脳のリソースが働く事に特化し、人の感性を無くした労働者としての完成形。
恐らく無駄な時間を時給換算で計算し始めている…。
日本のスラム街に住む労働者を思い出されるその光景に ナオはため息を付いた。
「200km先に働く事が大好きなドラムの都市があるんだ。
そこから人材を引っ張ってくれば良いだろうに…。」
「そうなると、人件費が掛からないドラムが 低所得者の仕事を奪って、労働者はクビになって全員死ぬな…。」
ハックしているクオリアを置いてジガが ナオの後ろから話しかけてくる。
「生活保障金があるだろう…。」
「いやこの都市では無いんだ『働かざる者食うべからず』が基本にあるからな。
だからこの都市では、ニートは許されない。」
「バッカだな…住民を快適にするのが、労働の目的だろう。
労働する機械に成り果てた人が快適な訳ないだろうに…。」
「まぁな…。
実際、客を生産しなきゃいけないのに潰してるからな…。」
「客の生産?」
ジガはどう説明しようか考える。
「りんごが10個生産出来ても1個しか売れなかったら大損だろ。
だから10個以上買ってもらえる客を作って やらなきゃ行けないのな…。
具体的には 賃金を上げたり、生活保障金とかで 客の財布の中身を増やしてやるんだ。
それをやらないで 労働者の賃金を下げていると、そいつが客になった時にりんごを9個や8個しか買えなくなって、それが循環して仕舞いにはりんごを1個しか買えなくなると…。」
「ケインズ経済の応用か?
じゃあ労働せず、生活保障金だけで生活しているニートも消費者として都市の役に立ってるって事か…。」
「そう言う事…昔はともかく 今は生産効率が良すぎて、1人1職何て出来る訳ないからな…。
それをやろうとすると、この都市見たいに 少ない労働資源の奪い合いになる…。
そうなると労働条件が悪くても働くしかない社会になるんだな。」
「あー繋がった。
社会保障のサービスとかも需要を上げる為の方法か…。」
社会保障が無駄だとか削れとかよく言ってたが、客を減らして企業側の収益を下げようとしてた訳か。
これじゃあ日本が経済的に追い詰められるのも納得だ。
「終わったぞ…次だ。」
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